離縁しようぜ旦那様

たなぱ

文字の大きさ
上 下
16 / 80
冷遇妻編

異世界農業とおれ

しおりを挟む




異世界ってすごい



一言で言うとすごい、なんかもうおれの知ってる前世の常識を尽く覆してくる
魔法で裏森を裏庭に、そして裏畑にするのも勿論そうだが、アレンジして美味しく楽しい本日の冷遇昼食を食べた後、畑仕事…………お花を育てるか弱い妻(男)を再開したおれの目に映るのは見たこともない常識だった


おれが何をしたか、開拓した裏庭ににいい感じに肥料を混ぜ込み畝を作り、いい感じに食べれる花の種を蒔き、水を与え、そして魔力が成長に云々を実践し元気に育てよ♡って魔力を流しました


何が起きたか、3分で芽が生えた




異世界ー!?!?!
お湯入れて完成なラーメンじゃないんだよ!?なんでこんな!?え?!ええ???
いやいな…こんな簡単に芽が出るの?異世界…
そこで思い出したよ、おれは全属性が使えると…なかなか居なくてマイナーな属性に木というのがある事を…

え、木属性ってなんだっけ?と脳内辞書をパラパラ必死にめくり検索した結果は植物を操り相手を攻撃するものだった
植物を、操り…………操る部分って成長を含むの?
目の前でみるみる双葉になり、茎が伸び、葉の色が花のように綺麗な色になり…

なんと10分ひたすら元気に育てよ♡してたら魔力を与えていた食べれる花が1本、食べれる所まで成長しましたとさ


茎が薄い黄緑のその植物は葉から全て花のように美しい、先端の大輪の花…なんかレタスみたいな菊みたいな花を咲かせ中央には赤い果実が実ってる
見たこともない植物がまさかの10分で完成されてしまった
農薬不使用、愛情たっぷり(魔力)
こんな簡単に農業していいの?成長時間短縮ってレベルの話じゃ無いけどいいの?旦那様もうさ耳メイドもびっくり翌日には裏森が裏庭になって裏畑に本気で進化するけどいいの?


そのくらい衝撃を受けた



余りにも異世界やばいと震える手でレタスの様な菊みたいな大きい花弁を1枚収穫し、口元に運ぶ…
瑞々しい僅かな青臭さがこれは野菜だと訴えかけてくる、一口齧り、兎族おすすめの花野菜の味見しておれは更に驚愕した





……………シャクシャクシャク

お、おいしい

オイシイ!!!!!!!!



え、何これやばくない?見た目も勿論綺麗だけどやばくない???噛むとほんのり甘い香りが鼻を抜けるレタスみたいな菊の花野菜が余りにも美味しい…!
苦みなど一切なし、嫌な青臭さ一切なし、あるのは肉厚な歯ごたえと食物繊維を感じるとんでもない美味しさ!いや、食物繊維を感じるってなんだよ知らねぇよ…!!!




シャクシャク…シャク…シャクシャクシャク…シャクシャク…ポリポリポリポリ





気が付くと成長した1本丸ごと花に変わった茎まで食べていた…
やべぇ洗ってないや!?いや無農薬だしセーフ???美味しすぎてなんかもう野菜が美味しすぎて幸せすぎるっ…!!!

なんと嬉しい事にこのレタス菊、地面にじゃがいもみたいなのも1個生える事に気がついたのは食べ終わった茎を抜いた時、見たことあるような芋が現れおれは歓喜した





異世界最高!!!!!!







3日後、裏森が見事な裏庭…いや菜園に進化していたのは言うまでも無い

暇が何一つ消え、実質楽しいしか感じない冷遇生活の始まりにおれは別にこのままでもいいかなと思いつつ、やはり真の奥様いるのになんかこのポジションは嫌なので離縁して人質庭師として雇ってくれないかなと考え始めたのだ

いい仕事するぜ?野菜方面に
…………庭師じゃないな、農家だなそれは
人質農家になって旦那様野菜採れましたよって納品する未来を夢見よう


本日の冷遇夕食を見つつそう思った
ちなみにメニューはうさ耳メイド監修していると思う、ヒレ肉のソテー棒、硬すぎて溶けないバターが乗った食パンのようなモノ一斤切らずにそのまま、テールみたいなのがまるまる突き出たスープ、そして水差し水無し、ナイフなし

ヒレ肉を棒のまま食べる日が来るとは思わなかったよ!うさ耳メイド…!テールがテールのままのテールスープってなんだよ!あとこの溶けないバターはバターですか!?バター色の固形物ではないのですか!?
そしてついに水すら入らなくなった水差しにおれは笑いが堪えられなかった

心のなかで爆笑し必死に身体を震わせながら声に出さないよう耐える、耐える…!


お腹が痛くなるほど笑いを耐え、誰もいなくなった別邸の厨房で裏庭野菜を追加してアレンジして食べるのが楽しくて美味しくて好きだなぁ…

冷遇面白食事で自家栽培の野菜を摂取できるようになったおれの肌はぷりぷりになっているし
アレンジ料理のレパートリーが増えてしまいお料理大好き軟禁奥様♡みたいな事になってるのが笑えてくる


本当にこのままで良いのか、よくない気はするけど…取り敢えずこの美味しい野菜を誰かに食べて欲しいと思ってしまったのはおれが生前のお裾分け大好き地方出身だからだろう



「旦那様…うさ耳メイドでもいい、おれが作った野菜食べてくれないかな…すごく美味しく育ったんですよーって言いたいな
誰でもいい、味見してくれないかな…」



そんな言葉は闇に溶け………る前にある者の耳に入った事をおれはまだ知らなかった









…………………
……………
………


Side ???



いやいやいやいやいやいや!?!?奥様???奥様?????自由気ままに冷遇ライフ楽しみ過ぎじゃありませんこと!?
なんかさ…もう、いい人じゃん、現状悪いところなんもないんだよ…
でも限界まで頭に血が上った皇帝や重鎮達はまだ人の話を聞ける脳筋に戻っていない、それだけ大切なメニラ姫が傷つけられたのはわかる、人を許せる心境じゃないことも
でも、フリード様に嫁いだ奥様があまりにも不憫だよ、ほんと…

…………………あの貴重な兎族の野菜…食べたいな…いいな…いいなぁ…味見…いいなぁ







ちょっとくらいなら…接触しても報告しなければバレないかな…?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

そばにいてほしい。

15
BL
僕の恋人には、幼馴染がいる。 そんな幼馴染が彼はよっぽど大切らしい。 ──だけど、今日だけは僕のそばにいて欲しかった。 幼馴染を優先する攻め×口に出せない受け 安心してください、ハピエンです。

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。

下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。 またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。 あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。 ご都合主義の多分ハッピーエンド? 小説家になろう様でも投稿しています。

婚約者は運命の番(笑)を見つけたらしいので俺も運命の番を見つけます

i
BL
俺の婚約者であるオリオ・オフニス侯爵令息は、浮気をしていた。しかもその相手は平民のオメガだった。俺はオリオに問い詰めようとしたが、偶然にも平民のオメガとオリオが関係を持っている現場を目撃してしまった。 翌日、俺は婚約破棄の手紙を受け取った。 俺はどうしても彼を許すことが出来ず、彼に小さな復讐をしてやろうと決意する──。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

出戻り聖女はもう泣かない

たかせまこと
BL
西の森のとば口に住むジュタは、元聖女。 男だけど元聖女。 一人で静かに暮らしているジュタに、王宮からの使いが告げた。 「王が正室を迎えるので、言祝ぎをお願いしたい」 出戻りアンソロジー参加作品に加筆修正したものです。 ムーンライト・エブリスタにも掲載しています。 表紙絵:CK2さま

嘘〜LIAR〜

キサラギムツキ
BL
貧乏男爵の息子が公爵家に嫁ぐことになった。玉の輿にのり幸せを掴んだかのように思えたが………。 視点が変わります。全4話。

【短編】最愛の婚約者の邪魔にしかならないので、過去ごと捨てることにしました

あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
「ディアンナ、ごめん。本当に!」 「……しょうがないですわ。アルフレッド様は神獣様に選ばれた世話役。あの方の機嫌を損ねてはいけないのでしょう? 行って差し上げて」 「ごめん、愛しているよ」  婚約者のアルフレッド様は侯爵家次男として、本来ならディアンナ・アルドリッジ子爵家の婿入りをして、幸福な家庭を築くはずだった。  しかしルナ様に気に入られたがため、四六時中、ルナの世話役として付きっきりとなり、ディアンナとの回数は減り、あって数分で仕事に戻るなどが増えていった。  さらにディアンナは神獣に警戒されたことが曲解して『神獣に嫌われた令嬢』と噂が広まってしまう。子爵家は四大貴族の次に古くからある名家として王家から厚く遇されていたが、それをよく思わない者たちがディアンナを落としめ、心も体も疲弊した時にアルフレッドから『婚約解消』を告げられ── これは次期当主であり『神獣に嫌われた子爵令嬢』ディアンナ×婿入り予定の『神獣に選ばれた侯爵家次男』アルフレッドが結ばれるまでの物語。 最終的にはハッピーエンドになります。 ※保険でR15つけています

公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-

猫まんじゅう
恋愛
 そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。  無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。  筈だったのです······が? ◆◇◆  「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」  拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?  「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」  溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない? ◆◇◆ 安心保障のR15設定。 描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。 ゆるゆる設定のコメディ要素あり。 つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。 ※妊娠に関する内容を含みます。 【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】 こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)

処理中です...