黒い獣は巻き込まれ平凡を持ち帰る

たなぱ

文字の大きさ
上 下
12 / 38
平凡が異世界で獣と出会う話

平凡は自覚する

しおりを挟む



……………………

…………





ああ、おれ死んだのか…
瞼が重い…何かあったかいものに包まれてる…


いい匂いがする…懐かしい匂いだ
こんな優しい気持になる場所…
きっと、ここは天国だ…
おれ、そこまで悪いことした記憶ないし
天国はあったかいのか、そうか…
神様に抱かれているのだろう
…母なる神かもしれない

抱かれるならグレスがよかったな…
せめてグレスの夢を見させてくれよ神様…



唇に何かが触れる、口に入ってくる…
神様、人工呼吸はもう遅いです、それより天国でグレスが無事だったか見せてください
最重要事項です神様、グレス…グレスはちゃんと人に戻れたんだろうか…戻れてなかったら天国行ってる場合じゃない、地縛霊になってやらないと…
神様の抱擁よりもそっちを先に確認して下さい



神様人の話聞かない!
あ、口の中気持ちいい…ちょっと薄い大きな舌で上顎擦られるの好き…舌吸われて甘噛み気持ちいい…
まるでグレスみたいだ…
神様、グレスの真似上手くない?複雑な心境なんだけど…これ人工呼吸じゃなくない?大丈夫神様?



一度舌が抜かれると今度は舌と一緒に生温い物が入ってきた…ほんのり甘酸っぱい水…あれ?これ、…これ知ってる…この味は離宮で飲んでた果実水だ…

なんで、どうして果実水が口に…?
口の中を舌が撫でてくる…気持ちいい…この感じ、知ってる…



「…っ、グレス……?」



えらく掠れた声が出た気がした
何日も声を出していないような…そんな声…
天国でそんなことある?と悩む前に声が返ってくる




「おはよう、ユウマ」



ずっとずっと聞きたかった声が返ってきた
グレス?グレスがいる?お前も天国きちゃったの?おれ頑張ったのに、食べてねしたのに!何で来てんだよ馬鹿なの!?
目、開いてくれ、グレスを、グレスを見たい、もう天国でもいい、グレスに合わせてくれ…!

重い瞼をゆっくりと無理矢理開ける…恐ろしく眩しいと感じてしまうのはなんでだろう…
頭を撫でられ、唇に触れるだけのキスをされる…
光に目が慣れてくると目の前に映る…見知った青い瞳…
おれが知ってるグレスよりも髪の毛が黒く染まっている…でも顔は…グレスで…侵食された部分もない…


「けほっ…グレス、なんで天国にいるんだよ…会いたかったけど、こっちに来たら駄目だろう…っ」
グレスの胸にしがみついて抱きしめる、ちゃんとあったかい、ちゃんともふもふしてる…さすが現住所天国だ…


「まだどこか悪いのか!?ユウマ、ユウマ…天国なんて行くな、ずっと俺と居ろよ…居てくれ…いなくならないでくれ…」
抱きしめ返してくれるグレスの力強い腕が好きだ
ずっとこうされたかった…
なんで天国行く話してるの?ここ天国だろ?



グレスの顔を見ると黒くなってしまった犬耳がへにゃりとしている…かわいい
「既に天国で二人して再会してるのに何いってんだよー!!馬鹿!」


「何勘違いしてるんだよ…ちゃんと俺を見ろユウマ!」

さらに強く抱きしめてくる、互いの心音が聞こえる距離…えっ?グレスの心音が聞こえる…
髪色とか少し変わったけど目の前にはグレス、よく見ると辺りには見知った家具と天井が見える…
まさか…まさか…



「グレス、おれ、ちゃんと………生きてる?」
「ああ、もちろん生きてる、1ヶ月ほど眠り続けていたが生きてる、もう一度言うぞ?おはよう、ユウマ」


嘘だろ…ほんとに?
「ぉ゙、お゙は………?!!うううっ…うゔ…!!」
おはようって言いたいのに涙が溢れて前が見えなくて、これが現実だって嬉しくて飲み込めなくて、ちゃんと生きてるグレスの胸で号泣してしまった



おれは何故かちゃんと生きている
グレスも黒くはなったけどちゃんと生きている
あの日から1ヶ月経過経っているらしい………

目覚めた場所はグレスのベットの上だった
嬉しさの余り号泣するおれを慰めながら、おれが寝ていた間に起きたことを教えてくれた



神子様である、楓原が暴走した日
おれが楓原と会うまでグレスは本当に監禁され魔獣の血を飲まされていた、特効薬効果か、侵食ペースはかなり遅く、おれの前に転がされた時も意識はあったらしい、でも身体は自由が効かないし…おれが酷い目に会うのを見て怒がやばかったそうだ

おれが凌辱されそうな時に、グレスにキスして唾液を飲ませたことで、身体の主導権が戻り、次いでに怒りに任せて、人ならざる血筋の方の魔獣の姿になってみたらしい
結構ギリギリの賭けで魔獣になったから侵食に身体を奪われそうだったとのこと、そんな時に、おれが自分を食べろなんて言うから侵食された身体はその気になってしまい、気持ちの中では抗っていても思うようにいかず、おれの肩を噛んで血を飲んだのだと、その血で再度主導権を握り返し、暴れてやろうと思ったら全員が勝手に失神したらしい

「ごめんな」とグレスはおれの頭をわしゃわしゃと撫でる、そして肩に触れてくる
自分でも肩にふれると肉が抉られた痕のような違和感…これが噛み痕か…!後で鏡で見てみようと噛まれたことに対する気持ちはどちらかと言うと嬉しかった、グレスに付けられる痕なら嬉しいと素直に伝えると顔を隠された、隠しきれない耳が赤い
恥ずかしいのか…?


その後だが、グレス曰くとんでもなく大変だったそうだ
とりあえずおれを離宮に避難させ治療
楓原が失神したことで魅力と洗脳魔法が解け、周囲は徐々に正気に戻ったが記憶が曖昧
実は近衛騎士さんと監禁されてる最中におれに伝言を預けたのはグレスだった、魅力が効きにくい近衛騎士さんは記憶もちゃんとしていたそうだ
本当はおれに被害が行く予定ではなかったのに想像以上に魔獣の血を飲まされたのがまずかったと


楓原にはおれが持っていた抑制の首輪を付け無力化し隔離、第二王子と部下は主犯クラスだと隔離
しかし王宮全員が洗脳状態だったという阿鼻叫喚
国王陛下が正常に戻るが、記憶が曖昧でわけがわかっていない、まともに進まないあれこれ
国政が滞る気配を感じた、王宮の状況を心配する貴族が押しかけたり、なんか色々あったらしい

更には神子様を害して良いのかと今だに言う国王にグレスはキレた、近衛騎士さんもキレた
グレス自身はおれと片時も離れたくない心境なのにこんな所で神子様の尻拭いしてる場合では無いとブチギレた

魅力と洗脳に安々と掛かっておいて今更何を言ってるんだと、まず神子様の虚言をそのままに甘やかして暴走を放置していることが間違い、召喚された者を大切にするのと甘やかすのは違う

そう正論で論破したそうだ
そして、神子様な楓原は暴走しないように隷属の首輪を一時的な処置で着用される罰を与えられた
なんと、そしたら使えました浄化
完全におれへの変な嫉妬心だか復讐心だかが足を引っ張りまくっていたらしい
隷属されてありのままの力を使ったらあら簡単、浄化できちゃったよって話だとさ

楓原は本当に神子様だった……あの性格でまじか…



そんな色んな事があり、王宮事情よりもおれを優先したくて、最終的にはちょっと脅してこの離宮でおれの面倒を見ていてくれたと、説明してくれた


1ヶ月くらい目が覚めず寝たきりのおれの世話…グレスが…正直嬉しい…
今も寝たきりだった影響か筋力が落ちすぎててやばいし…身体もこころなしかげっそりしている…


「ユウマ、せっかく目が覚めたんだ、飯にしよう」

飯!!!1ヶ月ぶりの意識がある時に食べるであろう飯!!ブンブン首を縦に振って応えたかったけどそこまで身体が動かなかった




胃に優しそうなスープとリゾット…フルーツのジュレを前に、おれは…スプーンすらまともに持てなくで絶望した…持てるは持てる…が、指がガックガク震える…

「ずっと意識不明だったんだ、素直に俺に甘えておけばいい」
悲しそうなおれを前にグレスはこれが普通というように給餌してくれる…もちろん甘えます…ペット以上の感情に気づいちゃいましたが、グレスはそれを知らない…ならペットポジションを堪能するまでだ


膝に抱っこされる形で誤嚥しないように姿勢をサポートしてくれる男前…
熱くないようにフーフーって冷ましながらリゾットを食べさせてくれる男前…
飲み物はコップからじゃなくてグレスに飲ませてほしいとか、ペットポジションでも斜め上の願いにも応えて口移しで紅茶もお水も飲ませてくれる男前…
無理です…グレスが甘やかしてくる…心臓に悪い…!!真っ赤になるのをこらえると体温が上がる気がする…心拍数がやばいと思う…!



グレスが好きって自覚がやばい…ペット失格だよ…ごめんな…でもグレスから離れるとかもう絶対無理なんだ…そんなことしたら…おれの心が死ぬ

よく考えたら、グレス不在を含めると1ヶ月と1週間くらいグレス不足してるんだよ…もう第一王子欠乏症してるんだよ…だからさ、もっと甘えていいかな…



「グレス、口寂しい…腕も寂しい…」

そう言うだけでグレスの大きな手がおれの頭を引き寄せてキスしてくれる…ぐっと腰を抱かれ逃げられない抱きしめられたままのキス…
啄むみたいに唇を吸われて、中に入れてって舐められるの好き…口の中いっぱい舐められて舌を擽られる…気持ちいい…


「ふぁ…んっ…♡んっ♡あぅ………っん♡」
「舌、出せユウマ…っ、甘噛みしてやるから…」



甘噛みしてほしい…
早く噛んでと舌をグレスへ突き出すと舌先吸われて口の中に囚われて、犬歯でかぷかぷ甘噛みされる
時々強く噛まれるのも好き…

「んちゅ…♡あっ♡舌、♡気持ちいい…♡んっ、あっ♡はぅ…んっ…ぁ゙あ゙っ…!♡♡いィ゙っ…♡」


甘噛されて舌吸われて、気持ち良すぎて逃げようとすると奥までグレスの舌が迎えに来る…
絡め取られて犬歯に舌ぐりぐりされるのやばい…

頭がぼーっとするまで堪能してしまった…


「は、っ、…んっ♡あ゙ー、そんな顔すんなユウマ…可愛すぎ…キスしたまま寝るか?ユウマが寝てからも口の中、可愛がっておくから、ゆっくり休め?
夜には一度皆に、元気な姿みせような…」





キスしたままいてくれるの?嬉しい…
まだ病人の寝起きみたいなおれに体力なんて無かった…お腹いっぱいだし…キス気持ちいい…し…
執事さん達、皆に心配かけちゃったな…無事だよしなきゃ…


グレスにキスされたまま寝てしまう…安心感がすごいんだ………



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

幽閉王子は最強皇子に包まれる

皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。 表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?

名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。 そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________ ※ ・非王道気味 ・固定カプ予定は無い ・悲しい過去🐜 ・話の流れが遅い ・作者が話の進行悩み過ぎてる

魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました

タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。 クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。 死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。 「ここは天国ではなく魔界です」 天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。 「至上様、私に接吻を」 「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」 何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

男装の麗人と呼ばれる俺は正真正銘の男なのだが~双子の姉のせいでややこしい事態になっている~

さいはて旅行社
BL
双子の姉が失踪した。 そのせいで、弟である俺が騎士学校を休学して、姉の通っている貴族学校に姉として通うことになってしまった。 姉は男子の制服を着ていたため、服装に違和感はない。 だが、姉は男装の麗人として女子生徒に恐ろしいほど大人気だった。 その女子生徒たちは今、何も知らずに俺を囲んでいる。 女性に囲まれて嬉しい、わけもなく、彼女たちの理想の王子様像を演技しなければならない上に、男性が女子寮の部屋に一歩入っただけでも騒ぎになる貴族学校。 もしこの事実がバレたら退学ぐらいで済むわけがない。。。 周辺国家の情勢がキナ臭くなっていくなかで、俺は双子の姉が戻って来るまで、協力してくれる仲間たちに笑われながらでも、無事にバレずに女子生徒たちの理想の王子様像を演じ切れるのか? 侯爵家の命令でそんなことまでやらないといけない自分を救ってくれるヒロインでもヒーローでも現れるのか?

処理中です...