転生王子 だらだら過ごすが偶にやる気を出す

佐原

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結局はこうなるよねぇ〜

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「アル、腹を満たしたから身体をうごかしにいくぞ!!」

「何故に?」

「暇だからだ。」

「では姉さんだけどうぞ」

「弟と仲良くしたいと思っていたのに姉は悲しいぞ!」

「いやあんたが早く帰ってこれば仲良くできた可能性は十分にあったでしょ」

「それはそれだ。」

結局、腕をガッチリ掴まれて闘技場まで来たわけだが残念ながら先客が居た。いや残念じゃないぞ!!むしろ嬉しいくらいだ!!

やっと俺にも運が味方をするのかもしれない!!闘技場の中央にはダン兄と共にカイリーが剣を打ち合っていた。これでは俺達は観客となるしかない。へへっ

出来れば無限に剣を打ち合って欲しいところだな。おい!!カイリー!!こっちを向くな!!お前はダン兄との鍛錬に集中したまえ。これは主人命令だ。

君とは長い付き合いだ言わずともわかる筈だ。そうだと俺は信じているぞカイリー!!

「ほぉ、ダンフォードは見ないうちになかなか強くなったな。しかし、打ち合っている奴はそれ以上か。」

「ええ、かなりの実力者ですね。もしかしてあれは獣人?でも違うような」

闘技場の上からダン兄の事を見ていてレイン姉さんはダンフォード兄のこと認めるような事を言った。

レイン姉さんの知る幼少期のダン兄とはどんなのだったのだろう。かなり気になるところだ。

しかしそんなダン兄以上に強いのが今のカイリー。

鬼教官セバスの元で肉体的にも精神的にもかなり強くなった。あのドS夫婦の片割れのセバスが教えるのだから強くなるのは当たり前だ。

俺もうんうんと首を上下にしながら聞いていた。

「そういえば、あいつは見ない顔だが誰だ?」

「俺の第二の執事」

「そうか。是非とも一戦したいものだ」

「彼とレインは相性がかなり悪そうですよ。レインが太陽だとしたら彼は闇。それに加えてレインは直感型、後出しのような攻撃をする彼とは正反対でしょう。」

かなり冷静な分析だがシーナさんの言っていることは正しい。今では暗部としても活躍するカイリーは普通は姿を表して戦うことはない。

カイリー後ろからザックリ倒すタイプだからだ。敵からしたら気づいたら死んでたみたいな感じだ。

レイン姉さんが望むのなら俺は喜んでカイリーを貸し出そうでは無いか。やはり身の安全が一番だ。

「負けるというのか?」

「状況によります。今この状況だと有利なのはレインです。殆どの確率で勝つでしょう。しかし森や街中での障害物が多く身を隠せる場所だったら?」

「シーナ、それは私を舐めすぎでは無いか?」

「私は自分の意見を言っただけど?何?」

おっとシーナさんの口調まで変わり始めたぞ。俺の居るところで喧嘩はやめてくれよ。

カイリーもチラッとこっち見て心配してるじゃないか。君は心配しなくて良いその鍛錬をずっと続けて闘技場を占領して居てくれ。そうすればとりあえず大丈夫な筈だ。

「まぁ、シーナの言っていることは多少は認めよう。しかし、やってみないと分からないのが戦闘だ」

ん?レイン姉さんがシーナさんの言う事を認めた?それほどまでに信頼しているのか?

「そうだとしてもレインの負ける可能性の方が高いと言っているんです。まぁ状況によってですけど。あれを見ていると少しムズムズして来ましたね」

「それは同感だ。」

カイリーから『やめて下さい!!自分では不敬になってしまいます!!』と訴える視線を感じたが無視だ。

俺は自分の身が大切なのだ。ここは主人を守ってくれカイリー。

レイン姉さんは謎の指輪から大きな鎌を取り出し、そしてシーナさんは自分の身長より明らかに大きい槍を取り出した。

というか二人の持ってるその指輪何でしょ?空間収納つきなの?

そして二人の武器なんかヤバそうなんだけどマジでそれでやんの?この闘技場持つかなぁ?なんかヤバそうな空気が漂っている。

そこはカイリーに是非とも頑張ってもらおう。ファイトカイリー!!

「何、自分はここで待っているみたいな顔をしているんだ。お前も行くんだぞ、アル」

「そうですよご飯も一緒に食べるのが美味しいように戦闘も一緒にした方が楽しいですから」

丁寧な口調で意味わからない事を言わないでよシーナさん。ご飯と戦闘は全く別でしょ。戦うなんて痛いし疲れるし嫌ダァ!!

「いや~、今ほら腕を骨折しててさ」

慌てて包帯を巻いて誤魔化したがそれを邪魔したのだがカイリーだった。というか転移で俺のとこ来んなよ。

「レイナ様、シーナ様、アルフレッド殿下は怪我などしておりませんのでご安心下さい」

カイリー!!主人を裏切るとはなんという事だ!!俺たちについて来たアンナに助けを呼ぶキラキラの視線を送ったが視線を逸らされた。

おい!!ちょっとくらい助けてくれでも良いだろ!!いつも意地悪しているやり返しか?しかし今ここで無くても良いじゃないか!!

「レイナ姉様、シーナ様、私はあなた方二人の戦闘に巻き込まれた場合、命を落としかねませんのでここはどうか見逃して頂けると嬉しいのですが」

「ハッハッ」「プフッ」

え?なぜこの2人笑ったの!?俺何か変な事言った?いつも言ってるかもしれないけどさ。今笑うようなところあったかな?

2人が笑いのツボが浅いならそれで良いんだけどそんな訳が無い。だってこの2人軽く笑った後に凄い獰猛な笑みを見せているから。あー怖いなぁー。

「アル、笑わせるなよ。お前ほどの奴が命をそう簡単に落とさないだろう。」

「そうですよ。セバスさんが一目を置く人ですからそんな柔な訳ないでしょう。全く油断せずに警戒していることはそう簡単にできませんよ?」

「うっ」

た、確かに余計なことかもしれないけど他国の王女が来ているということもあって色々と警戒していたがそれがバレるとは思わなかった。

シーナさんの観察眼はずば抜けて素晴らしいらしい。油断も隙もないとはこの事だよ。はぁマジでやりにくいなぁ。というかセバスさっさと帰ってこい!!カイリーが裏切りアンナが静観を貫くいます頼れるのはお前しか居ないんだぁれ!

「アンナ、アルはなんの武器を使うのだ?」

「刀を多く使っている姿を私たち使用人一同は目にします。」

「刀なのね」

「刀か」

「知っているんですか?」

「えぇ、武器等に関してはかなり知識がありますから。それにしてもあの国以外で刀を使う人が居るとは思いませんでした。」

「ひ弱な自分にはこれがギリギリ操れる範囲でして」

「ふぅーん。やってみればわかるでしょう」

出来ればやらない方向でお願いしたいですってのはもう無理か。

「ダンフォード!!お前はアルと組め!!私たちと2対2で勝負だ!!」

一瞬、驚いた顔をしたダン兄だけも軽い戦闘狂の兄さんも獰猛な笑みを浮かべた。何故俺の周りには戦闘狂しかいないんだぁ!!

「では、私が審判をいたしましょう。命に関わる場合などは即座に止めますのでご了承下さい。」

遅いよ、セバフゥゥゥ~

もうやる事決まってしまったんじゃんかぁ!!!





ここまで読んで頂きありがとうございます。誤字脱字がありましたらご報告お願いします。次の更新は火曜日の予定です。他作品も投稿して居ますので時間があれば読んでいただけると嬉しいです。
寒すぎて手が悴んでスピードダウンしてしまいました。遅くなって申し訳ないです。


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