離縁しようぜ旦那様

たなぱ

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溺愛編

実家と再会

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「ああ、おかえりリデン!待っていたよ、無事で何より…元気そうで父は嬉しいよ、……で、予定日はいつかな?」

「ただいま戻りました父様…………「リデンーーー!リデン!リデン!!!!」………ん?」



 楽しい野営生活を二泊三日程行い、最速ルートを突き進んだ結果、想像よりも早くハミルトン公爵家に到着した
 久々に見る実家は懐かしくて…レラージェ国に入る時の゙国境でフリード様の顔を見て気絶する兵がいた事とか一瞬で忘れるくらい帰ってこれたって気持ちになる…
 玄関まで父様迎えに来てくれてた事も嬉しかった…が、なんかまた絶妙に引っかかる事を言った気がする…しかし、兄様がおれに突撃してきた為、詳しく聞くことは出来なかった



「リデン!!おかえり!!!辛かっただろう?食事も満足にさせて貰えなくてこんなに痩せて……ない!!いや……ろくに風呂にも入れて貰えず肌もガサガサになって………ない!!
 いやいやいや、非道な冷遇生活をしてその目からは涙が………流れてない!!!!
 ううっ…畜生健康そのものじゃないかっ……リデン、元気そうでお兄様は嬉しいよ…」


「ただいまです、兄様…あの、おれが冷遇されてた件とか誤解だったって話聞いてますよね!?おれめちゃめちゃ大切にされてるんですごく元気ですから!
 見て、兄様!お肌、レラージェ国にいた時の倍近くモチモチしてます!」


「うううっモチモチしてるぅ……お兄ちゃんまじで心配したんだよ?第二王子と聖女連れてけよ!ゴミのように扱うならそっちだろって…心配だったんだ……ううっううっ…」


 フリード様とラヴ様が何してんだこいつらって目をしてるが、仕方ないんだ…
 なにせハミルトン公爵家の次期当主である、お兄様は極度の心配性…あとなんかブラコンに片足を突っ込んでいる残念兄なのだから…だから事前にフリード様にはブラコンな兄がいますと言ってから再会しているのである

 背後からの視線がすごく痛い、兄よ…そろそろ弟離れしようぜ?精神年齢足したらおれのほうがお兄ちゃんなんだから!



 そんな事を言ってたら母様が玄関で何してんのよって呼びに来て、せっかくの客人放置して弟にしがみついてないでと兄様が剥がされ床に沈んだり、父様とフリード様が再会して息子を頼む!もちろん!って会話を何度もしてたり…ラヴ様が初めて見る人国の貴族の屋敷にワクワクしてたり、パン屋な御者おじちゃんは庭師のおじちゃんと意気投合してたり…

 結局玄関で1時間ほど過ごしたのだった




「あなた、今日の目的を忘れたの?リデンが里帰りしてくる嬉しい日ではあるけど、他国からの要人を迎えているのですよ?再会の事を忘れてませんか?
 アデルバイト前辺境伯夫人をお待たせしていいの?」


 母様の適切なツッコミに皆現実に戻り、コック長が晩餐会の準備をしている食堂に皆で向かった
そうだ…今日ここに来たのはおれの里帰りが目的じゃない…ラヴ様に迷子の前当主を会わせてあげる…それが目的じゃないか…!!
危うくおれもフリード様に自室を案内してのんびりする気だった…!平和って恐ろしい…!

今日、コック長にはラヴ様が来ることは伝えていない…しかしフリード様の゙話を聞くに既に嗅覚できっとラヴ様が居ることに気づいては居るはずなのだと…
たが、現時点までコック長であるガダケルト様が逃亡したという情報は入ってこない…つまりは逃げる事を考えては居ないそう言う事だろう



食堂までの道のりが長く感じる…この先にコック長が晩餐会の準備をして待っててる…コック長と言うなのアデルバイト辺境伯家前当主が…!!!
皆、食堂の扉を前に何故か一言も喋らなくなり、まるで肝試しのように少し怯えながら、ゆっくりと父様が食堂の扉を開けた…
そこにはコック帽を胸に涙を流したガダケルト様…もといハミルトン公爵家のコック長が佇む
よく見たら本当にムキムキボディ過ぎてなんで今まで違和感に感じなかったのか…不思議なくらいだ
何となく上手く擬態してるが、狼耳らしきものもあるじゃん!と今更ながら気づく



「皆様…ようこそお越しくださいました………っ……ラヴ………フリード…………まさかここに来るとは…っ…こんな姿ですまない…」


「父上…………」


「ガダ………ケルト様………?ガダケルト様…なの…?あ、あああっ…………会いたかった………!!」



コック長が涙ぐみながら言葉を紡ぐ、その声にラヴ様の歓喜に泣く声が聞こえる
愛する夫であり、自分の腹に宿るこの父である存在が目の前に居るんだ…その反応は間違いじゃない


ラヴ様は食堂の中へ駆け出す、ガダケルト様の分厚い筋肉の胸に飛び込むように抱きしめ、太い腕にそして抱きしめ返されていた
キラキラと周りを舞う光の粒は埃とかのゴミじゃない…これはきっとラヴ様の不死鳥的なあれだ…たぶん…
他国の貴族の家で走り出すなど普通なら礼儀知らずと言われてもおかしくない、けどラヴ様とがガダケルト様の再会はまるでドラマのワンシーンのような…映画の感動シーンのような不思議な雰囲気があった

なんで勝手に最強目指してどっかいったんだよとか、何故連絡もよこさずにコックなんかしてるんだよとか…色々聞かなくていいのか!?っておれだけが思っているのか?まじ?と思いつつ幸せそうな再会のシーンを眺めていたが…





フリード様も同じ考えだったようで、感動で誤魔化してんじゃねぇと、ガダケルト様を一発殴ってくれた







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