転生王子 だらだら過ごすが偶にやる気を出す

佐原

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ギルドでは大慌て

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sideギルド長

「て、転移!?」

確かに目の前から消えましたが、転移を使えるのは一握りと言われているのに

いや、その前が問題だ。王族でアルフレッドなんて名は聞いたことない。いや。アルフレッドって確か、ダラけ王子と呼ばれていた筈だと思うのだがそんなにも強いのか?

実力の一端すら見ていないが、先程の執事より強いとなると、想像すらできない。

「ギルド長、あの少年、敵対はやめておいた方がいい。いや、絶対にしないで、私たちが、死ぬから、」

「リンがそこまで、言うのか、」

リンはAランクの冒険者で魔法を使って戦闘する。実力は既にSランクと言われ、Sランク昇格が、間近な彼女に死ぬとまで言わせるのか。

「私では分からなかったが、教えてくれるか?」

「魔力量が違いすぎる、私の100倍以上いや、測りきれないほどある。」

「測りきれない?」

リンはエルフで私たち人族より倍以上に魔力が多い、その中でもリンはエルフの中でも魔力が多いそうだ。

そのリンより多いって、ありえないんだけだが。

「執事はギリギリだけど分かった。それでも私より倍以上にある。でも、さっきの少年は魔力が無限にあるように感じた。そして、転移を使えるほど魔法を使える。恐らく執事を見るに、武術も凄い。」

「だけど、ダラけ王子と呼ばれているんだけど。」

私もこれでも以前はAランクの冒険者だったが、執事は強いと感じたが王子の方はあまり感じなかった。

「私はそういうの知らないけど、そう思われているのは不思議。」

「そうか、とりあえずこの状況をどうにかしないと。」

私たちは気絶している人たちを介抱した。アルフレッド殿下に何が無礼を働いた者はランクの降格と厳重注意をした。

「ギルド長、明日、少年の執事来るんだよね?」

「そうだね、」

「わたしも同席する。ギルド長は気にしなくていい。」

「リンが居てくれるとこっちも安心だな。」

一人じゃ、少し心細い。さっきAランクの冒険者の背後を一瞬でとり、首にナイフを当てることなんて容易具やっていたから。

そんなことされると生きた心地がしないよ。

お願いだから、何も起こらないで。


そして翌日の昼ごろに昨日の執事がやってきた。受付嬢には、すぐに上に来て貰うように、朝に何度も何度も言った。失礼は絶対しないでくれと何度も念を押した。

「失礼致します、カイリー様をお連れしました。」

「ありがとう、カイリー様どうぞお掛けください。」

「では、失礼致します。」

所作が綺麗すぎる。貴族の私でも見惚れてしまう綺麗さだ。

強いのに執事としても完璧なのか。

「私は一執事であり、一冒険者ですから、呼び捨てで構いません。それと昨日の魔法使いの方ですね、昨日はご迷惑をおかけして申し訳ございません。」

「いや、私は大丈夫。私はリン、リンって呼んで、」

「分かりました。」

「それでカイリー。ご用件はなんでしょうか。魔物を売りたいと聞きましたが、」

「ええ、魔物を売りたいのです。解体は終わっています。下級のドラゴンを100体ほど買い取って欲しいのです。」

ドラゴンを100体!?誰がそんなの、いや決まってるか、執事さんとあの王子ですね。

「それ、カイリーが倒したの?」

「そうですと言いたいところですが、もう何を倒したかとあまり覚えていないのです。」

「ドラゴン100体は余裕で倒せるの?」

「下級くらいなら、容易いです。」

リンとカイリーが話していて、私が置いていかれていてる気がするんだけど。

「アル様の専属はそれくらいは嗜み程度ですから。その中でもセバスさんは群を抜いています。」

「カイリー、怒らないで聞いて欲しい。カイリーの主人って何者?そして、貴方も」

「アル様は何者と言われればダラけ王子ですね。私はしがない執事です。」

貴方がダラけ王子と言うのですか、主人をそのように言っていいのでしょうか、

「ですが、アル様は私を拾って育ててくれました。恩人以外の何者でもありません。私は以前は奴隷でしたから、そこから雇って頂いております。」

「ごめんそこまで聞くつもりはなかった。」

「いいのですよ、気にしておりません。」

「カイリーの主人はどれくらい強いの?」

それは、私も知りたかった。まだ力の一端すら見てないから少しでも情報は欲しい。

「セバスさんが10人居ようが敵わないと聞きました。セバスさんを強くしたのもアル様ですから。私では測りきれません。」

「あと、カイリーは人族じゃない。種族は?」

リンがそう言うと一気に部屋の温度が下がった気がした。そのあとはすぐに前のように戻った。

「私は魔族の血があり、獣人の血があり、エルフの血があり、人族の血もあります。混血種です。これは、アル様もご存知の上で引き取って下さいました。」

「では、話を戻させていただきますね。魔物を買い取って頂き、ランクを上げて欲しいのです。」

「アルフレッド殿下のですか?」

殿下のランクと言えども簡単に上げるわけにはいかない。

「いえ、私とセバスさんのです。アル様はそのようなものにあまり興味がないので、こちらが国王陛下からの推薦状です。」

は!?推薦状!?確かに有れば実力を見極めた上でAランクになるはずだけど。

初めて見たいんだけど。

「わ、分かりました。Aランクにさせて頂きます。試験の方初めて免除で。」

闘技場を壊されては、どうしようも無い。お金だけかかるから。

「ありがとうございます。では、魔物をどういたしましょうか。」

「とりあえず10体買取させて貰います。解体場に案内するわ、後日そこに持ってきて欲しい。」

「分かりました。ですが、私は空間収納を使えますので、今手元にありますよ。」

「く、空間収納」

転移を使えるから普通かもしれないけどドラゴンをしまえるほどの大きさって....

「分かったわ」

カイリーとリンと共に解体場に向かい、ドラゴンを出してもらった。

「これ、大き過ぎる。これ、下級ドラゴンじゃない。」

リンの言う通り、下級ドラゴンを見たことあるけどこれの一回り小さかった。

「これは下級ドラゴンですよ。確かに少し大きいですが。古龍はさらに大きいですよ。」

古龍って何と比べているのよ、馬鹿馬鹿しいわ。

「そ、そう、これなら状態もいいし一体白金貨10枚で買い取るわ。ランクとお金は後日でいいかしら?一週間後に来て欲しいのだけど」

「ありがとうございます。私は一週間後に再び来させて頂きます。では、私は」

「カイリー、また会える?」

「確約は出来ませんが、わたしもアル様に言われて来る可能性もありますので会えるかもしれません。では、アル様の相手しなければならないので帰らせて頂きます。」

転移でカイリーがいなくなったところでリンが「カイリー」と呟いていた。

「リンはカイリーに惚れた感じ?」

「うん、惚れたかも。」

それは、少し予想外。冗談のつもりで言ったんだけど。

「そういうことなら、リン頑張りなさいね。」

「うん、じゃあ私も行く。」

はぁ、やっと終わった。こういうのは本当に心臓に悪い。出来ればもうやめて欲しい。













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