上 下
44 / 108
乙女ゲーム編

シナリオ

しおりを挟む




衝撃的な事実、レオンハルト殿下とシャルティが飛び級してきた事にあまりにも驚いて椅子から滑り落ちそうになってしまった



「どうしてこんな事に…」




そう呟いてしまってもしょうがないと思う…だって見てくれ?誰に言ってんだ見てくれって…同じ境遇おれしか居ないわ
なんで乙女ゲーム始まったのに!聖女1年で、攻略対象ほぼ全員2年なの?更に悪役令嬢ポジまで2年ってどゆこと!?新入生だけど、新入生じゃなかった!展開におれだけついて行けないのだ
ルイズは知っていたようでニコニコしてるし、イグニスはすげー!と普通に喜んでるし…ヘルリは知っていたようで二人におめでとうございますって言ってる…
え、本当におれだけ知らなかったの!?サプライズする相手だから?



「ん?何か言ったか?ルディヴィス
ふふ、呆けてる顔もかわいい♡…これから同じ教室で勉学に励めるのは本当に最高だな!なぁシャルティ!死ぬ気で頑張った甲斐がある」

「ええ、殿下!私達の幼き頃からの夢が遂に叶いましたわね!お義兄様と共に学園生活を送りたい…!サプライズ成功ですわ」


そんな事を言いつつハイタッチする程仲の良いレオンハルト殿下とシャルティ…え、今なんて言った?サプライズ…?この展開は過去に何か企みがあってこそなのか!?
おれの知らないところでそんな事を…………そんな………どうしよう嬉しい
もうちょっと一緒に仲良く勉強すらできるってことじゃん?嬉しい…!

自由席でおれを中心に上下左右が乙女ゲームの主要キャラだろうが嬉し…………いやいやなんでおれを取り囲んだ!?何故?!


こうして、まるで魔法陣の中心にいる人のような気持ちを味わいながら2年目の学園生活は幕を開けた、恐らく始まった乙女ゲームのシナリオと同時に…


そのシナリオおれが知ってるやつまだ一つも起きてないけどいいのだろうか…?
ふと、そう思い始めた時、シャルティの元に聖女らしき人物をお姫様抱っこして保健室に向かってたマイケルが帰ってきた


「女性に優しいサングイス公爵家護衛、マイケル只今戻りました!」


………うん、台詞が護衛っぽく無いがそれはいい
聖女?だと思われる彼女はだったか聞いてみると、マイケルは笑いながら答えてくれる


「もちろんしっかりと保健室に送り届け、保険医の先生に預けようとしたのですが、寂しいから居てほしいと服を掴まれてしまいまして…服が千切れそうな程強く掴んで寂しいと言われたら離れられず!遅くなってしまいました!
流石に服が破れて俺の鍛え抜かれた胸筋を晒しながら此処に戻ってくるのは不味いですからね…サングイス公爵家内ならまだしもここは学園!捕まりますので諦めて話をしてたんです

そうそう!転んだ彼女、仕事に戻ると伝えても中々聞いてくれなかったんですよね…あ、実は噂の聖女様だったみたいで!あなた誰?とか、どうして学園にいるの?とか質問攻めされてました
自分から質問してたのに、話しすぎて入学式過ぎてたら急にシナリオがー?って走り出して保健室出ていってしまったんですよね

今代の聖女様は不思議な子かも知れません」



「た、大変だったね…?」



色々話してから、大変でしたと笑顔で返答しマイケルはヘルリと並んで護衛に戻った
マイケルからの話を聞いておれ以外はふーーんなるほど?で済んでいたみたいだ…でも、おれには聖女が放ったシナリオという言葉が怖くて仕方ない

イケメンフェイスマイケルに質問するまでなら女子として普通にあり得る…だが、シナリオ…それは違う
普通に生活しててシナリオって言葉は本を読んだり演劇に携わる時くらいでしか言わないだろう?

なら、なんで…聖女はそんな事言ったんだ…?
……………どう考えてもこの世界が乙女ゲームの世界だと知ってる、その可能性しか導き出せなかった















…………………



Side ???




何かがおかしい…

待ちに待った入学式なのに…あたしの知ってる展開が何も起きてない…でも、確かにあたしは聖女で、ここはあの聖ラピスチアーノ魔法学園…

間違いなくあたしの大好きだった光の聖女に愛を灯すの世界の筈なのに…どうしてオープニングのレオンハルト殿下との出会いで知らないイケメンが現れるの…?ものすごく優しくて攻略対象者!?ってくらいイケメンだったけど、あたしはあの顔を知らない

しかも、どうして入学式が終わってるの?なんでクラスに居るはずのレオンハルト殿下も悪役令嬢もその従者ヘルリも居ないの…?

ここはゲームの世界はず…きっと色々バグが起きてるのかもしれない
あたしは聖女、あたしはこの世界で攻略対象者を救いハッピーエンドを迎えるヒロインなんだもの

とりあえず攻略対象者が何処に行ったか探さなきゃ…みんなあたしを可愛いって聖女様って褒めてくれるけどレオンハルト殿下達のことを聞いたら飛び級しましたって訳わからないことを言ってくる

飛び級ってそんなのこの学園にあったの?そんなのも知らない、しかも、血の色の髪をした悪役令嬢も飛び級ってどういう事?





シナリオを進めたら何かわかるのかな?あたしが主人公の世界、たくさん楽しみたいんだから早くバグ治ってよね






しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

悪役令息の兄には全てが視えている

翡翠飾
BL
「そういえば、この間臣麗くんにお兄さんが居るって聞きました!意外です、てっきり臣麗くんは一人っ子だと思っていたので」 駄目だ、それを言っては。それを言ったら君は───。 大企業の御曹司で跡取りである美少年高校生、神水流皇麗。彼はある日、噂の編入生と自身の弟である神水流臣麗がもめているのを止めてほしいと頼まれ、そちらへ向かう。けれどそこで聞いた編入生の言葉に、酷い頭痛を覚え前世の記憶を思い出す。 そして彼は気付いた、現代学園もののファンタジー乙女ゲームに転生していた事に。そして自身の弟は悪役令息。自殺したり、家が没落したり、殺人鬼として少年院に入れられたり、父に勘当されキャラ全員を皆殺しにしたり───?!?!しかもそんな中、皇麗はことごとく死亡し臣麗の闇堕ちに体よく使われる?! 絶対死んでたまるか、臣麗も死なせないし人も殺させない。臣麗は僕の弟、だから僕の使命として彼を幸せにする。 僕の持っている予知能力で、全てを見透してみせるから───。 けれど見えてくるのは、乙女ゲームの暗い闇で?! これは人が能力を使う世界での、予知能力を持った秀才美少年のお話。

虐げられた王の生まれ変わりと白銀の騎士

ありま氷炎
BL
十四年前、国王アルローはその死に際に、「私を探せ」と言い残す。 国一丸となり、王の生まれ変わりを探すが見つからず、月日は過ぎていく。 王アルローの子の治世は穏やかで、人々はアルローの生まれ変わりを探す事を諦めようとしていた。 そんな中、アルローの生まれ変わりが異世界にいることがわかる。多くの者たちが止める中、騎士団長のタリダスが異世界の扉を潜る。 そこで彼は、アルローの生まれ変わりの少年を見つける。両親に疎まれ、性的虐待すら受けている少年を助け、強引に連れ戻すタリダス。 彼は王の生まれ変わりである少年ユウタに忠誠を誓う。しかし王宮では「王」の帰還に好意的なものは少なかった。 心の傷を癒しながら、ユウタは自身の前世に向き合う。 アルローが残した「私を探せ」の意味はなんだったか。 王宮の陰謀、そして襲い掛かる別の危機。 少年は戸惑いながらも自分の道を見つけていく。

天啓によると殿下の婚約者ではなくなります

ふゆきまゆ
BL
この国に生きる者は必ず受けなければいけない「天啓の儀」。それはその者が未来で最も大きく人生が動く時を見せる。 フィルニース国の貴族令息、アレンシカ・リリーベルは天啓の儀で未来を見た。きっと殿下との結婚式が映されると信じて。しかし悲しくも映ったのは殿下から婚約破棄される未来だった。腕の中に別の人を抱きながら。自分には冷たい殿下がそんなに愛している人ならば、自分は穏便に身を引いて二人を祝福しましょう。そうして一年後、学園に入学後に出会った友人になった将来の殿下の想い人をそれとなく応援しようと思ったら…。 ●婚約破棄ものですが主人公に悪役令息、転生転移要素はありません。

やり直せるなら、貴方達とは関わらない。

いろまにもめと
BL
俺はレオベルト・エンフィア。 エンフィア侯爵家の長男であり、前世持ちだ。 俺は幼馴染のアラン・メロヴィングに惚れ込み、恋人でもないのにアランは俺の嫁だと言ってまわるというはずかしい事をし、最終的にアランと恋に落ちた王太子によって、アランに付きまとっていた俺は処刑された。 処刑の直前、俺は前世を思い出した。日本という国の一般サラリーマンだった頃を。そして、ここは前世有名だったBLゲームの世界と一致する事を。 こんな時に思い出しても遅せぇわ!と思い、どうかもう一度やり直せたら、貴族なんだから可愛い嫁さんと裕福にのんびり暮らしたい…! そう思った俺の願いは届いたのだ。 5歳の時の俺に戻ってきた…! 今度は絶対関わらない!

【第1部完結】悪役令息ですが、家族のため精一杯生きているので邪魔しないでください~僕の執事は僕にだけイケすぎたオジイです~

ちくわぱん
BL
【11/28第1部完結・12/8幕間完結】(第2部開始は年明け後の予定です)ハルトライアは前世を思い出した。自分が物語の当て馬兼悪役で、王子と婚約するがのちに魔王になって結局王子と物語の主役に殺される未来を。死にたくないから婚約を回避しようと王子から逃げようとするが、なぜか好かれてしまう。とにかく悪役にならぬように魔法も武術も頑張って、自分のそばにいてくれる執事とメイドを守るんだ!と奮闘する日々。そんな毎日の中、困難は色々振ってくる。やはり当て馬として死ぬしかないのかと苦しみながらも少しずつ味方を増やし成長していくハルトライア。そして執事のカシルもまた、ハルトライアを守ろうと陰ながら行動する。そんな二人の努力と愛の記録。両片思い。じれじれ展開ですが、ハピエン。

嫌われ公式愛妾役ですが夫だけはただの僕のガチ勢でした

ナイトウ
BL
BL小説大賞にご協力ありがとうございました!! CP:不器用受ガチ勢伯爵夫攻め、女形役者受け 相手役は第11話から出てきます。  ロストリア帝国の首都セレンで女形の売れっ子役者をしていたルネは、皇帝エルドヴァルの為に公式愛妾を装い王宮に出仕し、王妃マリーズの代わりに貴族の反感を一手に受ける役割を引き受けた。  役目は無事終わり追放されたルネ。所属していた劇団に戻りまた役者業を再開しようとするも公式愛妾になるために偽装結婚したリリック伯爵に阻まれる。  そこで仕方なく、顔もろくに知らない夫と離婚し役者に戻るために彼の屋敷に向かうのだった。

【完結】薄幸文官志望は嘘をつく

七咲陸
BL
サシャ=ジルヴァールは伯爵家の長男として産まれるが、紫の瞳のせいで両親に疎まれ、弟からも蔑まれる日々を送っていた。 忌々しい紫眼と言う両親に幼い頃からサシャに魔道具の眼鏡を強要する。認識阻害がかかったメガネをかけている間は、サシャの顔や瞳、髪色までまるで別人だった。 学園に入学しても、サシャはあらぬ噂をされてどこにも居場所がない毎日。そんな中でもサシャのことを好きだと言ってくれたクラークと言う茶色の瞳を持つ騎士学生に惹かれ、お付き合いをする事に。 しかし、クラークにキスをせがまれ恥ずかしくて逃げ出したサシャは、アーヴィン=イブリックという翠眼を持つ騎士学生にぶつかってしまい、メガネが外れてしまったーーー… 認識阻害魔道具メガネのせいで2人の騎士の間で別人を演じることになった文官学生の恋の話。 全17話 2/28 番外編を更新しました

BL漫画の世界に転生しちゃったらお邪魔虫役でした

かゆ
BL
授業中ぼーっとしていた時に、急に今いる世界が前世で弟がハマっていたBL漫画の世界であることに気付いてしまった! BLなんて嫌だぁぁ! ...まぁでも、必要以上に主人公達と関わらなければ大丈夫かな 「ボソッ...こいつは要らないのに....」 えぇ?! 主人公くん、なんでそんなに俺を嫌うの?! ----------------- *R18っぽいR18要素は多分ないです! 忙しくて更新がなかなかできませんが、構想はあるので完結させたいと思っております。

処理中です...