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冷遇妻編
満員室内
しおりを挟む満員電車、というのをまさか自室で体験する日が来るなんて異世界転生、というのはとんでもなく恐ろしい…いや、自室だから満員電車じゃないな…満員室内…か?
何事もない普通の…日、そのはずだった
午前中畑仕事に勤しみ、午後はまったりお茶する前にお昼寝して過ごすいつもの冷遇日和…その筈だったのに…どうしてこうなった
ふと、お昼寝してたら気配を感じ、うっすら目を開けると突如現れた部屋を埋め尽くす筋肉、筋肉、筋肉、筋肉、可憐な美少女、筋肉、筋肉…………
おれの部屋、床抜けない?と思えるほどベットの周辺をミッチミチの筋肉が満員電車の如く埋め尽くす謎の空間を薄め目で見てしまい、きっとこれは夢だと再び目を閉じたおれは悪くないだろう
ああ、最近冷遇食事に手が込んで来てやっぱりあのうさ耳メイドさんやっぱり芸人メイドだよな…
なんと半分こんがり、半分生のびっくりスペアリブや、寸胴鍋スープお玉無しとか笑うしかないもん
チュウ太くんと一緒に大爆笑して狼さんの分も一緒に料理して夕飯にリメイクする生活…うん、平和だ
これこそが冷遇妻生活、目の前の筋肉集団はきっとあれだ…午前中の畑仕事楽しすぎて熱中症にでもなったのだろう、疲れすぎて幻覚見えちゃってるわ!やばいわ!寝よ寝よ寝るのですよおれ!!!
「いやいやい!!!寝ないで!リデン様寝ないで!
よくこの空間で寝れますね!?!筋肉で室温5度は上がってますよ!?!
現実見てください!この空間で一人!!!おいらを一人にしないでー!!!」
チュウ太くんの悲痛な叫びが聞こえる…いやだ、見たくもない筋肉集団を現実として受け入れざるおえないなんていやだ…
なんてことだ…冷遇妻生活は筋肉満員電車に押しつぶされる的なそんな要素も含んでいたというのか?
やだぁ、さすがに筋肉に押しつぶされて苦しいなんて嫌すぎる!!汗臭い満員電車を思い出すと胸が苦しくなるんです…!!
現実を見たくない、これは夢、夢なんだよチュウ太くん、諦めて寝ようぜチュウ太くん
「リデン!無事か!!!!」
そんな現実逃避しながら寝ようとしたら…部屋の扉が開き、書類上の旦那様が筋肉軍団の頭上を華麗に移動しおれのベットにやってきた
起きてることがバレないように薄目で見るが、やだ旦那様かっこいいっ!凄くかっこいい!
弱々しい妻っぽく…いやお昼寝スタイルで寝たふりをするおれを庇うように立ってくれた旦那様の背中は大きい、頼もしい!
反応からするにこの筋肉軍団は不審者なのだろう…こわ、ドラレイド帝国は室内に筋肉集団まで迷子になってくるの!?こわっ!!
おれの妻はおれが冷遇すると守ってくれると期待しぎゅっと目を閉じた
「……………一体どういう事でしょうか…?ヴァイゼル様、そしてメニラ姫…重鎮の方々まで…
何処かで戦争でもしてきたような格好で先触れもなく、我が妻の部屋に侵入するのは皇帝と言えど度が過ぎると思いませんか…?」
「ははは!硬いことを言うなフリードよ
緊急の用があってな…致し方なく参ったのだ」
え、…………今なんて言いました?皇帝?メニラ姫?さっきチラッと見えた一際大きい筋肉の服破れて胸筋丸見えのイケメンが皇帝????
なんと、おれのベットを取り囲んでいたのは…
不法侵入筋肉集団ではなく皇帝とその重鎮御一行だった!?!
「無論、危害は加えない、そなたの妻が起きるまで静かに取り組んこんで待つのみ
フリードよ、お前の妻はこの状況でも眠る相当の強者と見た、後で手合わせを願い出ても良いだろうか?」
「Shut Up!!!!怖いんですけど!!!手合わせ!?いやいやいやよくありません!!!!」
とんでもない事を言われた気がして飛び起き、叫んだおれは悪くない…現実にベッドの周りを服が破れたり…戦争でもしてきた?って格好のムキムキ集団が本当にいる状況を見て…
そのまま気を失ったおれは絶対悪くない…………
………………………
…………………
…………
目が覚めたら満員自室が満員応接室になっていました…応接室でも埋め尽くす筋肉、筋肉、筋肉…………
夢じゃなかった…もう一回気絶したいと、思っていたが何故かおれを愛する事は無いはずの旦那様に抱きすくめられている状態は何故か安心感が半端なかった
少しだけ筋肉空間に慣れ、落ち着いて来ると先程、筋肉に埋もれて見えなかったメニラ姫が本当に居ることもわかる
第二王子と聖女に酷い目に遭わされた被害者…けどその顔はスッキリとしていて元気で良かったとさえ思う…何故かドレスはボロボロで戦場帰りみたいな格好をしているが…きっとドラレイド帝国方式の斬新な美意識かなんかだろう
「リデン様…突然の訪問申し訳ございません…どうしても早急に伝えたくて…
この度は無関係、いえ、ただ一人私の味方をしてくれたあなたに無理な婚姻と冷遇生活の強要…本当に申し訳ございません
あの日、婚約破棄の現場であなたに救われて居なければ今の私は無かった…それなのに感謝すべき相手に…酷い仕打ちを…!ごめんなさい………っ!」
「我からも謝罪を、メニラを傷つけた人族を許すことができず、事実を確認しないままこの様な事態に追い込んでしまい申し訳ない…
何でも望みを言え、謝罪と償いを込めて我が叶えてやろう」
美しい猫科の姫がボロボロと涙をこぼし、尻尾を弱々しく丸めながら謝る姿はとても痛々しかった…その周りで涙を滲ませながら、ムキムキの逞しい肉体で可愛い猫耳とかリス耳とかカバ耳生やした皇帝と重鎮が謝る姿はなんか…うん、うん…だった…
部屋を筋肉で埋め尽くすほど現地まで皆で来て謝ってくれた事は嬉しい、城大丈夫?と言いたくなるが嬉しい…
おれのメニラ姫を救った行動は間違いじゃなかった…そしておれが此処で冷遇を受け入れたお陰で祖国が無事だったのも誇らしかった
こうして一つの珍事が無事解決しようとしている…そして、皇帝はおれの願いを叶えてくれるという
「誤解が解けて良かったです、あまりに気にしてないからメニラ姫…思い詰めないでくださいね?
………叶えていただけるなら、おれの願いは一つです…その許可を下さい」
「何でも言ってみろ?我に叶えられない事は無い」
軽く深呼吸し、旦那様を見つめる
人質として此処に嫁いできたことは間違いだった、妻ってポジションが間違いだったんだよ
でも、おれはフリード様もこのアデルバイト辺境伯も好きになってしまったんだ…だからこそ、禁句が解禁された今こそ伝えたい
「離縁しようぜ?旦那様おれは妻じゃ「わぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ーーーーーー!!!!!!ぐはっ!!!!!
」たい…………え?」
おれを抱き締めたまま、今度は旦那様が気絶した
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