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溺愛編
実家へ帰ります
しおりを挟む「実家に帰らせて頂きます」
「リデン!言い方が何故かとても嫌だ…!その言葉に心臓が気味の悪い音を立てるのがわかる…!
バード、留守の間頼んだ…必ず父上との決着を付けてくる…リデンもちゃんと連れて帰る」
雲一つない美しい晴天のある日…具体的にはガダケルト様を発見してから一週間後
おれは里帰りに、フリード様とラヴ様はガダケルト様を迎えにレラージェ国に向かうことになった
これまでの一週間…すごかったな…
最短二週間辺境伯を不在となるため、フリード様は仕事を驚きの速さで終わらせ、追加の仕事は全て家令と何でもできるショタ、チュウ太くんに割り振り、自分は自由の身となったり
ラヴ様は外出中に不届き者がアデルバイト辺境伯に来ないようとんでもないレベルの障壁魔法を領土に展開し、皇帝から戦か!?と連絡を受けてしまう事態に発展したりと色々…
おれはおれで、実家に持ってくお土産に育てた珍しい野菜と魔獣の肉をメアリーとママ友の様な会話をしつつ準備していた
旅路には街も無い所もある、食料含め荷物が多くならないように空間収納魔法を使っているとメアリーが驚いてたな…長旅とか獣人の国では食料どうするの?って聞いたらカロリーの高い部分を食べて身体に貯蓄すれば半年は水だけで生きれますとか言うんだもん…歩ける冬眠か!!!とツッコミ入れそうになったよおれ…
そんなこんなで魔馬の引く立派な馬車に乗り、おれはレラージェ国へ皆と旅行も含めて里帰りする
どうしよう…乗ってるメンバー的に新婚旅行している夫婦にお姑さんが一緒に着いてきましたみたいな感じになってるの笑う…笑っちゃう…!!
笑いを堪えるおれを、旅行が楽しみなんだなと温かく受け入れてくれる二人すごいなと思いました
パカパカと蹄の音が素晴らしい…馬車の外を眺めてるとなんだか本当に旅みたいで楽しい…レラージェ国内だったらもっと早く転移魔法で移動できるけど、こんな馬車の旅…いいな
おれ、始めてドラレイド帝国にきた時は馬車の窓全部黒塗りだったから何も見えなかったし暗かったし…そんな思い出に浸りながら、誤解が解けてとても優しくなったラヴ様達とも色々話をした
「ぼく、馬車に乗ったの初めてかもしれません
中々にゆっくりと進むんですね?いつも移動の時、飛んでくからこんなにゆっくりと向かうの新鮮です」
「そうだな…俺も普段は走って行く事ばかりだから馬車に乗るのは久々だ
中々に趣がある速度だ…うん、昼寝に丁度いい」
「え、え??その言い方だと皆、普段走り?走ってるの!??え、じゃあドラレイド帝国の馬車って誰が使うんです?てかラヴ様飛ぶの!?」
おれの疑問に二人はふふふと笑いながら教えてくれる…
なんとドラレイド帝国、各々走るか飛ぶかが殆どで…馬車は使わないのだと、むしろ馬車に荷物を乗せて自分で引っ張り移動したり、子供を乗せめ自分で引っ張ったり…するらしい
今回、他国に行くのに自ら馬車引いてたら流石に問題だと話になり急いでその辺にいた魔馬を使い魔にし、御者を用意したそうだ
御者を務めてくれたおじちゃんも普段は街でパンを焼いているのだと…見た目だけ御者っぽいからスカウトしたとそう言われた
ドラレイド帝国、直感と肉体でなんとかしすぎてやべーよ
いやでも…おれは走れないし…フリード様に抱っこされながら走って
連れて行かれるのも嫌だし…獣の姿でレラージェ国入ったら怪獣パニックになるし!?
フリード様達が馬車引いてるのも絶対怪しいから嫌だし…これが一番ベストなのかもしれない
これからレラージェ国に入るまで3日は馬車の旅だ
大きな街を通らず国境を目指す感じに向かうため、街や宿は少ない
しかし、早くガダケルト様に会いたい二人の気持を思うとレラージェ国に早く入って転移魔法を使用したほうが効率的にハミルトン公爵家に行ける
既に父様には連絡済みで、ちょっと実家に帰るよって言ったらなんかすごく喜んでたけど…
ちゃんとコック長の料理も食べたいな!ってコック長の作るオムライス大好きなおれの要望をしっかりと伝えたため、事前に逃げるなんてことは無いはずだ
なんだかんだ内緒でお菓子くれたり…コック長、おれのこと可愛がってくれたんだよな…
なんでラヴ様達を置いて行ってしまったのだろう…そこだけが想像もできず、理解できない
………………
…………
……
野営とは各々が役割を持って迅速に、危険のないようその時々にあった行動を行うものだと、国防大臣であるハミルトン公爵家当主な父様の有り難いお言葉だ
幼い頃から貴族だが国防を担うものとして勉学、礼儀作法、野営、野営、野営の割合で野営をしてきたおれは今回の旅…実のところ本当はとても楽しい
ガダケルト様との感動の再会を目指すためのものだとはわかっていても…!楽しい…
本当は町を通るルートで行けるのにもっと時短で!もっと効率よく!と、森を直で抜ける方に御者のおじちゃんへお願いする程楽しい…!
段々と日が傾いてきた頃、今日はここで野営しようとなった時、おれはドラレイド帝国に来て一番役に立てたのではないかと自分を褒めている
それは何故か…!!それはテントを張ろうかと言ったフリード様のお口を優しく塞ぎ、ハミルトン公爵家方式テント如何ですか?と仕事をしたからだ
1時間後
森の中に新たに一軒の家が建った
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