離縁しようぜ旦那様

たなぱ

文字の大きさ
上 下
80 / 108
騒動編

来訪者

しおりを挟む





「本日はアデルバイト辺境伯夫人とお会いできて光栄ですわ、わたくしパリッジ公爵家が八女、ナタネブラ.パリッジ…隣はサライド侯爵家の十二女のマリネ様、十三女のフライ様

今日はアデルバイト辺境伯夫人に素晴らしいお話を持ってきましたの………
ふふ、なんだと思います?ああ、人族では考えもつかない事だとは思いますけど………
ねぇ、私達をフリード様の第二夫人にしませんこと?」


「…………………いやー…申し訳ございません、しがない人族の私では第二夫人等のお話は判断致しかねます…フリード様が在宅の際に今一度お話をして頂けませんか?」


「…………………っ!!!!はっ!??!わたくし達が夫人となるのよ!?即答以外の言葉がありまして!?それをフリード様に直接!?まぁ、なんて物わかりが無い方なのかしら!?
もういいです、お邪魔しましたわ!帰りますよあなた達!」



ああ…この話何回目だろうか…
発情期休暇を得るための準備としてフリード様がアデルバイト辺境伯邸を日中不在にするようになって早1週間…寂しく夫の帰りを待つ妻だとのんきにしていられたのもつかの間、翌日から事態は急変した

おれは今、ドラレイド帝国…獣人の常識に頭を痛めている



獣人大国ドラレイド帝国
脳筋と拳と直感で大きくなったこの国では、子は宝、子が多ければ種族繁栄、つまり子孫繁栄を大切にしている…
子が多ければ…その部分に当たる伝統?がラヴ様の時にも聞いた群れという考え、一夫多妻という夫婦の形だ
皇帝含め、一夫多妻で群れを作る家庭も多い…しかしそうじゃない家庭ももちろんある…中々に難しい問題らしいが、その群れの作り方…それをおれは知らなかった

この国で群れとは一匹の雄に複数の雌がいる事で成立する
文字的に一夫多妻となり群れを作るが、その群れに入る為には最初の妻の同意や夫への紹介が必要とかそんな事情があるなんて人族にはわかりません!!





そう、おれは現在、獣人族らしい問題…一夫多妻問題に直面しているのだ…
旦那様であるフリード様が辺境伯邸を不在にして直後、第二夫人を狙う?自分を売り込む?客人がめちゃめちゃ来ている
一人二人じゃなくさっきみたいに三人セットとか普通に来る…招かれざる客がこうもひっきりなしに現れるとか誰が想像しただろうか…してない!

早くフリード様帰ってこないかな♡って編み物でもして待っていようと思ったのに…こうも毎日毎日毎日美女からグラマラスからショタからおっさんまで幅広くご来店してくるのだ


アポイントメント?一応来るが、おれにお祝いの言葉を言いたいって言われたら断り辛い!それに通信魔法じゃなくて走ってくるアポイントメント担当の方々にいいお返事持たせてあげないのなんか辛い!

だってさ、「ご懐妊おめでとうございます」まではちゃんと言ってくれるんだよご来客の皆さん…ありがとうだそこまでは!
しかしその次のワードが「話は変わりますけど第二夫人はお考えで?」に繋がる………ドラレイド帝国の常識怖い

もちろん即座にフリード様にも相談し、自分は一夫一妻だとあらゆる場所で言ってくれて、今回訪問して来た者への対応も済んでいる…


でも、動物の世界って雌ポジが強いんだ…
お近くの雌ポジション…ラヴ様は物理的に強いが、うさぎ族であるメアリーも強い…他のご家庭も物理的にある程度強い
強い雌が強い雄の子を孕む事も良いこと…自ら強い雌だと証明し妻に収まる者も居るくらい強い



つまり、つまりだ、簡単に言うと一夫多妻で子沢山なドラレイド帝国では一夫多妻で群れに入る形で嫁ぐ者が殆ど、だからこそなるべく強く、美しい雄に嫁ぎたくなるもの女心!ついでに男が基本当主となれば子沢山で生まれた他の男児はもれなく嫁枠、こちらも強く美しい旦那に嫁ぎたいと思う心がとんでもなくある…

そこにフリード様という超最高な物件が一夫一妻?そんなの勿体ないわ!もっと強い雌が必要よ!私を第二夫人にしなさいよ!と売り込みに来ている…そんな状況…



「メアリー………フリード様がモテるのはわかった、確かにあんなにかっこいい人はいないとおれだって思う!けど、けどさ…なんでこうも毎日毎日毎日毎日群れに入れろよって人ばっかり来るの!?!
一夫一妻なご家庭もあるって話だったよね!?」

「客人の対応お疲れ様でございますリデン様………まさかこれ程まで毎日毎日来るとは我々も想像しておりませんでしたわ…一夫一妻もありますが、基本は一夫多妻になってしまうのです…譲嫁もある国ですので…
けど、ここまで来るのはドラレイド帝国内でフリード様のリデン様溺愛の話がかなり広まっているからですね」



ええ!?…フリード様からの溺愛も関係してるの?人族のおれを溺愛している…って事実が自ら売り込み多い事件の原因なの?!!


よくよく聞いたらフリード様、元々鮮血の人狼って呼ばれるくらい非常に恐れられてて、結婚適齢期になっても誰も嫁いで来ようとしなかったらしい
嫁いだら食われる!って変な噂があったとかなんとか…
だからこそ、人族で弱くて、更には男のおれが妻になれるなら自分もなれると…今になって高物件を逃すなんて勿体ない!おれさえ言葉でねじ伏せれば第二夫人の座は自分のものに…そんな感じでフリード様がいない間に物凄く来る!





………なるほど!?!迷惑過ぎる!!



「リデン様…パンデミック公爵家からお祝いのお言葉を伝えたいと来訪の知らせが………」


「あーーー………うん、はい………お会いします……」



旦那様の不在時、おれはまた一つドラレイド帝国について学んでいる…学んで、いる…早く帰ってこないかなフリード様!!!!












しおりを挟む
感想 105

あなたにおすすめの小説

もう人気者とは付き合っていられません

花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。 モテるのは当然だ。でも――。 『たまには二人だけで過ごしたい』 そう願うのは、贅沢なのだろうか。 いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。 「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。 ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。 生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。 ※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中

悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!

梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!? 【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】 ▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。 ▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。 ▼毎日18時投稿予定

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

急に運命の番と言われても。夜会で永遠の愛を誓われ駆け落ちし、数年後ぽい捨てされた母を持つ平民娘は、氷の騎士の甘い求婚を冷たく拒む。

石河 翠
恋愛
ルビーの花屋に、隣国の氷の騎士ディランが現れた。 雪豹の獣人である彼は番の匂いを追いかけていたらしい。ところが花屋に着いたとたんに、手がかりを失ってしまったというのだ。 一時的に鼻が詰まった人間並みの嗅覚になったディランだが、番が見つかるまでは帰らないと言い張る始末。ルビーは彼の世話をする羽目に。 ルビーと喧嘩をしつつ、人間についての理解を深めていくディラン。 その後嗅覚を取り戻したディランは番の正体に歓喜し、公衆の面前で結婚を申し込むが冷たく拒まれる。ルビーが求婚を断ったのには理由があって……。 愛されることが怖い臆病なヒロインと、彼女のためならすべてを捨てる一途でだだ甘なヒーローの恋物語。 この作品は、他サイトにも投稿しております。 扉絵は写真ACより、チョコラテさまの作品(ID25481643)をお借りしています。

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?

こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。 「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」 そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。 【毒を検知しました】 「え?」 私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。 ※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

別れの夜に

大島Q太
BL
不義理な恋人を待つことに疲れた青年が、その恋人との別れを決意する。しかし、その別れは思わぬ方向へ。

婚約者の番

毛蟹葵葉
恋愛
私の婚約者は、獅子の獣人だ。 大切にされる日々を過ごして、私はある日1番恐れていた事が起こってしまった。 「彼を譲ってくれない?」 とうとう彼の番が現れてしまった。

処理中です...