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新学期
しおりを挟む見慣れた寮の部屋に足を踏み入れると現実を痛感する
2ヶ月にも及ぶ長期休暇、エアと過ごす日は毎日楽しくて愛おしくてあっという間に始業式の日になっていた
まさか…2ヶ月もあったのに…実際過ごしてみると驚くほど短く感じるのはこういう事なのか
正式な婚約者になれたことが嬉しくて休暇の終盤はひたすら自室に籠り、しっかりと防音した上でエアと魔力の交換をしながら互いの幼い頃やエアの生前の話を聞いて過ごした
おれの魔力に酔いながら、与えられる快楽で泣きまくるエアはやっぱり可愛くて…ちょっと暴走しかけて母様達バレそうになったのもいい思い出だ
もう、このまま幸せなこの空間に住みたい、退学してエアと暮らしたら駄目だろうかと真剣に考えるくらい幸せな日々だったな…
今日からまたヒロイン♂と書類上は本当の他人になった王太子殿下…その愉快な仲間に遭遇するのか…
これを憂鬱と言わずになんと言うんだろう
そう言えばラドラ様から大切な話をしたいと連絡が来ていた気がする…何か教会でわかったことでもあったのか…?
彼もきっと新学期は憂鬱だろう…おれ以上にヒロイン♂へのトラウマと嫌悪があるのだから
エア言う卒業パーティーでの断罪劇、その日まであと半年を切った…どの様な結末に向かうか知らないがおれは断罪されるつもりも、多数の男から陵辱されるつもりもない
国王陛下から改めて卒業パーティーまで王太子殿下を監視してほしいと依頼があった…正直やりたくはない、しかし王宮でも長期休暇中に何かあったのは父様を見ていると明白だから断りきれなかった
まだ事情は話せない、だけど信じてほしいとはどう言うことなのだろう…
始業式は学園長と教員の話のみで終わる、午後からは各々明日からの授業再開に向けて準備をする時間や休暇から学業への切り替えに使用していい時間だ
だからそこ、始業式終了後即座に寮へ戻ってきてエアを抱きしめて癒されている
始業式からやはりヒロイン♂はめんどうな奴だった…正式にエアの婚約者になれた達成感と幸福感で満ち足りている心を穢すように、ヒロイン♂が意味もなくおれを悪役に仕立て泣きわめいている…
これまで何とも思わない既視感の世界だったのに、おれが嫁ぐモブヴィール家にまで悪い噂が伝わったらどうしてくれるんだと、真剣にこの現状を考える必要があるとわかった瞬間だ
いつまでおれは悪役令息をしていればいいんだ…
「エア、この先あるゲームのシナリオってどんなの残ってるんだ…?もうあのヒロイン♂面倒すぎて消したい…消えてくれないかな…ほんと…」
「はわっ…♡物騒な事言うリナルド様も好き…!………あ、違った!
えっと、細かいイベントは今まで見てきたものが不規則に起きそうなのと、大きなイベントは学園祭と聖夜祭、そして物語の終盤卒業パーティーですね
ガレリナの箱庭は卒業パーティーで断罪劇を行なって、その後こんな風に幸せになりました、悪役令息は不幸になりましたってイベントスチルを見せてくれて終わり、そんな締め方なんです」
卒業パーティー…学院で学んだ礼儀作法の集大成を国王陛下も参加するその場でお見せする重要な日…その日に断罪劇を行う事が信じられない…
まさか、国王陛下は卒業パーティーまで王太子殿下達の観察という苦行をさせるつもりなのだろうか?
そうだったら悲しい…余りにも苦痛すぎる…
「その結末見たらおれは、自由になれると思うか?…ゲームの時が終わったら、エアと共に暮らす未来だけ見ていたい…ヒロイン♂も王太子殿下達のことも忘れてエアの゙事だけ考えていたいよ…」
自然とエアを抱きしめる力が強くなっていたことにおれは気づいていなかった
苦しいですよと、笑いながら抱きしめ返してくれるエアが、優しく背中を擦ってくれる事が嬉しい…
卒業パーティーでガレリナの箱庭、ゲームの世界が終わる…終わった先には何が待っているのか…断罪され悲惨な末路だけは嫌でも回避するつもりだが、既視感の世界の果てに何があるんだろう
わからないことが怖い、先の未来が怖い…悪役令息という存在に縛られたおれは本当に実在しているのか…その事実が怖い
「リナルド様、僕が知ってるゲームのリナルド様と今、僕が抱きしめてるあなたは全然違う別の人ですよ?
優しくて強くてかっこよくて…モブの僕をひたすらに愛してくれるあなたは僕だけのリナルド様です…
一緒に幸せになるって約束したのも、僕の元に嫁いで来てくれるのもゲームのリナルド様じゃない、ここにいるリナルド…あなたです
だからそんな、泣きそうな声で未来を悲観しないで…ね?」
少しだけ離れ、おれの顔を覗き込むエアはそんな事を言う
おれは泣きそうになっていたのか…?それすらも気付いてなかった…可愛いエアの笑顔がおれを幸せにしてくれるのがわかる
労るように重ねられた唇は確かに現実で、エアからキスを強請ってくれる事がこんなにも嬉しいなんて思わなかった…
ありがとうエア…おれの唯一
本当に大好きだ、愛してる
「ん゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ーーー♡♡♡♡ィ゙く♡まっで、ィ゙っでる♡♡リナルドさまぁ♡♡ひぃん♡♡はげじい♡まっで、まっで♡ぁ゙、ぁ゙、ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙♡♡ィ゙ぎゅーーーー♡♡♡」
「エア、エア…♡可愛い…愛してる
乳首に魔力流してペニス扱かれるの気持ちいい…?
もっと鳴いて?おれで、いっぱい感じて♡あと様付けなんて早く本当に外して呼んで…♡」
「ッーーーー♡♡♡♡♡」
ぶしゃぁああッッッッッ♡♡♡
不安と嬉しさからエアを明け方まで節度を考え貪ってしまったのは仕方ない…
あと、様付けを外すのは恥ずかしいからと駄々をこねるエアが可愛くて泣かせたくなったのは自然な事だと思う…
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