転生王子 だらだら過ごすが偶にやる気を出す

佐原

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お一人でお鍋?それは寂しいので俺はペットとお鍋を堪能します。

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昨日は災難だった。姉と兄から餅を取られて母さんにも説教されてしまった。

なんで日だ!!

俺は思わずそう叫び家族そして使用人から白い目で見られて新たにアルフレッド黒歴史の1ページに追加された。

そんな日を過ごして精神的に疲れた俺はペットのアンコ共にいつもの森に来ていた。

アンコは俺の話相手になってくれるかと思いきや俺の頭の上でぐっすり睡眠中だ。

一応王族の俺の頭の上で寝るとはなんて奴だ。爪を立てたら怒るからな?

昨日は珍しく嫌なことを忘れるために早くベットインして早く寝てたのでその分早起きし朝一から森に来ている。

自室には一応『探さないで下さい。朝食、昼食、夕食要りません。精神力を回復したら帰ります』と置き手紙をしたので報告を怠り怒られる原因を消した。

何か忘れてような気がするが俺に対して良くないことだったような気がするので気にしないことにする。

こういうのは思い出したら負けだ。今を楽しむぞ!!

「ここで良いかな」

この森は広大で湖もいくつかある。水も澄んでいて綺麗な湖だ。そんなところに簡単にログハウスを立ててまずは朝食を作り始めた。

「やはり動いたあとのご飯って最高だな。」

鯵の開きを焼いて味噌汁と漬物そしてご飯を用意した。

やはりこれだよ。城ではパン、パン、パンだから飽きるんだよな。もちろん美味しいけどさ、ご飯がさらに恋しくなってしまう。

「ニャーオ」

「起きたのか?」

「ニャー」

「少し待ってくれ。ご飯を食べ終わったらお前の奴を用意してやるからな」

「ニャー」

聞き分けの良い猫で良かった。流石アンコ、なんちゃらキャットだな。賢い猫で良かったよ。城で粗相をしようもんなら一瞬で追い出されてしまうからな。

しかしこいつは母さん達には好評なため追い出される事はない。媚を売るのが美味い猫だ。別にそういう賢さは求めてないんだけどな。

ご飯を食べ終わりアンコのご飯を用意した後、湖の近くあった木にハンモックをかけて一眠りする。

朝早く起きた分やはり眠たくなってくる。しかもここは王国と比べて暖かいから居心地が良く過ごしやすい。

俺はハンモックにぶら下がると気持ち良さのあまり気づいたら寝ていた。

目覚めはアンコの猫パンチによるものだった。

「ニャー!!」

「いったいなぁ。良い眠りだったのに。ふはぁ。ってもう夕方?俺はいったい何時間寝ていたんだよ。飯でも作りますか」

気持ち良い眠りから目が覚めて湖で軽く顔を洗ってからログハウスに戻った。

「王国は寒いから鍋でも作りますか。ここの夜も肌寒いからちょうど良いかもな。」

空間収納から野菜と肉そして海鮮もいくつか出してまずは出汁から取っていく。

出汁はアゴだし。いわゆるとびうおから出汁を取っていく。色々な海鮮はガイコールに取り寄せてもらっている。

その代わりとして時間停止の空間収納のバックを使わせるという約束している。

ガイコールは商会長にもかかわらずフットワークが軽すぎる。よくもまぁあんなに動くよなぁといつも思っている。

対して俺は引きこもっている。俺にはそっちの方が性に合っているが最近は外に出る事は増えた。最低あと一年は引きこもりたいのに!!

というかダラダラしたい。最近はまだ二桁にもいかない歳なのに仕事を振られて疲弊しているんだよ。(多分)

そのためダラダラして心と体を回復する必要がある!!俺にはやはり一年間ダラダラ休養が必要だな。

ここは親父に直談判してみよう。母さんに言っても無意味だし。親父に言っても無意味のような気がするが親父の方がまだ可能性はある。

そんなことを考えているうちに鍋も良い感じに煮えてきた。具材は白菜、にんじん、ネギ、大根、豚肉、鶏肉、肉団子、はまぐり、鱈だ。

スープはアゴだしで〆はうどんとご飯を用意してある。

「ニャー」

「お前はどうせ肉だろ。ほらよ」

餌入れに肉を入れたがアンコは不機嫌そうに鳴いてきた。

「野菜か?」

「ニャー」

「違うか。魚か?」

「ニャー!!」

「やはり猫は魚が好きなのか。ほれよ」

前世の国民的人気アニメの言う通り猫はやはりお魚が好きなようだ。

「ニャー!!」

アンコは魚を加えたまま端の方に行ってムシャムシャと食べ始めた。その様子を見ていると和む。

こういう可愛い一面もあるから城では人気なのかもな。

俺はグツグツいっている鍋から各具材をお椀に取って食べる。

「美味いなぁ」

出汁がよく効いている。鶏肉(コカトリス)も豚肉(オーク)も柔らかいし最高だ。

肉に関しては前世を超えているかとしれないな。和牛は流石に超えられないが平均値は超えているに違いない。

そしてあっという間に鍋の中をあらかた食べ尽くしてしまいすぐにうどんを投入した。

ちゅるちゅる

「美味すぎる。たまにこういうのも食べたいんだよなぁ。」

城ではパスタはあるのだがうどんは無い。出汁がないからしょうがないのだが。

うどんを食べ終えた俺はご飯を投入し溶き卵を入れた。

その上にネギと一味をかけてアゴだし雑炊の出来上がりだ。

「あふっあふっ、味もまろやかに美味しいな。」

最後の〆まで堪能した俺は帰る気にもならなくなったので布団を敷いてこのログハウスで寝ることにした。

良い隠れ家を作ってしまったのかもしれない。ここの存在を知るのは俺とアンコだけ。

疲れたり逃げたい時にはここに来てほとぼりが覚めたら回復したら帰れば良い。

すこし家具は少ないが暇な時に置けばダラダラ空間の完成となる。

「ふふっ、我ながら最高の考えじゃ無いか!なんなら成人してここに一人で移り住むのも悪く無いか。まぁアリーシャが居なかったらの話だけど」

明日以降の事はまた明日以降にでも考えよう。今日くらいはゆっくり休もう。

ん?ハンモックで長時間寝たろって?確かにそうだがあんだけじゃ俺の心と体は回復しないんだよ。

姉さん達と母さんによる精神的攻撃は心だけでなく体にもくるからしっかり回復しないといけないんだ。

え?ダラダラするための口実だろって?そうだが?何か問題があるのかね?

怪童、神童に次ぐダラけ王子。その称号のままにダラけないといけないだろ?

にもかかわらず最近は忙しかったんだ。少しくらいダラダラしても許されるはずだ。そう思わないか?

うんうんそうだろ?って事でダラけ週間いやダラけ年間突入!!

一年後は避けられない地獄待っているから一年間はダラダラ過ごすんだよ!!




~翌日~

「アルフレッドこの資料を見てくれ」

「えぇ」

「妻達を昨日抑えたから少しくらい手伝ってくれても良いだろう。それとも昨日、お茶会があった事を忘れたわけじゃないだろう?」

「あっ、クソ親父め!!」

アルフレッドは父のニヤッとした顔を見てそう叫ぶしか無かった。

結局、アルフレッドは帰ってからすぐに書類に囲まれるのだった。

アルフレッドはダラダラ日々を取り戻せるのか!!

次に続く。




更新が遅くなり申し訳ございません。誤字脱字等がありましたらご報告お願いします。
この後数話後に学園編をお送りします。まだ先になると思いますがお楽しみに~

気→木
修正致しました。ご報告いただきありがとうございます。

引いて→敷いて
修正致しました。ご報告いただきありがとうございます。



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