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未来の壁尻公爵とおれ

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婚約の手続きどうかな?と素晴らしい笑みでヴィッシュ公爵はおれを見て話す
どうかなではありません、嫌です!壁尻にされたく無いので!非常に有り難いお話ですがお断り申し上げたく存じます!!




なんて…正直な事は言えず…なんでか、うきうきしてるお父様がそうですね!早いほうがいい!なんて乗り気過ぎて…
その場で婚約の書類にサインが成されてしまった…ああ、壁尻公爵が生まれる第一歩を防ぎたいけど、防げる訳がなかった…


「後は若い者同士でお話しなさい」と、お見合いみたいなセリフをお父様達はおれとレイル公爵子息に告げて部屋を出ていく
ご丁寧にメイド達まで下げさせて…普通は誰かしら居るんだこう言う時、処女を婚姻まで守ろうねって話があるから監視の意味も込めて…でもおれたち6歳児
放置されても何も起きないと思われている

しかし、あのアホエロゲーではこういう時にクソガキカインはレイルを虐げていた
子供同士のあれこれでも心に深い傷を作るんですよお父様方!!!




しりあなの世界、基本的な流れはきっと変えられないのだろうって思ってたが、本当にレイルの婚約者になってしまったんだものしょうがない
だっておれ、お父様にもいい子で認知されていたい、未来の為に…それを考えると婚約なんてやだー!とか言えなかったのだ
だからこそ、考えた、計画

「「新生おれはレイルを絶対虐げない、むしろ守ってあげたくなる様なか弱い婚約者でいよう作戦」」

これを完遂すれば、壁尻から逃れ…ついでにフィルと一緒におれの尻を総合的に守ってくれるかもしれないという、素晴らしい計画だ
だからこそ…まずは和解と印象の回復をしなければいけない…!!



現在、互いにソファに座り、机を挟んで向き合っている謝罪するのであれば誠意を込めて、扉が閉まっていることを活かして目撃者もいないし、大胆にしたほうがいいだろう

おれはレイルをしっかりと見つめ、さすが攻略対象者!幼少期でもイケメンオーラを放っている
銀髪サラサラの髪に美しいコバルトブルーの瞳…カインが苦手なのだろう、若干目が泳いでいる
大丈夫、これからカインなおれはお前を虐げたり絶対しないから!許して!お願いだから許して!


「レイル…いや、レイル公爵子息…!!これまでの事を謝罪させてくださぅゔぐぁぁあぁ゙ぁ゙ぁ゙!!!」

「え…なに……………うわっ!危ないっ!!!!」



意を決して、名を呼びソファから立ち上がる
この世界ではおそらく、最大のインパクト謝罪である土下座をするために…
しかし、計画はそう上手くはいかないものだ…土下座の為、レイルの座っているソファの足元へ行きたかった…なのに…机の脚に足の小指を盛大にぶつけてしまったおれ
盛大に転びかけ…体勢を立て直せず後頭部を床にぶつけるかもって思ったらレイルがおれを引き寄せてくれた

勢いのまま、おれはレイルの上に乗る形になる
ソファに倒れたレイルの上に乗り上げるみたいな形で…土下座する筈が腹の上に乗って…何がどうなったか知らんがレイルの手がおれの尻を優しく包み込むみたいになっているんだ…なんで?



「だ、大丈夫…?怪我してない?」

「大丈夫…です…ご、ごめんなさい…ありがとうレイル公爵子息…」


よくわからないがレイルがおれを心配してくれるのは分かった…流れのまま尻を撫でられてるのは分からなかったが…
何この格好って動揺するおれは動けず、対するレイルは暫く尻をなでなでし、ちょっとだけ苦しそうな顔をしてこう言った


「カイン…ごめんね…お尻に痣が出来たって…
美尻だって自慢してたのに…そのお尻怪我させちゃってごめん…
ちゃんと責任取るから…罵っていいよ、耐えるから…」


………………何その自慢話知らないんだけど!?!
アホエロゲーの悪役令息ショタは自ら尻をアピールする存在だったの…!?
そしてレイル…君はドM…というより言葉選びが悪く、責任感ありすぎてストレス溜めるタイプの人間だったのか…

その言い方を前のカインに言ったら逆にキレていただろう…うるさい!そう言うなら守れよ!バカなの!?って叩いたりしてたと思う

なんとなく、この婚約が上手くいかずに壁尻展開になる方向性が分かった気がした…



しかし、おれはカインであって新カインだ
罵っていいよとか言われても罵るつもりは無い、ここでやるべきは尻を尊い物として責任取ってもらえそうな展開を上手く利用する事…………!!!
土下座は失敗したけど問題ない!



「………………っひゃん!あ、あんまり強く撫でないで…優しくして…?まだ、お尻少し痛いんだ…
この怪我はレイル公爵子息が悪いわけじゃない、おれが酷い人間だったのが悪いんだ…今まで酷いことしてごめん、ごめんね…」


しっかりと謝罪しながら弱々しくちょっと涙目になりつつ、レイルの胸に顔を埋めるみたいな仕草を見せる 
尻は上げたまま、少し揺らす、ここがポイントだ
怪我をした尻、それに触れているレイルにはあまりにも無防備で幼気なし尻が見えている筈…ズボンは履いてるけど

あまり強くなければ尻を労られることが好きみたいに誘導し、おれ自体はごめんねって婚約者となったレイルに甘えてみる構図を作り出す…その結果




「カイン、キミは…本当はこんなにもか弱い子だったんだね…今まで強がりであんな事してたの…?」



よっっし!!!!なんかいい感じにレイルが解釈してくれた気がする!このまま押し通せおれ!尻を守るために!


「…………っ、うん…ごめん…寂しくて、構って欲しかったんだ…
レイル公爵子息…ううん、レイル…今までごめん、本当は仲良くしたかった…今からじゃ遅いかな?」


純粋無垢な少年レイルはおれの言葉に少し顔を赤らめ、頭を抱き寄せて遅くないと言ってくれる
良いんじゃないだろうか!?これは成功じゃないか!?
未来の壁尻公爵を、尻を守りたい公爵にする第一歩…成功したと言えるだろう!











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