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溺愛編
迷子の前当主を探せ
しおりを挟むおれが思いついたいい案、それはハミルトン公爵家でもよく使われていた野営中にハイテンションで何処かへ行っていまう新人さん用に編み出した迷子を探す感じでいい感じに探す探知魔法、それで前当主であるフリード様のお父様を探そうというモノだ
「フリード様、前当主様を探すのはどうやって捜索してましたか?」
「?……もちろん匂いと気配を探りながら森や街中を駆け回って…だが…捜索とはそれ以外に何があるんだ?」
やはり魔法を使うなら走れと伝説を残すドラレイド帝国…嗅覚と気配で捜索しかしてなかった
確かに獣人の嗅覚は凄い…どれくらい凄いかというと5キロ先にいるおれがフリード様には分かるほどなのだと…すごい、普通にすごい
しかし、最強を求めてどっかに行ってしまったフリード様のお父様はきっと国内にとどまらず他国にも行っている可能性もある
てか真の奥様は改めお姑さんも被害者な感じがしてきてなんか可哀想になる…脳筋と言うなの何かに苦しめられた嫁じゃん可哀想に…
あの可愛いお顔で野郎でいらっしゃるお姑さんは何処にお子さん宿していらっしゃるのでしょう…なんて疑問は胸の奥底に仕舞い込もう…
気を取り直しておれはフリード様に作戦?を伝える、全属性使えるおれだからこそ一人でも迷子を探せるのだからこういう時に使わないでどうする!
「フリード様、前当主様を迷子扱いする事になりますが、レラージェ国には迷子を効率よく探すいい魔法があるんです…!
それで前当主様を探し出せれば全て解決するなら直にやりましょう!探してお姑さんを安心させてあげましょう!」
迷子?お姑?となんだか疑問な顔をしているフリード様は多分理解をしてないけど頷いてくれた
レラージェ国で占いに精通する闇と光の魔力を持ったものが主に得意とする迷子探知魔法
それは迷子になった子を探そうとする親心を美味いこと念波に乗せて子と繋がっている深層心理の魔力の波動を読み取る魔法である
なんか自分で言ってて説明難しいのだが、親族や恋人など近しい存在が迷子になってないで帰ってこーーーいいと深く念じると、迷子がいる場所をいい感じに映し出せる…そんな魔法なのだ
おれは取り敢えず善は急げと、後片付けを終えてやってきたメアリー達に協力してもらい、もうすぐ夜中になるが床に魔法陣を描き始める
フリード様にはなんとかそのラヴ様を連れてきてほしいと頼み、チュウ太くんには前当主の私物を準備して貰うようお願いする
本来はもっと小さな魔法陣でもいいが、他国に居ることも考え大きめに書き上げる
大きければ大きいほど威力が高くなるからだ
しっかりと魔法陣が完成し、中央に前当主の私物を置く、そしてげっそりとしたフリード様が腕にラヴ様…お姑様を連れてきてくれた所で迷子探知魔法の説明を行った
「ねぇ、旦那様…この旦那様の匂いを酷いくらい付けたふざけた男は誰?ぼくへの当てつけ?最近放置して浮気?浮気してたの?ふざけてんの?焼いていいの?焼くよ?」
いや、行う前に不死鳥だというラヴ様のとんでもなく恐ろしい火力を玄関で見ることになったのは置いておこう…
焼くよってなに?おれ本当に焼かれそうだったの!?フリード様の言っていたことを思い出し、大きく炎の力で玄関に開いた穴をそっと見なかったことにしながら…
「これから、フリード様のお父上である前当主、ガダケルト様の捜索活動を行います
ラヴ様、いえお姑様!!いいですか?あなたが好きなのはこのドラレイド帝国では細マッチョイケメンなフリード様ではなく!こちらの写真に写ってるムキムキマッチョゴリッゴリのイケメンなガダケルト様!間違いないですね!?!」
「うん!…………うんっ!!!そうだよ…っ………ねぇ本当に会えるの?ガダケルト様の胸板にまた押しつぶされるくらい愛してもらえるのかな!?」
お姑様だったラヴ様が純粋恋する乙女野郎で助かった…!フリード様と前当主様全然本当は似てなくて助かった!なんで倍近くも体格から違うのにフリード様を前当主と勘違いしたかわかんないけどそんな事はどうでもいい!
ラヴ様…話してみたら超健気な可哀想な置いていかれたお姑様だったんだから…ムキムキマッチョガダケルト様の胸板をお届けする為にも、迷子探知魔法をさっさと行う
「いいですか?帰ってこい!何処にいるんだ?って気持ちを相手に届くほど祈るのが大切です
その気持をおれの闇が飲み込み光として拡散、魔法陣を触媒に広範囲に広げます!
あなた達は母!前当主様は迷子で泣いてる赤ちゃん!ムキムキの赤ちゃんが泣き叫んでます!はい!母はどうする!?」
「「絶対探し出す!!!!!」」
周囲の闇が父を、夫を探す2人の願いを吸い取る、そしておれがその願いを光に乗せて可愛い子どこだと言う気持を広げていく…
子の迷子探知魔法の欠点は一つ、無事に見つけられたとしても見つけた状況を場所ごと魔法陣に映し出してしまうこと
例えばハミルトン公爵家で野営訓練中に迷子になった男は、尻丸出しで穴に詰まっている所を探していた同僚に見られたり…野営訓練を隠れサボって風呂に入ってる光景を公開されたりとそんな不具合があるのだ
そんな不具合も些細な問題、浮気現場以外なら何でもいい!!ガダケルト様を探したい2人の気持ちが大きくなり、そして魔法陣に映像が映し出される…
山を越え川を越え、街を越え……見えてきたのは大きな屋敷、大きな庭…………
あれ?まって?まって???なんかすごく見覚えがあるんですが……??
さらに画面は進み大きな厨房…大勢の料理人がいる空間に現れる大きなケーキにフルーツを乗せてるムキムキの姿のコックな男…
あれ………なんか写真と大分違うない?てかこの見た目…この人って…………
「あ、あっ………………ガダケルト様……!!」
ラヴ様が涙を零しながら床に膝をつく、フリード様も言葉に詰まる様子でぐっと何かを堪えていた…
え、あのコックがガダケルト様で間違いなかったけど…
おれには別の見覚えがあった
「え、家のコック長………?え???」
フリード様とラヴ様が探すガダケルト様はどう見てもハミルトン公爵家で働いているコック長だった
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