40 / 75
溺愛編
実家と再会
しおりを挟む「ああ、おかえりリデン!待っていたよ、無事で何より…元気そうで父は嬉しいよ、……で、予定日はいつかな?」
「ただいま戻りました父様…………「リデンーーー!リデン!リデン!!!!」………ん?」
楽しい野営生活を二泊三日程行い、最速ルートを突き進んだ結果、想像よりも早くハミルトン公爵家に到着した
久々に見る実家は懐かしくて…レラージェ国に入る時の゙国境でフリード様の顔を見て気絶する兵がいた事とか一瞬で忘れるくらい帰ってこれたって気持ちになる…
玄関まで父様迎えに来てくれてた事も嬉しかった…が、なんかまた絶妙に引っかかる事を言った気がする…しかし、兄様がおれに突撃してきた為、詳しく聞くことは出来なかった
「リデン!!おかえり!!!辛かっただろう?食事も満足にさせて貰えなくてこんなに痩せて……ない!!いや……ろくに風呂にも入れて貰えず肌もガサガサになって………ない!!
いやいやいや、非道な冷遇生活をしてその目からは涙が………流れてない!!!!
ううっ…畜生健康そのものじゃないかっ……リデン、元気そうでお兄様は嬉しいよ…」
「ただいまです、兄様…あの、おれが冷遇されてた件とか誤解だったって話聞いてますよね!?おれめちゃめちゃ大切にされてるんですごく元気ですから!
見て、兄様!お肌、レラージェ国にいた時の倍近くモチモチしてます!」
「うううっモチモチしてるぅ……お兄ちゃんまじで心配したんだよ?第二王子と聖女連れてけよ!ゴミのように扱うならそっちだろって…心配だったんだ……ううっううっ…」
フリード様とラヴ様が何してんだこいつらって目をしてるが、仕方ないんだ…
なにせハミルトン公爵家の次期当主である、お兄様は極度の心配性…あとなんかブラコンに片足を突っ込んでいる残念兄なのだから…だから事前にフリード様にはブラコンな兄がいますと言ってから再会しているのである
背後からの視線がすごく痛い、兄よ…そろそろ弟離れしようぜ?精神年齢足したらおれのほうがお兄ちゃんなんだから!
そんな事を言ってたら母様が玄関で何してんのよって呼びに来て、せっかくの客人放置して弟にしがみついてないでと兄様が剥がされ床に沈んだり、父様とフリード様が再会して息子を頼む!もちろん!って会話を何度もしてたり…ラヴ様が初めて見る人国の貴族の屋敷にワクワクしてたり、パン屋な御者おじちゃんは庭師のおじちゃんと意気投合してたり…
結局玄関で1時間ほど過ごしたのだった
「あなた、今日の目的を忘れたの?リデンが里帰りしてくる嬉しい日ではあるけど、他国からの要人を迎えているのですよ?再会の事を忘れてませんか?
アデルバイト前辺境伯夫人をお待たせしていいの?」
母様の適切なツッコミに皆現実に戻り、コック長が晩餐会の準備をしている食堂に皆で向かった
そうだ…今日ここに来たのはおれの里帰りが目的じゃない…ラヴ様に迷子の前当主を会わせてあげる…それが目的じゃないか…!!
危うくおれもフリード様に自室を案内してのんびりする気だった…!平和って恐ろしい…!
今日、コック長にはラヴ様が来ることは伝えていない…しかしフリード様の゙話を聞くに既に嗅覚できっとラヴ様が居ることに気づいては居るはずなのだと…
たが、現時点までコック長であるガダケルト様が逃亡したという情報は入ってこない…つまりは逃げる事を考えては居ないそう言う事だろう
食堂までの道のりが長く感じる…この先にコック長が晩餐会の準備をして待っててる…コック長と言うなのアデルバイト辺境伯家前当主が…!!!
皆、食堂の扉を前に何故か一言も喋らなくなり、まるで肝試しのように少し怯えながら、ゆっくりと父様が食堂の扉を開けた…
そこにはコック帽を胸に涙を流したガダケルト様…もといハミルトン公爵家のコック長が佇む
よく見たら本当にムキムキボディ過ぎてなんで今まで違和感に感じなかったのか…不思議なくらいだ
何となく上手く擬態してるが、狼耳らしきものもあるじゃん!と今更ながら気づく
「皆様…ようこそお越しくださいました………っ……ラヴ………フリード…………まさかここに来るとは…っ…こんな姿ですまない…」
「父上…………」
「ガダ………ケルト様………?ガダケルト様…なの…?あ、あああっ…………会いたかった………!!」
コック長が涙ぐみながら言葉を紡ぐ、その声にラヴ様の歓喜に泣く声が聞こえる
愛する夫であり、自分の腹に宿るこの父である存在が目の前に居るんだ…その反応は間違いじゃない
ラヴ様は食堂の中へ駆け出す、ガダケルト様の分厚い筋肉の胸に飛び込むように抱きしめ、太い腕にそして抱きしめ返されていた
キラキラと周りを舞う光の粒は埃とかのゴミじゃない…これはきっとラヴ様の不死鳥的なあれだ…たぶん…
他国の貴族の家で走り出すなど普通なら礼儀知らずと言われてもおかしくない、けどラヴ様とがガダケルト様の再会はまるでドラマのワンシーンのような…映画の感動シーンのような不思議な雰囲気があった
なんで勝手に最強目指してどっかいったんだよとか、何故連絡もよこさずにコックなんかしてるんだよとか…色々聞かなくていいのか!?っておれだけが思っているのか?まじ?と思いつつ幸せそうな再会のシーンを眺めていたが…
フリード様も同じ考えだったようで、感動で誤魔化してんじゃねぇと、ガダケルト様を一発殴ってくれた
2,803
お気に入りに追加
5,001
あなたにおすすめの小説
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
【完結済】病弱な姉に婚約者を寝取られたので、我慢するのをやめる事にしました。
夜乃トバリ
恋愛
シシュリカ・レーンには姉がいる。儚げで美しい姉――病弱で、家族に愛される姉、使用人に慕われる聖女のような姉がいる――。
優しい優しいエウリカは、私が家族に可愛がられそうになるとすぐに体調を崩す。
今までは、気のせいだと思っていた。あんな場面を見るまでは……。
※他の作品と書き方が違います※
『メリヌの結末』と言う、おまけの話(補足)を追加しました。この後、当日中に『レウリオ』を投稿予定です。一時的に完結から外れますが、本日中に完結設定に戻します。
偽物の番は溺愛に怯える
にわとりこ
BL
『ごめんね、君は偽物だったんだ』
最悪な記憶を最後に自らの命を絶ったはずのシェリクスは、全く同じ姿かたち境遇で生まれ変わりを遂げる。
まだ自分を《本物》だと思っている愛する人を前にシェリクスは───?
愛することをやめたら、怒る必要もなくなりました。今さら私を愛する振りなんて、していただかなくても大丈夫です。
石河 翠
恋愛
貴族令嬢でありながら、家族に虐げられて育ったアイビー。彼女は社交界でも人気者の恋多き侯爵エリックに望まれて、彼の妻となった。
ひとなみに愛される生活を夢見たものの、彼が欲していたのは、夫に従順で、家の中を取り仕切る女主人のみ。先妻の子どもと仲良くできない彼女をエリックは疎み、なじる。
それでもエリックを愛し、結婚生活にしがみついていたアイビーだが、彼の子どもに言われたたった一言で心が折れてしまう。ところが、愛することを止めてしまえばその生活は以前よりも穏やかで心地いいものになっていて……。
愛することをやめた途端に愛を囁くようになったヒーローと、その愛をやんわりと拒むヒロインのお話。
この作品は他サイトにも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID 179331)をお借りしております。
婚約者は運命の番(笑)を見つけたらしいので俺も運命の番を見つけます
i
BL
俺の婚約者であるオリオ・オフニス侯爵令息は、浮気をしていた。しかもその相手は平民のオメガだった。俺はオリオに問い詰めようとしたが、偶然にも平民のオメガとオリオが関係を持っている現場を目撃してしまった。
翌日、俺は婚約破棄の手紙を受け取った。
俺はどうしても彼を許すことが出来ず、彼に小さな復讐をしてやろうと決意する──。
竜人の王である夫に運命の番が見つかったので離婚されました。結局再婚いたしますが。
重田いの
恋愛
竜人族は少子化に焦っていた。彼らは卵で産まれるのだが、その卵はなかなか孵化しないのだ。
少子化を食い止める鍵はたったひとつ! 運命の番様である!
番様と番うと、竜人族であっても卵ではなく子供が産まれる。悲劇を回避できるのだ……。
そして今日、王妃ファニアミリアの夫、王レヴニールに運命の番が見つかった。
離婚された王妃が、結局元サヤ再婚するまでのすったもんだのお話。
翼と角としっぽが生えてるタイプの竜人なので苦手な方はお気をつけて~。
愛する人
斯波良久@出来損ないΩの猫獣人発売中
BL
「ああ、もう限界だ......なんでこんなことに!!」
応接室の隙間から、頭を抱える夫、ルドルフの姿が見えた。リオンの帰りが遅いことを知っていたから気が緩み、屋敷で愚痴を溢してしまったのだろう。
三年前、ルドルフの家からの申し出により、リオンは彼と政略的な婚姻関係を結んだ。けれどルドルフには愛する男性がいたのだ。
『限界』という言葉に悩んだリオンはやがてひとつの決断をする。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる