異世界満腹亭 沢山の人?を料理で満足させます

佐原

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牛丼と鬼人族

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今日は牛丼を作る。

ガッツリ食べたくなったのだ。地球の時は牛丼なんて賄いでしか作って無かったから本格的に作るのは初めてだ。

と言っても牛肉と玉ねぎを煮込むだけだ。汁が重要なんだけどね。

そこはもちろん勘で作っていく。味見をしながらちょっと甘めの醤油ベースのつゆが完成した。

甘すぎるのは俺は嫌いなので砂糖を少なめにした完全に俺好みの牛丼だ。牛丼に欠かせないのがトッピング。

その牛丼のトッピングはキムチ、ネギ、長芋、卵、そしてカロリー爆弾のチーズだ。

チーズを乗せて炙るとこれがまた美味しいんだよな。

カロリーなんて気にせずに食べれるならいつもこれを食べているだろう。もちろん俺は無理だけどフェルさん達は余裕で食べそうだ。

彼らが太ることってあるのだろうか?毎日あれだけ食べて太っているということを感じない。とても羨ましい限りだ。

また他にも卵も味変に良いし、辛いの好きな人にはキムチもオススメだろう。

さて完成したし開店しますか。



side鬼族

カランカラン

「うっ」

俺は深淵の森で狩りを行なっている鬼人族だ。俺たちの集落は深淵の森に中にあり人間には襲われないが魔物に襲われることが多い。

むしろ人間より俺たちの脅威は魔物だ。今日は少し深いところまで来たのだが見慣れない建物があった。

そこから良い匂いがしたので入ってみるとあり得ない光景が広がっていた。

「どうぞ空いている席にお座りください」

「ッ」

「どうかなされましたか?」

どうかとかそういう事ではない。俺の目の前にいるやつを含めてここには強者が集まり過ぎている。

強者は普段は同じ場所には居ない。それは縄張り意識が強いからだ。

だがここはなんだ!!確かに人型だが強さをヒシヒシを感じる。

相手が逆立ちしても目を瞑っても俺には勝ち目がない。それを一瞬で感じ取ってしまうほどの実力差。

そんなことを確かに気になる。しかしこの良い匂いはなんだ?

食欲をそそる良い匂いだ。この空間に居る強者を忘れさせるような良い匂いだ。

「ここは店なのか?」

「飲食店です。」

「そ、そうか」

人族の街に行って店に訪れたことはあるがあまり良い思いをしなかった。

それは鬼人族は強い力を持っており一般的に凶暴とされているからだ。もちろんそんな事はない。

俺たちの集落では平和に楽しくしている。仮に人族が攻めて来ても集落までたどり着くのにかなり人は減るだろうし俺たちには秘術があるから大丈夫だ。だから強いが決して凶暴ではない。

俺が街に行くと俺が一番強いのだがここでは俺が一番弱い。ここで気をつけるのは俺の方だな。

俺は少しキョロキョロしながら空いている席に座った。

「お水です。無料ですしお代わりは自由ですよ。」

「そ、そうなのか」

確か街に行った時は水を飲むだけでも金を取られたような気がする。

この店はサービスが良いんだな。

「今日は牛丼です。サイズは普通、大、特大、超大、エンペラーとなっています。ちょうどエンペラーが出て来ましたね。」

「あ、あれか」

「はいあれにはチーズ、温泉卵、キムチのトッピングですね。」

運ばれていたのは大きな器に茶色の上に白、黄色、赤のものが乗せられたものだった。

あれがギュウドンなのだろう。それにしても良い匂いだ。その後、店員は俺に対してとても丁寧にトッピングについてやギュウドンに教えてくれた。

「ではチーズと卵をトッピングした物を特大で頼む」

「かしこりました。少々お待ちください。」

少しすると俺のギュウドンが運ばれて来た。目の前にきてわかる。これは絶対美味しいやつだ。

ゴクリ

「ギュウドン特大のチーズ、卵トッピングです。」

「すまない」

「ごゆっくりどうぞ」

俺は店員が去るのを見てからスプーンを取り大きくすくって口に放り込んだ。

「んっ!?」

美味いぞ!!なんだこれは初めてこんな美味いものを食べた。

少し甘くしょっぱい柔らかい肉にしたの白いつぶつぶそしてトッピングしたチーズが相まってとても美味い。

そこから無我夢中で食べてしまいもう半分に来てしまった。

「確かこの卵をかき混ぜて入れるんだよな。」

俺は店員から教えてもらった食べ方を実践したみた。

「美味い!」

味もまろやかになってさらに食べやすくなった。深淵の森にそれもかなり奥深くにこんな名店があるとは知らなかった。

もっと早く気づいていれば、もっと早くから来ていれば。

いやこれから毎日は無理だが仲間も連れてたまに来るのは良いかもしれないな。

「隣良いか?」

「構わないぞ」

「食事中すまないが俺はヨシト。この店の店長だな。宜しく」

「て、店長!?このギュウドンとても美味いぞ」

もしかすると俺より弱いかもしれない。だがこんな美味い料理を作れる。尊敬に値しない訳ないがない。

「ヨシトのそれはなんだ?」

ヨシトのギュウドンの上には白いドロドロしたものが乗っている。チーズでは無さそうだが。あれはなんだ?

「俺も昼食べてないから山かけ牛丼美味しいぞ?良かったら少し持ってこようか?」

「良いだろうか?」

「構わないぞ」

とヨシトは厨房に戻ってミニサイズのギュウドンを持って来てくれた。そこには白いものが乗っている。これが山かけギュウドン。

俺は一気に口に放り込む。放り込んだが一気に口に入ってくる。

「ッ!?」

「美味いだろ?山かけ丼を作るのも良いかもな。」

「ここはいつもやっているのか?」

これを聞いておかないと次来て閉まっていたというのはでは残念だからな。

「昼と夜はやってるよ。今は昼営業だな。ほとんど毎日やってるよ。」

「それを聞けて良かった。」

「閉まっていたらごめんな?」

「いや誰にだって都合はある。それはしょうがない事だ。」

その後、店長と色々なことを話しながら食べ終わり店を出た。ここでは魔力や素材を料金代わりに払うらしい。

俺たちは魔力は少ないが力は強い。深淵の魔物の素材を少しだけで余裕で払うことが出来た。

さらにここに来れる頻度が増えたかもな。




更新が遅くなり申し訳ありません。次話も近日中に更新します。誤字脱字がありましたらご報告お願いします。

紅生姜を忘れてしまいました。好きな方申し訳です。
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