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溺愛編
近状報告
しおりを挟む久々に通信魔法魔法を使うなーと自室のソファに腰掛け、机の上に魔力で魔法陣を描く
通信魔法についてはレラージェ国がドラレイド帝国よりも進んでいると言えるだろう
なにせ脳筋大国とある意味名高い、ドラレイド帝国は過去に通信魔法を使うくらいなら昔は走って伝えろと伝説が残るほど通信しないのだ
今では迅速な情報伝達も大切だと使うそうだが、連絡を忘れる事は多いらしい…今回のガーネット妃へ伝えて無かった事件のように…
それでも国が回るのは類まれなるカリスマ性と直感、そして即決力がこれまでなんだかんだいい感じに働き続けていたからだそうだ
その直感…なんで今回は働かなかったんだろう…そう疑問だったがメニラ姫の事はよく聞いたら…
なんと皇帝のご子息ご令嬢皆細マッチョに始まりムキムキ逞しい美しさの中、たった一人華奢に生まれた為に兄妹からも、皇帝からも全体的に城のアイドルとして可愛がられて居た事が…ちょっといつもと違う即決力を生み出し、暴走力で突き進んでしまったらしい…これは全てフリード様とチュウ太くん情報だ
やっぱり通信魔法って重要じゃん?と思いつつ、そんな訳で映像付き通信魔法もしっかりと発達しているレラージェ国の最先端技術魔法陣を久々に使って父様に連絡した
一か月使ってなくても魔法陣スラスラ書けるからやっぱり一度覚えたらそう忘れないし、魔法は楽しいと再認識する
うーん…父様…流石に心配してるよな…すまない頑張れ骨は拾いに行ってあげるからねみたいな顔してたから…
暫くの通信音の後、父様の執務室と繫がる
げっそりと痩せ細っ…………ている訳でもなく、最後に離れ離れになった父様がそこには居た
「ご無沙汰してます父様、ドラレイド帝国と我が祖国の誤解が解け、通信魔法の使用許可が降りましたのでご連絡をと…
お時間今大丈夫でしたか?」
「勿論大丈夫だ、無事で何よりだよリデン、孫は出来たかな?」
「……………………ん?」
暫しの沈黙の後、冗談だよと笑う父様…え、今なんて言った?
「こほん、リデン…今回は拒否することも出来ない緊迫した状況で一人でドラレイド帝国に向かわせてしまってすまない、日々本当につらい生活だっただろう…申し訳無かった
お前が無事生きていてくれて父は嬉しいよ…肉付きまで変わって無くて本当に良かった…」
と…悲しい表情で謝罪してくる父様に向かって今なんとおっしゃいましたか?なんて言えなかった
あれか?おれがこの地でフリード様の子をいっぱい産むことが賠償だって勘違いしてたのかな?
大丈夫ですよ!父様!なんとフリード様はおれを初夜で放置するくらいには平凡な身体に興味がないご様子!
てか男だし、入れる場所は知っているがあそこは排泄器官だ、野郎に出そうが子は出来ない
……………ガーネット妃は何処から産んだのでしょうか…もしかしたら知らない人体の神秘が…とかは考えてはいけないこの国の闇の部分だと思う
色々心の中で考えたり考えることをやめたりしながら、久々に父様の顔を見て会話したら懐かしくて、恋しくて…これがホームシックか…になってしまった
母様と兄様は丁度外出しており、通信魔法には出ることが出来ないと言う…うん、寂しい
でも、不思議と実家に帰りたいとは思わない…あの家は兄様が継ぐ…次男のおれは外に人脈を広げるのが役目だから寂しいから会いに行くって言うのは違う気がした、それ以上に何故かここで畑仕事して自由気ままに過ごしてる方が楽しいし…なんかよくわからないけど…フリード様と一緒に居ると落ち着くのだ
これも…もしや番効果なのか…??
けど、たまには家族に会いに行けたら嬉しいなって複雑な気持ちで父様と近状報告をしていたらフリード様と二人で旅行も兼ねて遊びに来なさいって言ってくれて嬉しかった
そしておれがドラレイド帝国で大人しく?冷遇人質をしっかりとやってたから祖国が特に被害もなく無事だった事、この度ドラレイド帝国と再度話し合いを行い第二王子殿下、聖女様の身柄を第三王子に改めて引き渡すことになったと教えてくれた
ついにあの言葉が通じない二人がドラレイド帝国に来るのか…こわっ
さらに衝撃的だった事はおれがフリード様と一緒に健康的に過ごしている限り、レラージェ国もしっかりと守ってくれる状況が用意されてしまったこと
え、おれそれ知らない…?いや…時々あまりの心地よさに聞いてる聞いてるって言いつつ、寝かしつけられてる時にもしかして話してた!?
素晴らしい働きに嫁に行っても父として誇らしいと言われてなんと言っていいか分かりません
父様、現状嫁だけど嫁じゃねぇんですおれ…!!
真の奥様と殴り合う前にフリード様と離縁していい感じの親友ポジとしてこの地に骨を埋める計画なんです!
そんな事は絶対に言えない雰囲気が漂い、これから会議があるから健やかに幸せに過ごしなさいと父様は通信魔法を修了した…最後に孫を期待しているとも言いつつ画面に映ったのは大量のベビー用品…だったような気がしてゾッとした
父様、少し顔を合わせない間におれが野郎だってこと忘れてます?一か月で息子が娘になったと勘違いされてる?…おれ、尻穴しか穴無いんでベビー産めないんだぜ?父様もストレスで現実逃避しちゃってる???
と、伝えるのは…うん離縁した後でいいかな…?
「くぅーん」
背後に狼さんの気配を感じ、おれも何も映らなくなってた通信魔法を終了して振り向くと、もふもふサラツヤな狼さんが帰宅していた
いつの間にか夕方じゃんと思いつつ、おかえりのハグをする
ああ、このお利口さんな狼さんは本当に可愛い…今日の夕飯は何にしようかな…
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