転生王子 だらだら過ごすが偶にやる気を出す

佐原

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馬鹿な魔王にアールパーンチ!!

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「行くでござるよ」

「アル様、その語尾はなんでしょうか?そしてその衣装も」

「分からないでござるか?これは忍者の伝統衣装でござるよ。」

忍者が着るとされる黒装束。俺たちは魔王奪還作戦のために今から聖国へと訪れる。

これは誰にもバレてはいけない極秘任務だ。そのためにはこの格好が最適だと思ったのだがセバスには不評だったようだ。

だが俺はこのまま押し通す!!魔王を助けるのは怠いがこの状況も楽しまないといけないからな!!

「は、はぁ。私まで着る必要はありましたか?」

「この服装で一人は恥ずかしいでござるよ。」

装束の俺の隣にスーツをビシッと決めたセバスがいるというのは恥ずかしすぎる。

魔王に会ったら笑われる可能性も有る。その時にはセバスも道連れにしてやるためにも着てもらわないと困るでござるよ!!

我ながらクソみたいな考えだな。しかしこれを着るのにもいくつか理由も有る。まずは顔を隠せること。

その他にも色々と付与している。

付与魔法。この世界ではそう呼ばれる魔法はアイテムに色々な効果をつけられる。火が出るようにしたり水が出るようにしたりなどだ。

もちろん制約はある。付与魔法は自信が使える魔法属性しか付与出来ない。

しかーし!!俺っちは~チート持ちなので~全属性の魔法を使えるっちゅ~わけ~でござる。キャラ設定ミスったかもしれないでござる。

この王族という立場を生かして~たくさんの本を読んで~多くの魔法を使いこなせるようになったわけでござる。

しかも更に創造というチートがある。もちろんこのスキルも制約はあるが万能過ぎて困る。

このチートとチートを組み合わせればダラダラな生活を送れると思った俺っちだったが今この現状ではそうでないでござるよ。とほほ。

今、黒装束を着て聖国へと向かっている姿を見て分かるだろう。

全くダラダラ出来てないのだ!!….でござるよ。まだこのキャラは押し通したいでござる。

このチートが無かったらさらに出来てなかったと思うがこれにはちょっと予想外でござる。

一応、王族だからさやれと言われたらやるし目の前に餌を置かれたらすぐに食らいつくからこんな事になっているんだ!!

もう肌寒くなっているんだぞ?そう冬なのだ!!なのに何故こんなにも忙しい!!もっとダラけさせてくれよ!!

もうダラけ王子じゃ無いよ~。

「あー!!!」

忍者って色々疲れるんだな。ござるござる面倒だよ。

「何を言っておられるのですか?」

「何故俺はこんなに忙しいのか嘆いていた。」

それにござる、ござる、忙しかった。

「何をされているのですか」

セバスに呆れられながらそう言うが今まではそこまでお仕事はなかった。

月一のお茶会に参加してたまに書類に目を通すだけだった。

しかしねセバスくん。母さん、親父がどんどんお茶会に強制参加させてり仕事を押し付けてくるんだよ!!

「決めたぞ!!」

「何をですか?」

「冬はゆっくりする!!」

この世界では冬がある。年に一度雪が降るか降らないかだがかなり冷える。

そんな時に外出とか考えられん。これまでは自作のコタツでぬくぬくしていたから今年もそれは譲れない。

なんならコタツのままでトランスフォーム亀型になって移動してやるとすら思っている。

「へっへっへ」

「あまり変なことはなさらないようにお願いします。」

「そんな事はしないさ、多分」

餅も手に入るしお雑煮にぜんざい、普通に焼いて醤油だけでも普通にうまい。

「そろそろ聖国に着きますよ。そのだらしない顔をどうにかしてください。」

「わ、分かったよ。」

「それでどうなされますか?」

「侵入してどうせ魔王は城の地下あたりだろうからそこに向かうか。」

「かしこまりました。」

俺は遠くを見ることができるスキルを持っているが内部まで見れない。以前セバスの家の領地を見たのも外部だからそういうところでは使い勝手は悪い。

聖国の聖都へと辿り着いた。壁は高いが薄い。うち国の壁とは天と地の差だ。殴ったら壊れそうだし。

ドラゴンとか来たら壁が崩れて大きな被害が出そうだなぁ。うちにはダンフォードという脳筋兄貴がいるから大丈夫だけどね!!

聖都に入り街の様子を見るとかなり汚い。そして臭い。セバスも鼻を摘んでいるくらいだ。

うちの国では色々としており匂いとかとはかなり気を遣っている。まぁ聖国と王国の差が出たかなぁ。

そして痩せ細っている人も多い。これは今流行っている病もあるがそれ以前の問題だと思う。

というか~聖国の薬まったく効いて無いんじゃ無いんかなぁ?金儲けのために国力を下げるってお馬鹿さんかな?

こんなところからすぐに離れて城へと侵入した。意外にあっさり侵入することが出来て地下へと向かう。

地下に行くときに騎士たちに遭遇するか?と思ったが地下までたどり着くのに遭遇した騎士は一人だけ。

巡回を疎かにしすぎじゃ無いか?と思ったが恐らく病だろう。お得意のお薬が効かずには騎士たちも苦しんでおり編成も少人数となっているのだろう。

「はっけーん」

バンバンバン

魔王が結界を叩いているがこいつの力で壊せないとかやべぇーな。内部では魔法が使えないから厳しいのかも。

『アルフレッド来てくれたのか!!感謝する!!』

なんだこいつすげー元気じゃん。これなら急いでくる必要もなかったのかもな。

魔王を閉じ込めることが出来て聖国は良かったよな。

聖国は病という不幸に直面している中思わぬ幸運が舞い込んできたと思ったことだろう。

魔王を閉じ込めてこいつに全て擦りつけようと考えていたはずだ。そしてこいつを倒して国民から信頼を得て国を建て直し周りの国にもデカい態度をとる。

うちにはいいようにやられて他国でも少し動揺が走っているからな。もちろん俺たちから言うのではなく冒険者や商人から噂で広まった。

この魔王は良いダシとしてまんまと使われそうになった訳だ。

こんな奴が魔王で本当にやっていけるのかよ。かなり心配になってきたぞ。いや業務のほとんどは宰相たちがやっていると聞いたな。

って事はこいつは何もしてないただのハリボテか。

『おい!アルフレッド!!肉を食ってないでここから出してくれ!』

腹が減っては戦は出来ぬだぞ。俺は片手に骨つき肉を持ってむしゃむしゃ食べていた。

「まぁいいや。アールパー~ンチ」

ガシャ、パリン

「ぐべっ」

魔王が閉じ込められていた結界を壊す共に魔王までアールパー~ンチを盛大に食らって壁に激突した。

まぁこれくらい受けても文句は無いだろう。

「悪いねミスった。てへっ」

「アル様、可愛いくありません。それに地下の壁がかなり壊れております。」

「そうだね。こういう時は帰る!!バイバイ魔王さん。もうヘマをしないでね~。宰相さんが激おこだったよ~」

「あ、アルフレッド頼みが」

「無理~一人で怒られて~。じゃっ」

俺とセバスは転移を使って王城へと帰還した。任務完了でござる。




誤字脱字等がありましたらご報告のほどよろしくお願いします。久々の更新となり申し訳ありません。少しずつ更新頻度を増やしていければと思います。今後とも読んでいただけると嬉しいです。
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