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平凡が異世界で獣と出会う話
平凡は自覚する
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…………
…
ああ、おれ死んだのか…
瞼が重い…何かあったかいものに包まれてる…
いい匂いがする…懐かしい匂いだ
こんな優しい気持になる場所…
きっと、ここは天国だ…
おれ、そこまで悪いことした記憶ないし
天国はあったかいのか、そうか…
神様に抱かれているのだろう
…母なる神かもしれない
抱かれるならグレスがよかったな…
せめてグレスの夢を見させてくれよ神様…
唇に何かが触れる、口に入ってくる…
神様、人工呼吸はもう遅いです、それより天国でグレスが無事だったか見せてください
最重要事項です神様、グレス…グレスはちゃんと人に戻れたんだろうか…戻れてなかったら天国行ってる場合じゃない、地縛霊になってやらないと…
神様の抱擁よりもそっちを先に確認して下さい
神様人の話聞かない!
あ、口の中気持ちいい…ちょっと薄い大きな舌で上顎擦られるの好き…舌吸われて甘噛み気持ちいい…
まるでグレスみたいだ…
神様、グレスの真似上手くない?複雑な心境なんだけど…これ人工呼吸じゃなくない?大丈夫神様?
一度舌が抜かれると今度は舌と一緒に生温い物が入ってきた…ほんのり甘酸っぱい水…あれ?これ、…これ知ってる…この味は離宮で飲んでた果実水だ…
なんで、どうして果実水が口に…?
口の中を舌が撫でてくる…気持ちいい…この感じ、知ってる…
「…っ、グレス……?」
えらく掠れた声が出た気がした
何日も声を出していないような…そんな声…
天国でそんなことある?と悩む前に声が返ってくる
「おはよう、ユウマ」
ずっとずっと聞きたかった声が返ってきた
グレス?グレスがいる?お前も天国きちゃったの?おれ頑張ったのに、食べてねしたのに!何で来てんだよ馬鹿なの!?
目、開いてくれ、グレスを、グレスを見たい、もう天国でもいい、グレスに合わせてくれ…!
重い瞼をゆっくりと無理矢理開ける…恐ろしく眩しいと感じてしまうのはなんでだろう…
頭を撫でられ、唇に触れるだけのキスをされる…
光に目が慣れてくると目の前に映る…見知った青い瞳…
おれが知ってるグレスよりも髪の毛が黒く染まっている…でも顔は…グレスで…侵食された部分もない…
「けほっ…グレス、なんで天国にいるんだよ…会いたかったけど、こっちに来たら駄目だろう…っ」
グレスの胸にしがみついて抱きしめる、ちゃんとあったかい、ちゃんともふもふしてる…さすが現住所天国だ…
「まだどこか悪いのか!?ユウマ、ユウマ…天国なんて行くな、ずっと俺と居ろよ…居てくれ…いなくならないでくれ…」
抱きしめ返してくれるグレスの力強い腕が好きだ
ずっとこうされたかった…
なんで天国行く話してるの?ここ天国だろ?
グレスの顔を見ると黒くなってしまった犬耳がへにゃりとしている…かわいい
「既に天国で二人して再会してるのに何いってんだよー!!馬鹿!」
「何勘違いしてるんだよ…ちゃんと俺を見ろユウマ!」
さらに強く抱きしめてくる、互いの心音が聞こえる距離…えっ?グレスの心音が聞こえる…
髪色とか少し変わったけど目の前にはグレス、よく見ると辺りには見知った家具と天井が見える…
まさか…まさか…
「グレス、おれ、ちゃんと………生きてる?」
「ああ、もちろん生きてる、1ヶ月ほど眠り続けていたが生きてる、もう一度言うぞ?おはよう、ユウマ」
嘘だろ…ほんとに?
「ぉ゙、お゙は………?!!うううっ…うゔ…!!」
おはようって言いたいのに涙が溢れて前が見えなくて、これが現実だって嬉しくて飲み込めなくて、ちゃんと生きてるグレスの胸で号泣してしまった
おれは何故かちゃんと生きている
グレスも黒くはなったけどちゃんと生きている
あの日から1ヶ月経過経っているらしい………
目覚めた場所はグレスのベットの上だった
嬉しさの余り号泣するおれを慰めながら、おれが寝ていた間に起きたことを教えてくれた
神子様である、楓原が暴走した日
おれが楓原と会うまでグレスは本当に監禁され魔獣の血を飲まされていた、特効薬効果か、侵食ペースはかなり遅く、おれの前に転がされた時も意識はあったらしい、でも身体は自由が効かないし…おれが酷い目に会うのを見て怒がやばかったそうだ
おれが凌辱されそうな時に、グレスにキスして唾液を飲ませたことで、身体の主導権が戻り、次いでに怒りに任せて、人ならざる血筋の方の魔獣の姿になってみたらしい
結構ギリギリの賭けで魔獣になったから侵食に身体を奪われそうだったとのこと、そんな時に、おれが自分を食べろなんて言うから侵食された身体はその気になってしまい、気持ちの中では抗っていても思うようにいかず、おれの肩を噛んで血を飲んだのだと、その血で再度主導権を握り返し、暴れてやろうと思ったら全員が勝手に失神したらしい
「ごめんな」とグレスはおれの頭をわしゃわしゃと撫でる、そして肩に触れてくる
自分でも肩にふれると肉が抉られた痕のような違和感…これが噛み痕か…!後で鏡で見てみようと噛まれたことに対する気持ちはどちらかと言うと嬉しかった、グレスに付けられる痕なら嬉しいと素直に伝えると顔を隠された、隠しきれない耳が赤い
恥ずかしいのか…?
その後だが、グレス曰くとんでもなく大変だったそうだ
とりあえずおれを離宮に避難させ治療
楓原が失神したことで魅力と洗脳魔法が解け、周囲は徐々に正気に戻ったが記憶が曖昧
実は近衛騎士さんと監禁されてる最中におれに伝言を預けたのはグレスだった、魅力が効きにくい近衛騎士さんは記憶もちゃんとしていたそうだ
本当はおれに被害が行く予定ではなかったのに想像以上に魔獣の血を飲まされたのがまずかったと
楓原にはおれが持っていた抑制の首輪を付け無力化し隔離、第二王子と部下は主犯クラスだと隔離
しかし王宮全員が洗脳状態だったという阿鼻叫喚
国王陛下が正常に戻るが、記憶が曖昧でわけがわかっていない、まともに進まないあれこれ
国政が滞る気配を感じた、王宮の状況を心配する貴族が押しかけたり、なんか色々あったらしい
更には神子様を害して良いのかと今だに言う国王にグレスはキレた、近衛騎士さんもキレた
グレス自身はおれと片時も離れたくない心境なのにこんな所で神子様の尻拭いしてる場合では無いとブチギレた
魅力と洗脳に安々と掛かっておいて今更何を言ってるんだと、まず神子様の虚言をそのままに甘やかして暴走を放置していることが間違い、召喚された者を大切にするのと甘やかすのは違う
そう正論で論破したそうだ
そして、神子様な楓原は暴走しないように隷属の首輪を一時的な処置で着用される罰を与えられた
なんと、そしたら使えました浄化
完全におれへの変な嫉妬心だか復讐心だかが足を引っ張りまくっていたらしい
隷属されてありのままの力を使ったらあら簡単、浄化できちゃったよって話だとさ
楓原は本当に神子様だった……あの性格でまじか…
そんな色んな事があり、王宮事情よりもおれを優先したくて、最終的にはちょっと脅してこの離宮でおれの面倒を見ていてくれたと、説明してくれた
1ヶ月くらい目が覚めず寝たきりのおれの世話…グレスが…正直嬉しい…
今も寝たきりだった影響か筋力が落ちすぎててやばいし…身体もこころなしかげっそりしている…
「ユウマ、せっかく目が覚めたんだ、飯にしよう」
飯!!!1ヶ月ぶりの意識がある時に食べるであろう飯!!ブンブン首を縦に振って応えたかったけどそこまで身体が動かなかった
胃に優しそうなスープとリゾット…フルーツのジュレを前に、おれは…スプーンすらまともに持てなくで絶望した…持てるは持てる…が、指がガックガク震える…
「ずっと意識不明だったんだ、素直に俺に甘えておけばいい」
悲しそうなおれを前にグレスはこれが普通というように給餌してくれる…もちろん甘えます…ペット以上の感情に気づいちゃいましたが、グレスはそれを知らない…ならペットポジションを堪能するまでだ
膝に抱っこされる形で誤嚥しないように姿勢をサポートしてくれる男前…
熱くないようにフーフーって冷ましながらリゾットを食べさせてくれる男前…
飲み物はコップからじゃなくてグレスに飲ませてほしいとか、ペットポジションでも斜め上の願いにも応えて口移しで紅茶もお水も飲ませてくれる男前…
無理です…グレスが甘やかしてくる…心臓に悪い…!!真っ赤になるのをこらえると体温が上がる気がする…心拍数がやばいと思う…!
グレスが好きって自覚がやばい…ペット失格だよ…ごめんな…でもグレスから離れるとかもう絶対無理なんだ…そんなことしたら…おれの心が死ぬ
よく考えたら、グレス不在を含めると1ヶ月と1週間くらいグレス不足してるんだよ…もう第一王子欠乏症してるんだよ…だからさ、もっと甘えていいかな…
「グレス、口寂しい…腕も寂しい…」
そう言うだけでグレスの大きな手がおれの頭を引き寄せてキスしてくれる…ぐっと腰を抱かれ逃げられない抱きしめられたままのキス…
啄むみたいに唇を吸われて、中に入れてって舐められるの好き…口の中いっぱい舐められて舌を擽られる…気持ちいい…
「ふぁ…んっ…♡んっ♡あぅ………っん♡」
「舌、出せユウマ…っ、甘噛みしてやるから…」
甘噛みしてほしい…
早く噛んでと舌をグレスへ突き出すと舌先吸われて口の中に囚われて、犬歯でかぷかぷ甘噛みされる
時々強く噛まれるのも好き…
「んちゅ…♡あっ♡舌、♡気持ちいい…♡んっ、あっ♡はぅ…んっ…ぁ゙あ゙っ…!♡♡いィ゙っ…♡」
甘噛されて舌吸われて、気持ち良すぎて逃げようとすると奥までグレスの舌が迎えに来る…
絡め取られて犬歯に舌ぐりぐりされるのやばい…
頭がぼーっとするまで堪能してしまった…
「は、っ、…んっ♡あ゙ー、そんな顔すんなユウマ…可愛すぎ…キスしたまま寝るか?ユウマが寝てからも口の中、可愛がっておくから、ゆっくり休め?
夜には一度皆に、元気な姿みせような…」
キスしたままいてくれるの?嬉しい…
まだ病人の寝起きみたいなおれに体力なんて無かった…お腹いっぱいだし…キス気持ちいい…し…
執事さん達、皆に心配かけちゃったな…無事だよしなきゃ…
グレスにキスされたまま寝てしまう…安心感がすごいんだ………
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