黒い獣は巻き込まれ平凡を持ち帰る

たなぱ

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平凡と獣が平穏な新生活を望む話

平凡は震える

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グレスは言った
人生知らない事があってもいいと
年下のグレスは言った…一応人生の先輩のおれに
しかし、その言葉は正しい…


異世界の恐怖におれは震えている




ミーシア王女が狂ったように何も反省していなかった罪人を閉じ込める牢獄、その部屋を見たとき、おれも結構ショックではあった…あの王女ほんと無いわー………と
しかし、身内であるシュゼル殿下の心はちょっと…本当にやばかったのかもしれない


シュゼル殿下は妹に見切りを付けた顔をしていた
お兄様助けてと這い寄る妹…ミーシア王女へゴミを見るような目を向け、そして魔術を放った…あまりにも煩い悲鳴のような文句、殿下はミーシア王女から不愉快な声を奪ったのだ


手際がいい、それはこういう事なのだろう…
グレスに頼み、尋問を変わると申し出たシュゼル殿下の目付きは悲しみと絶望の色をしていた
了解を得ると、まずミーシア王女を衛兵に運ばせ別室の隅に転がし、そして一人ずつ主犯と思われる以外の捕らえた獣人の男を別室に運ばせ尋問を開始した

そう、別室に控えるグレスとおれ、セイルくんと衛兵の2人が見ている前で尋問は始まったんだ…


「何か言い残すことはある?キミに今から罪人へ使う隷属魔法を掛ける、素直に吐けばルティーリア国の王子として少しは減刑を約束してあげよう
…嘘を言ったり隠そうとすれば正しい事を言うまで全身をすり潰すように激痛が襲い続ける……いい?」



そう、同じ言葉を獣人の男達に掛け、淡々と尋問は続く…迷いの無い冷たい目で
何が目的だったか、だれが主犯だったか…
主にその2つを重点的に聞く、大半が口が裂けても言わないと拒否するが…罪人へ使う隷属魔法は相当強いみたいだった…
拒否すると指先から始まり、最後には全身を魚のように跳ねさせる程の激痛が襲うらしい…身体を徐々にすり潰される痛みを与える魔法…そんな魔法ホイホイ使えるの?異世界怖いって…………



「ぁ゙ぁ゙ぁ゙!!!!ん゙がぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙!!!!!ギャぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ーーーー!いぅ!!!いぃ゙まずがらぁ゙ーーー!!!!やべでぐれええええ!!!!!」
ビタンビタンと床を鎖で拘束された男が跳ねるのホラー過ぎる…怖い…怖い…
最初はみんな甘く見ているのがわかる…しかし少しでも話さなければ襲い来る容赦ない激痛…
そんな激痛を襲う行為、耐えられる訳が無い…みな最後は素直に同じ事を吐いた



「ヘリックが主犯、神子様のお零れを持つ浄化が使える男を捕まえて稼ごうと考えていた」
……………と皆一様に答える
そんな尋問と吐かない者への拷問…それを床に転がったまま見させられているミーシア王女はどんな気持ちだろうか…
そして誰一人冤罪っぽいのが居ないことにも驚いた…心がどす黒い皆さんだった…
罪人用の隷属魔法が体に刻み込む激痛で暴れる男達が怖すぎてグレスに抱きつきながらこの現場にいるおれは一番場違いだ…



主犯の1人、ミーシア王女を羽交い締めにしていた獣人の男の番が来た
他のものと、同じように隷属魔法を掛けられるが、語らない、誰が犯人かも何が目的か…、全身を襲う痛みに必死に耐える…舌を噛みながらでもこの男は耐えきって気絶してしまった


シュゼル殿下の舌打ちが聞こえる…怖い…
あの温厚な王子が自国民を…たとえ罪人でも容赦なく痛めつける事を迷わない事が怖い…
グレスの服を掴むおれはたぶん震えていたんだ…抱き寄せ震えを止めてくれるグレスの強い腕…
耳元で教えてくれる事実に早くセイルくんへシュゼル殿下が嫁いでくれればいいのに…そう思ってしまう…


「ユウマ、人の上に立つ者はああで無ければ誰も守れないんだ…
あの罪人用隷属魔法はルティーリア国独自の物だろう…獣人は皮膚も骨も強く普通の拷問では効果がない、だからこそ…あの魔法だ
詳しくは知らないが、無差別に人を拷問するだけに使わない対策のため、黒以外の罪人へ使用すると自分に苦しみの帰ってくる制約があるのだと
元王子だからわかる…国家の膿を出さなければ普通に暮らしている人まで巻き込まれる可能性がある…心を鬼にしないといけない場合もあるんだ…」


平然と拉致や犯罪を考えてしまう、実行してしまう人をそのままにはできない…確かにそうだ…
犯罪をそのままにして被害を負うのは普通に生活している国民…おれの国では警察がいたようにこの国ではまた違った組織が動いているのか…
もしも、白だったらシュゼル殿下が激痛を受ける…

その覚悟を持ってあの場に立っている…素直にすごいと思うよ…
けど、口を割らない男に苛立ちを覚えたのか、留めとばかりに股間にどう見ても落雷魔法繰り出すのはちょっと怖いよやっぱり!!!
ひゅんってしたよ!!!
男の象徴を雷に焼かれる痛みで黙り込んでいた男は素直に話た…すかさず治癒を頼んでくれてるけど…うん、怖い…

ああ…そうか…………よく考えるとシュゼル殿下の使ってる魔法のお陰で想像していた血なまぐさい拷問映像を見なくても良かったと考えると…ありがとうございますと伝えたい…こわいけど思ってたよりも耐えられる…



おれにちんこを咥えさせた奴はグレスが後ほど後悔させるとの事で、飛ばされた…ナニをされてしまうんだろうあの臭い男…
そして、最後にヘリックという男が運ばれては来なかった



「ユウマ、見学はここまでだ
ヘリックが主犯でほぼ間違い無いだろう…これからの尋問と聴取はユウマが恐らく想像している血も流れる…見ないほうがいい」


「そうですね…ルティーリア国から尋問の専門家も、到着しますからそちらに任せましょう…
ですが、ミーシアの尋問は見て行って下さい…」


血が流れる何かが始まるのは流石に避けさせてくれる優しい人達…しかしミーシア王女の尋問…??
シュゼル殿下はゆっくりとミーシア王女に近づく、余りにも冷たい目で…実の妹に尋問をするのか?
これまで魚のように全身震わせのたうち回る男達を見ていたミーシア王女は既に涙を流している
助けを求めているようにしか見えない目だ…


「ミーシア…キミには他国の要人に対する名誉毀損、及びに詐称、傷害未遂の疑惑が掛かっている…
隷属魔法をお前の兄として掛けるよ
元々花畑のような性格だったが…勝手な思い込みに、更には…人へ危害を加えていいなど考えるのは王族でも許されない」


「お、お兄様…私は何も悪くありませんわ」


ミーシア王女は、自分は悪くないと黒い血で汚れた哀れな姿で訴える…悲しい目で
しかしそれ以上に悲しい目をしているのはシュゼル殿下だった

「それは今から確認するんだよミーシア…」


そう言うと、躊躇なくミーシア王女にも罪人への使用が認められている隷属魔法を掛けた
先程まで屈強な獣人の男が泣き叫んでいたあの魔法だ…







グレスにしがみついてなんとか耐える…余りにもな光景…

「ミーシア、お前がグレス辺境伯へ運命の番と言い張り一方的に迫り、周囲を混乱に陥れた…そうだな?」
「ちがいますわ!グレス様は私の運命だったって!そう偽られていた!あんな化け物の運命じゃぃ゙ぃ゙ぃ゙!?!?!なに、ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙いだい、指がいだい!!!!なんなのよ!!!やめで!!!ぃ゙ぃ゙ぃ゙ぃ゙ぃ゙ぃ゙ーーー!!!!ぎゃあああいだいーー!!!」
「ヘリックの策に乗りグレス辺境伯の名誉を傷つけたことは…?」
「してないですわ!あんな化け物の名誉なんて関係ない!名誉を傷つけられたのは私、なのぉ゙!?!ぃ゙ぎぎぎぎぎきゃあああああーーーー!!!!いだい!いだいーー!!!わだくじ悪グないのーーー!!!ひぎぃーーーーー!!!!!わだぐじがひがいしゃなのにーー!!!いだいーー!!やめで、やめで、やめでーーー!!!!」
「ユウマ様を排除しようと動いたことは?」
「うごいでないー!!わだくじなんにもじでない!あの性奴隷が!ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙!!!!なんで、ひぃいいいいだいいだいいだいいだいいだいいだいいだい!!!!!!やべで、やべでください!!!おにぃ゙ざまーーー!!!!あぎゃぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ーーーーー!!!!!」


一つずつシュゼル殿下が質問をする
ミーシア王女の行動を振り返り、そこに悪意があったかを見るために…
質問全てで自分は悪くないと叫ぶミーシア王女は汚れたドレスのまま床で痛みより跳ね回り、失禁している…酷い叫びがこだまする最低の現場に見えた
グレスやおれへの謝罪は何一つ無く、自らは被害者と言い張るミーシア王女…全く反省の色も、反省しょうと言う心さえも生まれないのか…違う、何が悪いか解っていないんだ…


「わだじわるぐないーーーひぃ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ーーーー!!!!!ごろず!性奴隷のぶんざいで!わたぐじをはめたのよ!化け物もそうよ!ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ーーーーーーー!!!!ぃ゙ぎーーーー!!ぎゃあああぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ー!!」



ミーシア王女が床をのたうち回り気絶するまでシュゼル殿下は質問を続けた、最後まで反省もなければおれとグレスが悪いと叫んでいた…
シュゼル殿下はずっと悲しい表情だったのが心に刺さる…どう見ても王女の器には見えない善悪の判断がつかない少女、むしろ害のあることを肯定し行ってしまうその精神は人としても未熟なんだろう




全員を暗い部屋に戻し、鍵を掛ける
ヘリックと言う男と、もう一人残っているが大体の話はわかったと…これから両国に伝えるシナリオの調整を行うんだ
誰ひとり楽しそうな顔などできない悲しい地下室から振り返らずに出ていく…見学したけどおれには早すぎた経験だった…………








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