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騒動編
来訪者
しおりを挟む「本日はアデルバイト辺境伯夫人とお会いできて光栄ですわ、わたくしパリッジ公爵家が八女、ナタネブラ.パリッジ…隣はサライド侯爵家の十二女のマリネ様、十三女のフライ様
今日はアデルバイト辺境伯夫人に素晴らしいお話を持ってきましたの………
ふふ、なんだと思います?ああ、人族では考えもつかない事だとは思いますけど………
ねぇ、私達をフリード様の第二夫人にしませんこと?」
「…………………いやー…申し訳ございません、しがない人族の私では第二夫人等のお話は判断致しかねます…フリード様が在宅の際に今一度お話をして頂けませんか?」
「…………………っ!!!!はっ!??!わたくし達が夫人となるのよ!?即答以外の言葉がありまして!?それをフリード様に直接!?まぁ、なんて物わかりが無い方なのかしら!?
もういいです、お邪魔しましたわ!帰りますよあなた達!」
ああ…この話何回目だろうか…
発情期休暇を得るための準備としてフリード様がアデルバイト辺境伯邸を日中不在にするようになって早1週間…寂しく夫の帰りを待つ妻だとのんきにしていられたのもつかの間、翌日から事態は急変した
おれは今、ドラレイド帝国…獣人の常識に頭を痛めている
獣人大国ドラレイド帝国
脳筋と拳と直感で大きくなったこの国では、子は宝、子が多ければ種族繁栄、つまり子孫繁栄を大切にしている…
子が多ければ…その部分に当たる伝統?がラヴ様の時にも聞いた群れという考え、一夫多妻という夫婦の形だ
皇帝含め、一夫多妻で群れを作る家庭も多い…しかしそうじゃない家庭ももちろんある…中々に難しい問題らしいが、その群れの作り方…それをおれは知らなかった
この国で群れとは一匹の雄に複数の雌がいる事で成立する
文字的に一夫多妻となり群れを作るが、その群れに入る為には最初の妻の同意や夫への紹介が必要とかそんな事情があるなんて人族にはわかりません!!
そう、おれは現在、獣人族らしい問題…一夫多妻問題に直面しているのだ…
旦那様であるフリード様が辺境伯邸を不在にして直後、第二夫人を狙う?自分を売り込む?客人がめちゃめちゃ来ている
一人二人じゃなくさっきみたいに三人セットとか普通に来る…招かれざる客がこうもひっきりなしに現れるとか誰が想像しただろうか…してない!
早くフリード様帰ってこないかな♡って編み物でもして待っていようと思ったのに…こうも毎日毎日毎日美女からグラマラスからショタからおっさんまで幅広くご来店してくるのだ
アポイントメント?一応来るが、おれにお祝いの言葉を言いたいって言われたら断り辛い!それに通信魔法じゃなくて走ってくるアポイントメント担当の方々にいいお返事持たせてあげないのなんか辛い!
だってさ、「ご懐妊おめでとうございます」まではちゃんと言ってくれるんだよご来客の皆さん…ありがとうだそこまでは!
しかしその次のワードが「話は変わりますけど第二夫人はお考えで?」に繋がる………ドラレイド帝国の常識怖い
もちろん即座にフリード様にも相談し、自分は一夫一妻だとあらゆる場所で言ってくれて、今回訪問して来た者への対応も済んでいる…
でも、動物の世界って雌ポジが強いんだ…
お近くの雌ポジション…ラヴ様は物理的に強いが、うさぎ族であるメアリーも強い…他のご家庭も物理的にある程度強い
強い雌が強い雄の子を孕む事も良いこと…自ら強い雌だと証明し妻に収まる者も居るくらい強い
つまり、つまりだ、簡単に言うと一夫多妻で子沢山なドラレイド帝国では一夫多妻で群れに入る形で嫁ぐ者が殆ど、だからこそなるべく強く、美しい雄に嫁ぎたくなるもの女心!ついでに男が基本当主となれば子沢山で生まれた他の男児はもれなく嫁枠、こちらも強く美しい旦那に嫁ぎたいと思う心がとんでもなくある…
そこにフリード様という超最高な物件が一夫一妻?そんなの勿体ないわ!もっと強い雌が必要よ!私を第二夫人にしなさいよ!と売り込みに来ている…そんな状況…
「メアリー………フリード様がモテるのはわかった、確かにあんなにかっこいい人はいないとおれだって思う!けど、けどさ…なんでこうも毎日毎日毎日毎日群れに入れろよって人ばっかり来るの!?!
一夫一妻なご家庭もあるって話だったよね!?」
「客人の対応お疲れ様でございますリデン様………まさかこれ程まで毎日毎日来るとは我々も想像しておりませんでしたわ…一夫一妻もありますが、基本は一夫多妻になってしまうのです…譲嫁もある国ですので…
けど、ここまで来るのはドラレイド帝国内でフリード様のリデン様溺愛の話がかなり広まっているからですね」
ええ!?…フリード様からの溺愛も関係してるの?人族のおれを溺愛している…って事実が自ら売り込み多い事件の原因なの?!!
よくよく聞いたらフリード様、元々鮮血の人狼って呼ばれるくらい非常に恐れられてて、結婚適齢期になっても誰も嫁いで来ようとしなかったらしい
嫁いだら食われる!って変な噂があったとかなんとか…
だからこそ、人族で弱くて、更には男のおれが妻になれるなら自分もなれると…今になって高物件を逃すなんて勿体ない!おれさえ言葉でねじ伏せれば第二夫人の座は自分のものに…そんな感じでフリード様がいない間に物凄く来る!
………なるほど!?!迷惑過ぎる!!
「リデン様…パンデミック公爵家からお祝いのお言葉を伝えたいと来訪の知らせが………」
「あーーー………うん、はい………お会いします……」
旦那様の不在時、おれはまた一つドラレイド帝国について学んでいる…学んで、いる…早く帰ってこないかなフリード様!!!!
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