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召喚された勇者
しおりを挟む「おおおお!!!勇者様!勇者様の召喚に成功しましたぞ!!!」
「素晴らしい!素晴らしい魔力…!!!この力があれば魔物など、魔王など容易く屠れる!」
「素晴らしいですわ!何という奇跡!ようこそおいで下さいました勇者様…!」
地面に穴が空いたような浮遊感に意識が遠のいた瞬間、ぼくは知らない場所にいた
頭が痛い、ぐるぐるとかき混ぜられているような気持ち悪さがある…勇者?勇者ってなに?漫画とかアニメとかのあれ………?
色々頭の上から言われている気がする…なんで?ここは……?ぼくは玄関で義母に…………段々とクリアになる視界、目の前には美しい姫の様なドレスを着た女性を筆頭に神官っぽい見た目の人…教会?祭壇?よくわからない場所で、ぼくは何故が床に寝ていた
「だ、…………だれですか………?」
そう聞くのが精一杯なぼくへ、美しい姫の様な人が跪き、こう言った
「私の愛する勇者様、この召喚の日を心よりお待ちしておりました
魔族を魔王を全て屠りこの世界に平和をもたらす勇者様、魔王討伐の暁には是非、私と愛を育みましょう」
意識を失うぼくへ、美しい姫の様な人の声が響く
魔族を、魔王を倒したらぼくは愛を知ることが出来るのか………?愛を教えてくれるために、ぼくは此処へ呼ばれたのか…?
…………………
…………
……
目が覚めると豪華な部屋に寝かされていた…テレビで見たことがある王宮のような煌びやかな室内、ふかふかの巨大なベッド…そんなベッドに寝る制服姿のぼくが異様に見える…
ここは、ぼくの住んでいた世界じゃない…それだけはわかる…足元が無くなって…ここに召喚?されてしまった?
これは夢、じゃないのかな…
頬を抓ると痛い、夢から目が覚める様な様子も無い…身体を起こすと連日暴力を振るわれて蹴られたお腹が痛い………
本当に夢ではなく現実なのだと痛みがぼくに伝えてくる、ぼくはあの姫みたいな人の言う通りにしたら愛を知る事が本当に出来るのか、意識を失う前に聞いた言葉を思い出していた
「失礼します、勇者様…国王陛下がお呼びです」
これからどうしようと考える暇は与えてくれないようだった、お腹の痛みで再びベッドへ寝そべるぼくの元へ執事の格好をした壮年の男性が声を掛けてくる
国王陛下………この国の…ぼくを召喚?した国の……
拒否など出来ず、言われるがまま執事みたいな男性の後を着いていく事しかできない…歩くと打撲している腹部が痛い事だけ辛かった
長い、長い、豪華な装飾を施された廊下をひたすらに進む、どれだけ大きな宮殿なのだろう…
はぐれたら迷子になるな…と、思った頃、一際大きな扉の前に到着した…金色の獅子に羽が生えた何かがが豪華な扉を装飾している…
執事みたいな人がノックし、そして開けられた扉の中へ入る、そこは想定していた通り玉座の間…だと思う
「よく召喚に応じてくれた、勇者よ…我はオーランシア国、国王である
早速本題に移りたい、我が国は現在魔王率いる魔王軍、及び魔族.魔獣により無差別の攻撃、略奪を受け甚大な被害を受けている
貴殿には速やかに魔王軍の殲滅、魔王を屠りこの国の平和を取り戻して貰いたい」
「私はこの国の第一王女、女神様の代行者であるアメリア.オーランシア
勇者様、どうか…どうかお力をお貸しください!女神様はおっしゃいました…この国を救うのは貴方であると!使命を成し遂げた暁には私と愛を育む事で世界は救われると!」
玉座に座る王と王女…王妃はおらず、2人はぼくに魔族の殲滅を願う…全身を煌びやかな宝石に包まれていて本当に被害を受けているのか…少し考えだが、王族は着飾ってこそなのかもしれない…きっと市民が魔族の影響を受けているんだろう…
使命、ぼくが魔族を…魔王を屠る使命を成し遂げれば…ぼくはこの姫と愛を育める…
ぼくが生きる目的、愛されることを教えてくれる…
ここが異世界だとか自分が勇者だとか…どう屠るのかとか、そんな事…全く問題じゃなかった
どうしてここまで愛という言葉に飢えているのだろう…言葉にすら渇望してしまうそれを拒否できなかった
「勇者として、魔族を殲滅します」
そう答えたぼくに、国王も王女も嬉しそうに微笑んだ
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