悪役令嬢の兄です、ヒロインはそちらです!こっちに来ないで下さい

たなぱ

文字の大きさ
上 下
9 / 171
幼少期編

可能性と謝罪

しおりを挟む





父様の胸で自らの失態に泣いた日から1週間、熱を出し寝込んだ…
おれの額はなんと10針を縫う意外と深刻なものだったからだ…抗生物質などない魔法と魔法のファンタジー世界ではこの熱も仕方ないのか…
もう少し成長していれば治癒魔法も使用できるが、まだ幼いうちに魔力の傾向がわからないまま治癒魔法を使用すると、副作用があるため外科的な処置をしたらしい

だからこそ、傷は癒えても額には痕が残るでしょうと医者は言ったそうだ…それは、そうだよな全力投球で中身の入ったグラスが額を直撃だもの…目に当たらなくてよかった…何よりシャルティに当たらなくて本当よかった…!

男のおれだからこそ、義妹を守った勲章とでも割り切れるが、女性の場合は違う…顔に残る傷など良い婚姻が出来なくなる大変な事だ、場合によっては怪我をさせた相手が責任をとって娶ることもあるらしい

……………責任を取って婚姻
まさか、まさかだよな??ゲームのシャルティは額を隠す髪型をしていた…その前髪の下に傷があったとしたら………?
あの、お茶会でグラスが当たっていたのが本当にシャルティだったら………そこまで考えてぞわりと背筋が凍った……………考え方を変えよう、おれナイス対応!さすがおれ!


そんな事をベッドで熱を出しながらうんうん唸り、寝込み、そして復活した



「おにいさま!!!よかった…よかった……ふぇ、…うぇえええぇん」

「心配かけてごめんねルティ、ぼくは元気だよ?シャルティがお見舞いに来てくれたから元気になったんだ…ほら泣かないで…目が腫れてしまうよ…」


熱が出て意識が朦朧としている間、シャルティも父様、母様もみんな何度もお見舞いに来てくれたらしい…良い家族過ぎる…これほんとなんで乙女ゲームであんな断罪になったの??
おれに抱きついて涙を流すシャルティ、父様と母様も少し涙ぐんでこちらを見ている…心配かけました…


「ルディヴィス…ごめんなさいね…同じ会場に居ながら気付くのが遅くなってしまって…額の傷も、本当にごめんなさい…」

「これは理不尽から可愛い義妹を守った勲章です!だからそんな顔しないで下さい!きっと包帯が外れたら男らしくなると思いませんか?」


涙ぐむペトラさんにそう言うと微笑んでくれた
本当に勲章なんで全然気にしなくていいんですよ母様…まだ抜糸もしてないし、包帯は取れないから大怪我に見えるけど痛みは無いんです
シャルティにも気にしなくていいことを再度説明し、1週間ぶりに歩行したおれはその場に転んで周囲を驚かせた…え、足腰こんな弱るの????まじ?









…………………
……………
………




「招集に応じて頂き感謝します…この度は私の息子の暴走により、怪我と精神的苦痛を与えてしまったことを、レオンハルトの母として謝罪したく公爵殿に話を通しておりました……」

「なっ………お前…………その額の包帯…………」


1週間寝込み、そして筋力を失いリハビリにさらに1週間が過ぎた頃、父様が怪我をした日に言っていた事が実現する日になってしまった…
完全なる非公式、ここは王妃様の部屋…本来家臣に謝罪などしていい立場ではない王妃様がおれに頭を下げているとんでもない現場だ…
ちなみにシャルティはお留守番である、レオンハルト殿下の発言次第ではさらに酷い心の傷を負ってしまうから


あの日、おれが気絶した後、王妃様の指示で迅速に対応がなされ会場の騒動は沈静化されたらしい
表向きは子ども同士のトラブル、非公式な茶会の場でおれの不敬な発言も大事にはしないと…
そしてレオンハルト殿下の発言についても調査が必要なため口外を禁じた
結果としてレルム伯爵の知人が王宮に出入りする商人てあり、そこから事実無根の噂話をレオンハルト殿下が鵜呑みにし、事実も調べないまま幼い正義心が暴走してしまった故の事故だったと被害が最小限になるように計らってくれた
レルム伯爵はそんな事実は無いと否定し、事実証拠は無いのだから名誉毀損にもうまく当てはめられないという事を教えてくれる


おれがおやつ抜きの刑で済んだのは、王妃様の計らいあってこそだ…
美人の王妃様…性格も素敵かよ…男性だけど…


「王妃様!!発言を失礼します…この度はぼくの発言も殿下の家臣でありながら酷いものでした…王妃様の計らいが無ければ、我が公爵家がぼくの軽率な言葉で取り潰しになっていたかもしれません…本当に申し訳ございませんでした…そしてありがとうございます
レオンハルト殿下、暴言を吐いてしまい…本当に申し訳ございませんでした…」


王妃様はおれの言葉にやさしく微笑み、父様も穏やかな顔で見守ってくれている
レオンハルト殿下はおれの顔をずっと見ている…なぜ………見ないでもらっていいですか…??


「ルディヴィス公爵子息、その言葉確かに受け取りました…とても優れた知性をお持ちの素敵な子ですねサングイス公爵殿…?未来を担う子が素晴らしい才能を秘めていそうで嬉しいです

レオンハルト、お前は何か言う事がないのですか?」





王妃様の声がおれたちに話しかけるのとトーンが変わる…レオンハルト殿下に向けてだ
おれの顔を見続ける殿下は一体何を考えているのか分からなかったた




しおりを挟む
感想 188

あなたにおすすめの小説

田舎育ちの天然令息、姉様の嫌がった婚約を押し付けられるも同性との婚約に困惑。その上性別は絶対バレちゃいけないのに、即行でバレた!?

下菊みこと
BL
髪色が呪われた黒であったことから両親から疎まれ、隠居した父方の祖父母のいる田舎で育ったアリスティア・ベレニス・カサンドル。カサンドル侯爵家のご令息として恥ずかしくない教養を祖父母の教えの元身につけた…のだが、農作業の手伝いの方が貴族として過ごすより好き。 そんなアリスティア十八歳に急な婚約が持ち上がった。アリスティアの双子の姉、アナイス・セレスト・カサンドル。アリスティアとは違い金の御髪の彼女は侯爵家で大変かわいがられていた。そんなアナイスに、とある同盟国の公爵家の当主との婚約が持ちかけられたのだが、アナイスは婿を取ってカサンドル家を継ぎたいからと男であるアリスティアに婚約を押し付けてしまう。アリスティアとアナイスは髪色以外は見た目がそっくりで、アリスティアは田舎に引っ込んでいたためいけてしまった。 アリスは自分の性別がバレたらどうなるか、また自分の呪われた黒を見て相手はどう思うかと心配になった。そして顔合わせすることになったが、なんと公爵家の執事長に性別が即行でバレた。 公爵家には公爵と歳の離れた腹違いの弟がいる。前公爵の正妻との唯一の子である。公爵は、正当な継承権を持つ正妻の息子があまりにも幼く家を継げないため、妾腹でありながら爵位を継承したのだ。なので公爵の後を継ぐのはこの弟と決まっている。そのため公爵に必要なのは同盟国の有力貴族との縁のみ。嫁が子供を産む必要はない。 アリスティアが男であることがバレたら捨てられると思いきや、公爵の弟に懐かれたアリスティアは公爵に「家同士の婚姻という事実だけがあれば良い」と言われてそのまま公爵家で暮らすことになる。 一方婚約者、二十五歳のクロヴィス・シリル・ドナシアンは嫁に来たのが男で困惑。しかし可愛い弟と仲良くなるのが早かったのと弟について黙って結婚しようとしていた負い目でアリスティアを追い出す気になれず婚約を結ぶことに。 これはそんなクロヴィスとアリスティアが少しずつ近づいていき、本物の夫婦になるまでの記録である。 小説家になろう様でも2023年 03月07日 15時11分から投稿しています。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました

SEKISUI
BL
 ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた  見た目は勝ち組  中身は社畜  斜めな思考の持ち主  なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う  そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される    

幽閉王子は最強皇子に包まれる

皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。 表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

好きな人がカッコ良すぎて俺はそろそろ天に召されるかもしれない

豆ちよこ
BL
男子校に通う棚橋学斗にはとってもとっても気になる人がいた。同じクラスの葛西宏樹。 とにかく目を惹く葛西は超絶カッコいいんだ! 神様のご褒美か、はたまた気紛れかは知らないけど、隣同士の席になっちゃったからもう大変。ついつい気になってチラチラと見てしまう。 そんな学斗に、葛西もどうやら気付いているようで……。 □チャラ王子攻め □天然おとぼけ受け □ほのぼのスクールBL タイトル前に◆◇のマークが付いてるものは、飛ばし読みしても問題ありません。 ◆…葛西視点 ◇…てっちゃん視点 pixivで連載中の私のお気に入りCPを、アルファさんのフォントで読みたくてお引越しさせました。 所々修正と大幅な加筆を加えながら、少しづつ公開していこうと思います。転載…、というより筋書きが同じの、新しいお話になってしまったかも。支部はプロット、こちらが本編と捉えて頂けたら良いかと思います。

普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている

迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。 読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)  魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。  ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。  それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。  それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。  勘弁してほしい。  僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。

俺は北国の王子の失脚を狙う悪の側近に転生したらしいが、寒いのは苦手なのでトンズラします

椿谷あずる
BL
ここはとある北の国。綺麗な金髪碧眼のイケメン王子様の側近に転生した俺は、どうやら彼を失脚させようと陰謀を張り巡らせていたらしい……。いやいや一切興味がないし!寒いところ嫌いだし!よし、やめよう! こうして俺は逃亡することに決めた。

【完結済み】乙男な僕はモブらしく生きる

木嶋うめ香
BL
本編完結済み(2021.3.8) 和の国の貴族の子息が通う華学園の食堂で、僕こと鈴森千晴(すずもりちはる)は前世の記憶を思い出した。 この世界、前世の僕がやっていたBLゲーム「華乙男のラブ日和」じゃないか? 鈴森千晴なんて登場人物、ゲームには居なかったから僕のポジションはモブなんだろう。 もうすぐ主人公が転校してくる。 僕の片思いの相手山城雅(やましろみやび)も攻略対象者の一人だ。 これから僕は主人公と雅が仲良くなっていくのを見てなきゃいけないのか。 片思いだって分ってるから、諦めなきゃいけないのは分ってるけど、やっぱり辛いよどうしたらいいんだろう。

処理中です...