離縁しようぜ旦那様

たなぱ

文字の大きさ
上 下
40 / 124
溺愛編

実家と再会

しおりを挟む





「ああ、おかえりリデン!待っていたよ、無事で何より…元気そうで父は嬉しいよ、……で、予定日はいつかな?」

「ただいま戻りました父様…………「リデンーーー!リデン!リデン!!!!」………ん?」



 楽しい野営生活を二泊三日程行い、最速ルートを突き進んだ結果、想像よりも早くハミルトン公爵家に到着した
 久々に見る実家は懐かしくて…レラージェ国に入る時の゙国境でフリード様の顔を見て気絶する兵がいた事とか一瞬で忘れるくらい帰ってこれたって気持ちになる…
 玄関まで父様迎えに来てくれてた事も嬉しかった…が、なんかまた絶妙に引っかかる事を言った気がする…しかし、兄様がおれに突撃してきた為、詳しく聞くことは出来なかった



「リデン!!おかえり!!!辛かっただろう?食事も満足にさせて貰えなくてこんなに痩せて……ない!!いや……ろくに風呂にも入れて貰えず肌もガサガサになって………ない!!
 いやいやいや、非道な冷遇生活をしてその目からは涙が………流れてない!!!!
 ううっ…畜生健康そのものじゃないかっ……リデン、元気そうでお兄様は嬉しいよ…」


「ただいまです、兄様…あの、おれが冷遇されてた件とか誤解だったって話聞いてますよね!?おれめちゃめちゃ大切にされてるんですごく元気ですから!
 見て、兄様!お肌、レラージェ国にいた時の倍近くモチモチしてます!」


「うううっモチモチしてるぅ……お兄ちゃんまじで心配したんだよ?第二王子と聖女連れてけよ!ゴミのように扱うならそっちだろって…心配だったんだ……ううっううっ…」


 フリード様とラヴ様が何してんだこいつらって目をしてるが、仕方ないんだ…
 なにせハミルトン公爵家の次期当主である、お兄様は極度の心配性…あとなんかブラコンに片足を突っ込んでいる残念兄なのだから…だから事前にフリード様にはブラコンな兄がいますと言ってから再会しているのである

 背後からの視線がすごく痛い、兄よ…そろそろ弟離れしようぜ?精神年齢足したらおれのほうがお兄ちゃんなんだから!



 そんな事を言ってたら母様が玄関で何してんのよって呼びに来て、せっかくの客人放置して弟にしがみついてないでと兄様が剥がされ床に沈んだり、父様とフリード様が再会して息子を頼む!もちろん!って会話を何度もしてたり…ラヴ様が初めて見る人国の貴族の屋敷にワクワクしてたり、パン屋な御者おじちゃんは庭師のおじちゃんと意気投合してたり…

 結局玄関で1時間ほど過ごしたのだった




「あなた、今日の目的を忘れたの?リデンが里帰りしてくる嬉しい日ではあるけど、他国からの要人を迎えているのですよ?再会の事を忘れてませんか?
 アデルバイト前辺境伯夫人をお待たせしていいの?」


 母様の適切なツッコミに皆現実に戻り、コック長が晩餐会の準備をしている食堂に皆で向かった
そうだ…今日ここに来たのはおれの里帰りが目的じゃない…ラヴ様に迷子の前当主を会わせてあげる…それが目的じゃないか…!!
危うくおれもフリード様に自室を案内してのんびりする気だった…!平和って恐ろしい…!

今日、コック長にはラヴ様が来ることは伝えていない…しかしフリード様の゙話を聞くに既に嗅覚できっとラヴ様が居ることに気づいては居るはずなのだと…
たが、現時点までコック長であるガダケルト様が逃亡したという情報は入ってこない…つまりは逃げる事を考えては居ないそう言う事だろう



食堂までの道のりが長く感じる…この先にコック長が晩餐会の準備をして待っててる…コック長と言うなのアデルバイト辺境伯家前当主が…!!!
皆、食堂の扉を前に何故か一言も喋らなくなり、まるで肝試しのように少し怯えながら、ゆっくりと父様が食堂の扉を開けた…
そこにはコック帽を胸に涙を流したガダケルト様…もといハミルトン公爵家のコック長が佇む
よく見たら本当にムキムキボディ過ぎてなんで今まで違和感に感じなかったのか…不思議なくらいだ
何となく上手く擬態してるが、狼耳らしきものもあるじゃん!と今更ながら気づく



「皆様…ようこそお越しくださいました………っ……ラヴ………フリード…………まさかここに来るとは…っ…こんな姿ですまない…」


「父上…………」


「ガダ………ケルト様………?ガダケルト様…なの…?あ、あああっ…………会いたかった………!!」



コック長が涙ぐみながら言葉を紡ぐ、その声にラヴ様の歓喜に泣く声が聞こえる
愛する夫であり、自分の腹に宿るこの父である存在が目の前に居るんだ…その反応は間違いじゃない


ラヴ様は食堂の中へ駆け出す、ガダケルト様の分厚い筋肉の胸に飛び込むように抱きしめ、太い腕にそして抱きしめ返されていた
キラキラと周りを舞う光の粒は埃とかのゴミじゃない…これはきっとラヴ様の不死鳥的なあれだ…たぶん…
他国の貴族の家で走り出すなど普通なら礼儀知らずと言われてもおかしくない、けどラヴ様とがガダケルト様の再会はまるでドラマのワンシーンのような…映画の感動シーンのような不思議な雰囲気があった

なんで勝手に最強目指してどっかいったんだよとか、何故連絡もよこさずにコックなんかしてるんだよとか…色々聞かなくていいのか!?っておれだけが思っているのか?まじ?と思いつつ幸せそうな再会のシーンを眺めていたが…





フリード様も同じ考えだったようで、感動で誤魔化してんじゃねぇと、ガダケルト様を一発殴ってくれた







しおりを挟む
感想 140

あなたにおすすめの小説

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

お兄様の指輪が壊れたら、溺愛が始まりまして

みこと。
恋愛
お兄様は女王陛下からいただいた指輪を、ずっと大切にしている。 きっと苦しい片恋をなさっているお兄様。 私はただ、お兄様の家に引き取られただけの存在。血の繋がってない妹。 だから、早々に屋敷を出なくては。私がお兄様の恋路を邪魔するわけにはいかないの。私の想いは、ずっと秘めて生きていく──。 なのに、ある日、お兄様の指輪が壊れて? 全7話、ご都合主義のハピエンです! 楽しんでいただけると嬉しいです! ※「小説家になろう」様にも掲載しています。

幽閉王子は最強皇子に包まれる

皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。 表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

【完】僕の弟と僕の護衛騎士は、赤い糸で繋がっている

たまとら
BL
赤い糸が見えるキリルは、自分には糸が無いのでやさぐれ気味です

私が死んで満足ですか?

マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。 ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。 全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。 書籍化にともない本編を引き下げいたしました

【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします

  *  
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!? しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが吃驚して憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です! めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので! 本編完結しました! 『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく舞踏会編をはじめましたー! 他のお話を読まなくても大丈夫なようにお書きするので、気軽に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。

【完結】悪役令嬢は3歳?〜断罪されていたのは、幼女でした〜

白崎りか
恋愛
魔法学園の卒業式に招かれた保護者達は、突然、王太子の始めた蛮行に驚愕した。 舞台上で、大柄な男子生徒が幼い子供を押さえつけているのだ。 王太子は、それを見下ろし、子供に向って婚約破棄を告げた。 「ヒナコのノートを汚したな!」 「ちがうもん。ミア、お絵かきしてただけだもん!」 小説家になろう様でも投稿しています。

処理中です...