離縁しようぜ旦那様

たなぱ

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冷遇妻編

実質新婚生活

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Side フリード




俺の愛しい嫁との実質新婚生活が始まった
ドブネズミの密偵、チュウタグルが書き換えた皇帝の感知魔法の仕組みを知れたからだ


あの鼠、俺よりも先に手料理を食べたりと許せぬ事も多いが、かなり頭が良く器用である事は間違いない…この素晴らしい新婚生活を作り出した功績にこれまでの事を特別に許し、更に猫科怖いと言う気持ちを汲んで転職を促し我が家で雇い、ついでに特別賞与と辺境伯領土に土地と家をプレゼントすると確約するほどに、良い働きをしたと認めよう


脳筋である皇帝が掛けた感知魔法は辺境伯家にいる間冷遇を受けているか、それに対しての心境を読み取る物だった
それをバレぬように辺境伯家の者からにすり替えたのだと言う
チュウタグルは辺境伯家ではなく子飼いの密偵、狼の姿となった俺も者では無く獣

辺境伯家の者では無いため、リデンの心境から読取られる感知魔法には引っかからない…つまり共に過ごしても一緒寝ても甘えても皇帝にはバレないのだと…なんとも素晴らしい書き換えだ



継続してメイドからの冷遇と会いに来てくれない旦那様を続けていれば脳筋は満足するだろうと密偵は言う
メニラ姫への連絡も妹を通して伝えると言うのだから別邸にチーズ用の保冷庫を用意してやるくらいには、この密偵を褒めている


願わくば獣人の姿…本来の俺の姿でリデンを愛したい…しかし、それでは皇帝にバレてしまう
今は狼の姿でリデンを愛そう…






…………とそんな事があり、現在俺は舞い上がっているのだ
当初密偵と話し、リデンが番とバレた時は焦ったが、現在密偵と俺はほぼ別邸に実質住んでいる
何故か?此処には癒しがあるからだ、リデンがとんでもなく俺を可愛がってくれるからだ
密偵は感知魔法の書き換えがバレないようにメンテナンス要員、そして狼言語を伝わりにくい部分リデンに伝える要員だ

一言でいうとここは天国…巨大な狼の姿を全く怖がりもせず抱きしめ頬ずりをして俺の腕の中(腹)で眠るリデンを見ていたら本宅に帰りたくなくなり、仕事以外は住むようになるのは仕方のないことだろう

なんとこの生活、恐ろしいことにリデンの育てた野菜で作られるとんでもなく美味い料理付きで添い寝付き!!
これはもう実質新婚生活と言っていいだう、いやこれこそが新婚生活そのものだ
余りにもリデンが終始可愛く、俺の狼が狼になりそうな事もしばしば…流石にこの姿でリデンを襲うわけにはいかず、抑性魔法を毎日自分に掛けてから接している


この生活を初めて変わった事も多い、毎分毎秒可愛いと愛おしいと尊いを全力で溢れているリデン効果で俺の生活は激変したと言える
まず、良質な睡眠と適度に野菜を摂ることで体調面もバッチリ、これまでストレスが多く肉ばかり食べていた事を後悔するほど体調がいい
そして何より仕事のスピードが恐ろしいほど上がった、残業?そんなことをしてみろリデンと触れ合う時間が減る!!!最効率重視で領地運営を行い、リデンへの手土産だと思えば最速で魔獣討伐任務もこなせる
鮮血の人狼閣下が血みどろの人狼閣下に名前が変わりそうな程効率よく討伐をこなせている

部下からも皇帝にバレては不味いため大声では言えないが、通信魔法で奥様最高!定時最高!と声が上がるほどだ



毎日何かしら美味しい魔獣を持ち帰ると俺の妻は捌くところから自分でしてくれる…これは狼族からすると最高の愛情表現過ぎて本当に嬉しい
そして料理も上手く、可愛く、存在が尊い我が妻リデンのおかげでストレスが激減し、妻からのブラッシングで俺の毛並みは素晴らしく整った


メアリーが旦那様がお幸せそうで何よりですと、皇帝へバレないための冷遇対応を続けてくれている
あんなに可愛い妻に冷遇…任務とはいえ相当辛いだろう…そう思いリデンの゙作った菓子と特別ボーナスを支給し、メンタルケアも行っている


早く人の姿でリデンを愛したい、声に出して愛していると大好きだと伝えたい…お前は冷遇される存在じゃないと伝えいんだ…
もう少し、もう少し耐えてくれ…密偵改めチュウタグルの妹がメニラ姫に接触できれば何かしら先に進むだろうから









……………………………
…………………
…………
Side メニラ


「姫様、姫様…紅茶の準備が整いました
少しだけでも陽の光に当たって下さいまし…」


「…………っ、ええ…そうね…ずっとこうして居るわけにはいかないものね…」



ゆっくりと身体を起こす、目に違和感があるのは先程までまた涙が止まらなかったから…
私はこんなにも心が弱かったのかとあの日、あの方から卑しい獣と罵られた日…初めて知った

国と国の間で結ばれた政略結婚だった、けれど私はあの方の強い瞳が好きだった…初めてお会いした日、心に電流でも走ったみたいにドキドキして…この方の妻になる事を心から望んでいたのに…


何故、どうしてこんな事になってしまったのでしょう…あの人の強い瞳は私を蔑む瞳に変わってしまっていた


侍女から紅茶を受け取り一口、口に含む
猫科の私が飲める適温にされた美味しい紅茶…国との繋がりを、架け橋として成し得なかった私に未だに仕えてくれるこの侍女は確か鼠族の…辺境伯に兄が居ると………


そういえば私を助けて下さったあの方は、お元気だろうか?獣人を蔑む人が過去多かった事もあり、お父様達は頭に血が上るとすぐに肉体言語で全てを駆逐しようとする所があるから…

あの場で私を助けてくれたあの方の住む国が滅ぼされてはたまらないと、全てが獣人を馬鹿にしているわけでは無いと必死に伝えたのを覚えてる
あの方を断罪した者と同等に扱われて消されてしまわないように必死に伝えたけど…よく覚えていない…

第二王子殿下に断罪されたショックでずっと食事も喉を通らなくて、眠れず、そのまま気絶して…そうだわその後具合が悪くなって寝込んで…少し回復する度…悲しい気持ちが溢れてしまって、ずっと塞ぎ込んでしまっていたわ



レラージェ国は、あの方は無事でしょうか…?



「ねぇ、あの方は…レラージェ国はまだちゃんと無事かしら…?」


「………………姫様、その事でお話があります
傷付いたお心があるためいつお伝えしようかと悩んでおりました…冷静に…冷静に聞いて頂けますか…?」




侍女の言葉に私は…


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