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幼少期編
可能性と謝罪
しおりを挟む父様の胸で自らの失態に泣いた日から1週間、熱を出し寝込んだ…
おれの額はなんと10針を縫う意外と深刻なものだったからだ…抗生物質などない魔法と魔法のファンタジー世界ではこの熱も仕方ないのか…
もう少し成長していれば治癒魔法も使用できるが、まだ幼いうちに魔力の傾向がわからないまま治癒魔法を使用すると、副作用があるため外科的な処置をしたらしい
だからこそ、傷は癒えても額には痕が残るでしょうと医者は言ったそうだ…それは、そうだよな全力投球で中身の入ったグラスが額を直撃だもの…目に当たらなくてよかった…何よりシャルティに当たらなくて本当よかった…!
男のおれだからこそ、義妹を守った勲章とでも割り切れるが、女性の場合は違う…顔に残る傷など良い婚姻が出来なくなる大変な事だ、場合によっては怪我をさせた相手が責任をとって娶ることもあるらしい
……………責任を取って婚姻
まさか、まさかだよな??ゲームのシャルティは額を隠す髪型をしていた…その前髪の下に傷があったとしたら………?
あの、お茶会でグラスが当たっていたのが本当にシャルティだったら………そこまで考えてぞわりと背筋が凍った……………考え方を変えよう、おれナイス対応!さすがおれ!
そんな事をベッドで熱を出しながらうんうん唸り、寝込み、そして復活した
「おにいさま!!!よかった…よかった……ふぇ、…うぇえええぇん」
「心配かけてごめんねルティ、ぼくは元気だよ?シャルティがお見舞いに来てくれたから元気になったんだ…ほら泣かないで…目が腫れてしまうよ…」
熱が出て意識が朦朧としている間、シャルティも父様、母様もみんな何度もお見舞いに来てくれたらしい…良い家族過ぎる…これほんとなんで乙女ゲームであんな断罪になったの??
おれに抱きついて涙を流すシャルティ、父様と母様も少し涙ぐんでこちらを見ている…心配かけました…
「ルディヴィス…ごめんなさいね…同じ会場に居ながら気付くのが遅くなってしまって…額の傷も、本当にごめんなさい…」
「これは理不尽から可愛い義妹を守った勲章です!だからそんな顔しないで下さい!きっと包帯が外れたら男らしくなると思いませんか?」
涙ぐむペトラさんにそう言うと微笑んでくれた
本当に勲章なんで全然気にしなくていいんですよ母様…まだ抜糸もしてないし、包帯は取れないから大怪我に見えるけど痛みは無いんです
シャルティにも気にしなくていいことを再度説明し、1週間ぶりに歩行したおれはその場に転んで周囲を驚かせた…え、足腰こんな弱るの????まじ?
…………………
……………
………
「招集に応じて頂き感謝します…この度は私の息子の暴走により、怪我と精神的苦痛を与えてしまったことを、レオンハルトの母として謝罪したく公爵殿に話を通しておりました……」
「なっ………お前…………その額の包帯…………」
1週間寝込み、そして筋力を失いリハビリにさらに1週間が過ぎた頃、父様が怪我をした日に言っていた事が実現する日になってしまった…
完全なる非公式、ここは王妃様の部屋…本来家臣に謝罪などしていい立場ではない王妃様がおれに頭を下げているとんでもない現場だ…
ちなみにシャルティはお留守番である、レオンハルト殿下の発言次第ではさらに酷い心の傷を負ってしまうから
あの日、おれが気絶した後、王妃様の指示で迅速に対応がなされ会場の騒動は沈静化されたらしい
表向きは子ども同士のトラブル、非公式な茶会の場でおれの不敬な発言も大事にはしないと…
そしてレオンハルト殿下の発言についても調査が必要なため口外を禁じた
結果としてレルム伯爵の知人が王宮に出入りする商人てあり、そこから事実無根の噂話をレオンハルト殿下が鵜呑みにし、事実も調べないまま幼い正義心が暴走してしまった故の事故だったと被害が最小限になるように計らってくれた
レルム伯爵はそんな事実は無いと否定し、事実証拠は無いのだから名誉毀損にもうまく当てはめられないという事を教えてくれる
おれがおやつ抜きの刑で済んだのは、王妃様の計らいあってこそだ…
美人の王妃様…性格も素敵かよ…男性だけど…
「王妃様!!発言を失礼します…この度はぼくの発言も殿下の家臣でありながら酷いものでした…王妃様の計らいが無ければ、我が公爵家がぼくの軽率な言葉で取り潰しになっていたかもしれません…本当に申し訳ございませんでした…そしてありがとうございます
レオンハルト殿下、暴言を吐いてしまい…本当に申し訳ございませんでした…」
王妃様はおれの言葉にやさしく微笑み、父様も穏やかな顔で見守ってくれている
レオンハルト殿下はおれの顔をずっと見ている…なぜ………見ないでもらっていいですか…??
「ルディヴィス公爵子息、その言葉確かに受け取りました…とても優れた知性をお持ちの素敵な子ですねサングイス公爵殿…?未来を担う子が素晴らしい才能を秘めていそうで嬉しいです
レオンハルト、お前は何か言う事がないのですか?」
王妃様の声がおれたちに話しかけるのとトーンが変わる…レオンハルト殿下に向けてだ
おれの顔を見続ける殿下は一体何を考えているのか分からなかったた
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