悪役令息はモブに愛を捧ぐ

たなぱ

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それぞれの休暇⑤

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side ラドラ




何故か初対面である筈なのに…守護の魔法が施された室内に足を踏み入れ、目の前の人ならざる男性をみた瞬間…胸が締め付けられる程の愛おしさと、懐かしさに襲われた

私は彼が誰だかわかる…
彼は、聖獣の守り人様の一人目の子だ…
けれど…それ以上に苦しいほどのこの感情は一体…



「弟は闇の子を選んだと言っていたが…本来水属性のようだね…?しかし、君の瞳には闇が宿っている…不思議な事もあるようだ…なにより………まさかこんな事態になるなんてね…」


人ならざるこの世界の守り人は私に告げる闇の子を選んだ事実…
守り人に選ばれし者、弟…闇の聖獣様の家族
大蜘蛛からの贈り物…本当にこの部屋に入るべき存在はリナルド様達なのではないのか…?


「っ…………!申し訳ありません、私は何かの手違いでここへ来てしまった可能性が高い…守り人様が不穏に思うのも無理はないです…」


きっと私が闇の魔石を貸してもらったからこそ、ここへ入れた…守り人の子息様の言うように私は水属性を扱うのも正しい、瞳の中の闇はわからないがここに来るべきではなかったのだ…
自らが崇拝している神とも同等の存在に否定されてしまった気持ちになる…
私は次期大司教、しかし闇に選ばれた子ではない、闇を崇めるのに水属性の私は偽物なのでは…?



「手違いではない、不安そうな顔しないでいいんだよ?…そうだな…おいで人の子…その目を見たい」


守り人の子息様が私を呼ぶ…手違いではないと、ここに居ても良いという事なのだろうか…?
呼ばれているだけなのに内から溢れ出すこの歓喜にも似た心臓の高鳴りは一体なんなんだろう…
私はゆっくりと進む、崇拝しする闇の聖獣様に最も近しい存在であった守り人という存在…ドラゴンという異形の存在の元に
守護の護りに満たされたこの部屋にはベッドと机、巨大な本棚しかない…まるでこの部屋に隔離されるようなそんな室内だ…何故大司教様の部屋からこの様な部屋に行けるのか…わからない

ベッドに腰掛ける守り人の子息様に近づくと手を取られ、膝の上に座るように促される
そんな恐れ多い事をしていいのか不安になるが、身体は何故か喜ぶように指示に従っていた

膝の上に横抱きにされる様な格好…美しい異形の姿が眼前に広がる光景にドキドキと心臓が脈打つ
少しだけ甘い、どこか懐かしい匂いがするのは何故なんだろう…



「……………やはり、お前がここに来たのは間違いでは無いようだ…おそらく順序が変わってしまったのかな?
美しい澄んだ良い瞳だね…とても綺麗だ…弟が残した闇の種子は委ねた相手を通じお前を選び、お前を俺の元へ連れてきた、奇跡とも呼べる確率…それが起きたのか…これ程嬉しいことはないよ


手違いではない、お前は俺の番だ」



美しい異形の顔が私に近づき、優しく私と守り人の子息様の唇同士が触れ合う…
少しだけひんやりとした体温の差を感じる…嫌悪や恐怖などない溢れ出るのは歓喜の気持ち…それだけだ
彼はなんと言った?私が…私が番…?
守り人の子息様の番…?

上手く理解できないのに触れ合う唇が余りにも気持ち良く、飲まれそうになるが、ソラトとこれまで行ってきた行為を思い出し背筋が凍る


「っ…………お待ち下さい、守り人の子息様…いけません…それ以上は…………申し訳ございません…私は、私の身体はもう穢れているのです…
あなた様に触れ頂ける清い体ではないので………んむっ!?ンンンっ………♡」


口淫どころの話ではない卑猥な行為を強要…いや、異変に気づくまでの私は行なってしまっているんだ…崇高なる守り人の子息様の番など間違いに違いない、穢れきったと自ら嫌悪する身体にあなた様が触れて言い訳がないと、そう思ったのに…

私の抵抗する手を絡め取り、再び唇を奪われる
触れ合うだけでない物だとすぐわかった…ぬるりとした少しだけ冷たい舌が私の唇を愛おしそうに舐めてくるから…だ




ちゅ♡ちゅ……♡ちろっ…ちろ…♡
何度も何度も…守り人の子息様は私の唇を舐め、啄んでくる…駄目なのに、こんな事駄目なのに………
ゾクゾクと歓喜に打ち震える身体が、心臓がドクドクと脈打つのがわかる…私の足りなかったパーツが側にあるような…どうしようもない嬉しさが溢れてしまうんだ…


「穢れてなど居ないのに…ああ、あの異物に触れてしまった事が恐ろしいか…そうか、かわいいな…俺の番
俺の名はレヴィル、お前の名を教えておくれ?」


ぬるぬると唇を割り開き歯茎を舐めながら守り人の子息様…いや、レヴィル様は私に名を聞いてくる…そして穢れてなど居ないと言ってくれる…
異物とはガレリナの神子様…ソラトのことだろうか…?
私は崇拝すべき相手を見誤る程一度落ちてしまったのに…ソラトのペニスを舐めしゃぶりながら蜜穴に入れたいと腰を振り、出されたものを飲むほど狂っていたのに…


「私は…私はラドラ……愚かにもレヴィル様を…闇の聖獣様を一度見失い、異物に身を捧げた愚かな存在です…
こんな私は穢れてなどいないのでしょうか…?」


私の回答にレヴィル様は美しく微笑む…
怒りも失望もない純粋な優しさを含んだ目で私を見てくる



「ラドラ…良い名だね……可愛い…
大丈夫だラドラ、お前は穢れてなどいない、もし穢れていると思うのなら俺が覆い流し、新たに俺を刻んであげよう

お前に会えるのを俺は数千年待っていたんだよ?そんな俺の言葉は信じられないか?」



美しく指が私の唇をなぞる…
まだ出会って数十分…その筈なのに昔からずっと想い合っていたかのような愛おしさに胸が締め付けられ、疑うことなんて出来ないほど私はレヴィル様に囚われているんだ…

レヴィル様の手を自らも握り、ゆっくりと口を開き目を閉じる
いい子だと耳元で言われたきがした…ぬるりと少しだけ冷たい舌が私の中に入ってくる
体温の違う舌が口内を優しく解しながら舌を扱き、甘い唾液を送り込んでくれるなんて…♡
気持ちいい…どうしようもなく気持ちいい…
口づけを通して私の体内が浄化されていく気持ちになり、穢れていたと怯える心が穏やかになっていく


「んっ♡♡あっ、んむっ…………♡♡っ、んんっ……♡もっと…♡」


「っ………ちゅ…♡いい子だ、可愛いな…俺の番…
色々知りたいこともあるだろう、だが…今は数千年分の寂しさを埋めさせてくれ…♡」









リナルド様、エア様
お二人に出会えた事が奇跡を起こしました…守り人の子息様にお会いできたんです…
調査をすると言っていたのに直ぐに報告は出来ずごめんなさい
私はレヴィル様に求められているのが嬉しい…今は優しい心地よい快楽がもっと欲しい…
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