離縁しようぜ旦那様

たなぱ

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解決編

平穏と新入社員

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平穏っていいなー



そう、あの誘拐事件体験会から起こった、絶体絶命感…そしてレラージェ国元聖女断罪の儀を体験してより一方そう思うようになった

朝起きて、フリード様とおはようって抱きしめあって…ご飯食べて仕事して…夜は激しく求め合ってまた朝を迎える…何気ない1日が本当に大切なんだと…実感しているのだ

現在、例の事件から数週間
パンデミック公爵家のガラレナ様とノヴィ様…いや、今は平民となったガラレナとノヴィが我が家に来てからも数週間が経過している


バイソンな双子はアデルバイト辺境伯に到着した当日改めておれとフリード様へ謝罪したいと希望し、群れを作らないなんておかしい!ってメアリー達使用人へ圧をかけながら、連日訪問してきた事についても謝罪してくれた
心を入れ替え、どんな仕事も頑張ると決意を告げつつ…


そんな二人に正直好感が持てたし、これからよろしくって雇用者と使用人として契約も交わした
けど、元貴族だった人間も獣人もおれのこれまでの経験上、元とはいえ貴族だぞ!敬えー!ってタイプの人が多かったから…自分で平民になった双子を雇いたいと言った手前、もしかしたらプライドが邪魔して何か問題起こしたりしたら…とも少なからず考えてはいたし…
だからこそ、別邸に直接配属じゃなくて本邸で様子を見てからと思った…思ったんだよな~


今となっては笑い話にもできるかも?って感じの思わぬ問題が起きたんだけども!



貴族の子として育った二人が掃除洗濯何もできないのは事前に分かっている事だったし、ゆっくりと使用人の仕事を学んでいけばいいよって新入社員に対する気持ちだった…しかし、しかし!双子はバイソン、そうバイソン!!
我々の想像を超え、力が物凄くドラレイド帝国っぽいパワフルさだったのだ…



まず、皿を2枚以上持ち上げると2つに割れる、皿洗いで綺麗に洗おうとすると手に持った皿がバラバラに割れる、シーツ交換してるとシーツが指圧に耐え切れず破ける、掃除で箒が折れる、ハタキが粉になる等など…
正直パワフル過ぎてやばー!!!ってなった

昔からしてきた食事の所作とかはなんとなく感覚でできるけど、やったこの無いことに対して力加減がわからない…精密に動かそうとすると大破させてしまう…仕事もろくにこなせないと落ち込む双子…メアリーや他のメイド、執事達もやる気はあるのに仕事面で力の制御が出来ない二人を哀れに思うそんな状況が置きてしまったのだ

このままでは新入社員が辞めてしまう!職場関係がギスギスしてしまう!とおれの中の磯野の記憶が叫んだのを覚えてる



磯野よ、お前前世でなんの仕事してた?おれの事なんだけどその辺は思い出せない…けど、ガラレナとノヴィが物凄く生前感じた新入社員の後輩と重なった気がしたんだ…このままではだめだって






そんな理由で現在………



「おはようございます!リデン様!」

「リデン様、おはようございます…!」

「二人ともおはよう!あ!それ!昨日切り出してた木材の!どう?設計図通りできそう!?見せて見せて!」


徐々に確実に大きくなっていくお腹を労りつつ作業中の双子の元に駆け寄ると、木材と魔綿花で出来た小型の手押し車が置いてある
緩やかなカーブを描く箱のような形状…上部は開閉が可能で中には小さなベットが置けそうなスペースが用意されていて…
おっと、これはこれは…すごーー!!!紛う事なきベビーカーが着々と完成されているではないか!!!


「うわっ上手い!流石ー!魔力操作とその腕力!!二人とも凄いよ!」


おれの言葉にガラレナもノヴィも嬉しそうに微笑んでくれる…自分たちにこんな才能があったのかと嬉しそうに…不安そうな顔しなくなってる!よかった!
剛腕過ぎで通常業務が行えなかった新入社員の2人は、当初の予定通り別邸で働いて貰う事にした
業務内容にメイドや執事がするおれたちの身の回りの世話や掃除は入れずに、畑仕事とおれが図案を作るからちょっと形にしてみない?って仕事をして貰っている

畑仕事はなんとなく出来そうだなーってイメージはそのイメージ通り、畑を耕すって点でその力強さが土をフワッフワにしてくれるし、水くれも魔法無しで物理的にスプリンクラーできるやばい双子だったけど、さらに2人は双子的な魔力の扱いがとても上手だった事に気付いてからチュウ太くん先生指導の元、魔力操作と腕力を活かし木材加工と魔獣素材を集めてこの世界に無いベビー商品を作ってもらおう作戦を決行中なのだ
皿なら割れるが、木材なら魔力込めたらしなるだけ…!
シーツなら破れるが、魔獣の毛皮は伸びるだけ…!
チュウ太くんが管理していた畑と温泉はそろそろこの2人に任せてもいい!って喜んでる!



なんてことでしょう…素晴らしい配属だと思う
あと、この世界?ベビーカー無いし、チャイルドシート無いし、哺乳瓶の変わりになんとかっていう魔獣の胃袋を加工して使ってるとかも聞いた…!

おれ、ママになるわけだし自分で使うようにベビー用品もその内作ろうと思ってたから丁度よかったと思う
この世界の歴史を変えるつもりは無いからおれがこれから生まれてくる子達に与えたいものを作る!その願いを双子が手伝ってくれるのが嬉しい




「リデン様、このべひーかぁ?のベットの部分はお子様の為にも肌に優しい品質の物を使った方がいいと思いますの
ノヴィとちょっと国境付近に生息している魔獣、オーガニックヘアーバジリスクの体毛を毟りに外出してきてもよろしいでしょうか?」

「有機栽培の毛って何!?バジリスクに毛が生えてるの!?ってツッコミはしないでおくよ
気を付けてね、いってらっしゃい」


いってきますと、服をその場で脱ぎ捨て獣化する双子…ムキムキの美しいバイソンな双子は驚きの速さで駆け出していく…彼らはもう貴族なんてプライドも無く、ただ毎日を必死に生きる普通の獣人なんだ…




「奥様!リデン様!双子が心配なのはわかりますが大丈夫ですから!おいらに任せて下さいな!
てか!!!そんな薄着で外をウロウロしてたらフリード様が気絶しますよ!?
ささ、一回おいらとお部屋で温まりましょ!」

可愛いショタ、チュウ太くんにこっちですと連れられて別邸でお茶をするのも楽しい
双子が心配なのは当然だろ!おれが欲しいって採用した新入社員なんだから!でも、チュウ太くんがちゃんと色々教えてくれて、他の使用人達との橋渡しもしてくれてること知ってるんだぜ!


またチュウ太くんの冷蔵庫に高級チーズを入れておこう…そう思いつつ、フリード様が窓を割る勢いでおれを探しに来てくれた事に喜びながら…今日も平和だ最高ってこの何気ない時間を噛み締めた











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