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アリーシャに告る
しおりを挟む翌日、アリーシャを部屋に呼んだ。セバス達は部屋から出て行って貰っている。
外に出ようかと思ったが、外のこと知らない。俺は森しか知らないから、外に出ることを断念した。
伊達にダラけ王子とは呼ばれてないよ。
夜にやろうかと思ったが、アリーシャは早寝だから夜更かしは良くないと思って昼頃にした。
ムード?そんなものはない。
「アリーシャ」
「はい。」
「俺と婚約してくれるかい?」
と指輪を出しながら言った。ベタだっていう奴がいるが、俺はこれが精一杯なんだよ。セバスはどうやったか知らないけど俺にはこれが限界だった。これ以上のことをやると恥ずかしすぎて死ぬ。親父たちにネタにされるかもしれないからな。
元高校生いや、高校行ってないから中卒だわ。中卒にそんなことを求めんなよ!!恋愛や言い寄られたことなんて初めてなんだよ!
「えっ、いいの?私、アルに」
おそらく言いかけたことはアルにふさわしくないとだろう。
「それはないよ。アリーシャの努力している姿は一日で伝わった。いや、こういうのは間違いだな。俺はアリーシャに惚れたんだよ。だから、婚約してくれるかな?」
「は、はい!喜んで!!」
「うわっ」
アリーシャは俺のところに飛びついてきた。可愛いから最高以外の言葉は見つからないよ。
うん、アリーシャの笑顔を見ると、この笑顔を俺は守りたい、そして一人占めしたいと思う。
俺はこんなにも、チョロかったんだな。いや、この笑顔を見たらホモ以外の男は誰だって思うだろうよ。
「はい、アリーシャ」
俺は指輪をアリーシャの勿論左手の薬指にはめてあげた。
「アルのは私がはめるよ。」
アリーシャは俺の左手薬指に指輪をはめてくれた。
「ありがとう、アリーシャ。」
「うん!」
チュッ
何かな、柔らかいものが当たったような気がするんだけど。
「私のファーストキスあげちゃった。」
なんだこの可愛い生物は!!!ファーストキスあげちゃった!って言われたぁぁぁぁ!!!
「あ、ああ。」
「ふふっ、アルはこういうのに弱いんだね。じゃあもう一回!」
チュッ
「へへ、またキスしちゃった。」
「あ、あれ夢じゃないよな。うん、そうだよな。」
「私はアルのこと好きだよ。」
その後少し落ち着いて、俺は親父達のところに行ってアリーシャと婚約したことを報告した。
その時にセバスとアンナがニヤニヤしながら「おめでとうございます」と言ってきたので俺も「俺も大人のキスもしたい」と言うと二人は顔を赤くして、下を向いた。
ククッ、アンナに勝った気分だな。
「失礼します、親父。俺、アリーシャと婚約するわ。」
「いいぞ。」
あっさり過ぎるだろ。
「ありがとう、母さん達に言って来るよ。やっぱり親父が言って、」
「それは無理だ、自分の口からと言うわけじゃなくて。勝手に決めたことを怒られそうだから。」
情けない親父だな。これでもこの国の王かよ。
「というか、息子達でお前が一番早く婚約したぞ。いや、娘達も含めてだな。」
「そうなんだ。」
と言うと、アリーシャが俺の袖を引っ張ってきた。そういえばアリーシャの紹介がまだだったな。
「お義父さま、アルフレッド様の婚約者となりましたアリーシャです。これから、宜しくお願い致します。」
「良い子を見つけたじゃないか。アルフレッドはな、女に弱いからどんどん突っ込んでいけ。」
何言ってんだよ親父は。親父は弱いの意味が違うと思うけどな、母さん達の前ではペコペコしてるから。
「はい、存じております。私の方からグイグイ行きたいと思います。」
「そうか!!アルフレッドは俺と同じく尻に敷かれそうだな!」
同じくってすでに尻に敷かれていることをみとめたよ……
「ハハ、じゃあ親父俺たちは行くよ。」
「ああ」
先にアリーシャを出させて親父に
「あとで覚えていろ」
と言って部屋を出た、母さん達のところに行くか。
俺とアリーシャは、母さん達のところへ向かった。
「俺、アリーシャと婚約する。」
「そう、条件付きならいいわよ」
「条件とは。」
さすがに変な条件をいうひとじゃないのは分かっているけど、この母親たちだ。心配でならない。
「これまで通り、シャンプーとか化粧品を支給すること。」
「そうね、それならいいわよ。あと月一回はお茶会に参加することね、」
あっ、そう。あなたたちは目当てですか、
「お義母さま、宜しくお願い致します。」
「アリーシャちゃんは可愛いし大歓迎よ。こんな子だけど、宜しくね。」
「はい!」
そこ!俺をちょっとくらい庇ってくれてもいいだろうに。こんな子って言われちゃったよ。
アリーシャとの婚約の許可を無事に貰い、また自室に戻って、アリーシャは魔法の練習だ。最近では新しい魔法を使えるようになってうれしいのだとか。転移でけで十分なんだけど…
俺はというともちろんダラける。偶にアリーシャに質問されたりしたら答えるだけ。
そうして、一週間が経った。この一週間は特に何も無かった。
親父と皇帝の晩酌に付き合った。また、最近すごい頻度である、お茶会に参加したりくらいだ。
変わったことといえば、アリーシャがやばいほど強くなったことか。
夜の散歩では、魔物の首を魔法でスパーンと切り落とす。
それを見たら、なんか凄い子を婚約者にしたんだと実感した。
怒らせたらヤバいな。俺の首をスパーンとやられるかもと考えてしまう。
そして、俺は見送りに始めて行った。アリーシャいるし、皇帝いるし。一応、隣国の頂点に君臨する人だから。
「有意義な時間を過ごさせて貰ったよ。今度は是非、我が国来てくれよ。アルフレッド。」
俺をご指名かよ。
「帝国は後継争いでごたついてるし、俺を暗殺して、それをなすりつけて貶められる事も考えられるからパスで。」
タメ口で話している様子を驚いていたが、皇帝も気にする事ないし、家族達は俺と言う事もあり、何か納得していた。
「正論で返されては困るな、落ち着いたらきてくれよ。」
「考えとく、俺としては来てくれた方が嬉しいんだけどね。アリーシャは暇な時いつでも来ていいよ、俺も暇だか。」
「うん、またね。」
「はいよー、じゃあお気をつけてはいいか。アリーシャが居るし、皇帝首切られないように気をつけてね~」
「もう!アル、そんなことしないよ!」
「皇帝、この子、烈空斬という魔法で首を切り落とすことが好きなようだから。」
「そ、それは怖いな。じゃあ、そろそろ行くとしよう。」
そして、一週間滞在した皇帝達は帝国へと帰って行った。
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