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獣国1

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王城に着いた俺たちは馬車を降り、ユーリに着いて行った。

ここは王国とは違い、そこまで華美ではないが風情を感じる。

時々、俺のことをよく思っていない人たちが居たが、それでいちいち腹を立ててはいけない。元は人族が悪いのだから。

だから、ルシル、キョロキョロするのをやめてくれないか?なんか、恥ずかしいから。

そして、俺たちはユーリに案内されるまま、ある部屋に入った。

「アレク君だったね。獣王は今は忙しいから。私が話を聞きたいのだがよろしいかな?」

「ええ、構いませんよ。ヴァン説明してあげてくれ。」

「はい、かしこまりました。」

俺はよく分からないから、ヴァンにバトンタッチというよりほぼ任せる。

「では、アレク様の執事のヴァンが説明させて頂きます。王国内で獣人が奴隷となっているのは125名の女性です。そのうちの全てが不当に奴隷にされた者でした。今はその者達を監視し、危害が加えられないか見ております。危険があり次第救出しようと思っております。」

全員が不当に奴隷にされたって本当に救いようがないな、人族ってものは

「この度この国へ参ったのはその者達をここへ転移させるためです。アレク様が居るところではないと転移が出来ませんので。」

「そうですか、」

「はい、最近拐われた、この国の王女イリナ様もその中に含まれており、特に外傷は無く無事です。」

王女を拐うってマジクソ野郎じゃないか。戦争に発展するところだったぞ。

「何!?それは本当ですか?」

「はい、王女イリナ様です。そして攫った者たちは全て私が排除させて頂きました。」

ガチャ

「すまない、遅くなった。私は獣王のレオンだ。先程少し聞こえたが、イリナは無事なのか?」

この人が獣王か、なかなかの強さを持ってるな。そして、いかついが娘さんの話となると悲しい表情を見せた。

「ええ、無事でございます。女性の尊厳も失われておりません。」

「そ、そうかそれは良かった。」

「では、広い場所へと案内して頂けますか?それと服と体を拭くものなどを用意して下さい。」

「分かったすぐに準備してしよう。レドル、闘技場は空いてるか?」

「はい、空いております。」

「分かった。レドルはヴァン殿が言ったものを用意してくれ私は闘技場へと案内する。」

「かしこまりました。」

俺たちは闘技場へと案内された。そこへ次々にレドルさんが伝え、色々なものが用意された。

そこへ獣王の奥さんや、息子、娘さんも来た。そして準備が整った。

「では、転移させていただきますので」

『転移』

と唱え、総勢獣人125名闘技場へと姿を表した。最初何が何だが分かっていなかったが、時間が経つに連れ、理解し涙を流すものが多かった。

そして、落ち着いた頃にルシルが発言した。

「男ども、この場を一旦立ち去れ。女よ妾の近くへ来い。アレク、ヴァン頼む。」

「かしこまりました。」「分かった。」

そういうことか、女性としての尊厳を奪われた子を魔法で治すのか。  

このためにルシルはここに来たのかもしれないな。ルシルは本当に優しい。

そう理解した俺たちは二人で結界を張った。俺たちから何も見えなくなるものと男が入れなくなる条件結界だ。

「アレク殿、何を?」

「獣王陛下、少し宜しいですか?」

『純潔を奪われた人たちを治してあげています。許可もなく、そんなこと良くないでしょう。』

『分かった、配慮感謝する。』

「皆の者安心せよ時期に元気になって戻ってる少しの辛抱だ!」

三十分が経つとルシルから、もう良いと念話があったので結界を解除した。

多くの者が目を赤くして泣いていたがルシルがみんなを慰めていた。

救われただけでも良いと思っていたが、女性の尊厳が戻ったのだ。泣かずにはいられないだろう。

辱められたことは頭では忘れないが、せめて体だけでは治してあげるべきだ。

それは好きな人とやるべきであるからな。

まあ、十二歳が、何を言ってるんだって感じだがな。こういう知識はヴァンから教えてもらった。

最初は教えてられてる時恥ずかしかったが何回かやるうち慣れた。

この話しは置いておいて、それにしても良かった。そして、みんな美人なのだ。

まあ、それを目当てに攫ったのだからな、美人揃いに決まってるな。しかし、少し痩せ細っているので回復に努めて欲しい。

「ユーリ、ここで料理しても?」

「えっ!?ここで?」

「ああ、みんな腹減ってるとおもうから。」

「待ってお父さんに聞いてくるから、」

その後ユーリから許可を取れたということを聞き俺とヴァンで料理を始めた。

作るのは卵雑炊。重いものは食べられないのでこれを作る。

卵雑炊は大きい鍋で作る、なんせこの人数だからな。たくさん食べるだろうし、大量に作らなければならない。

後は梨だ。水分が多いからこういう時に最適だ。

俺はヴァンと雑炊を作り、それぞれに配った。

「おかわりあるからゆっくり食べてね~」

「アレク殿、何から何まで済まない。本当にありがとう。」

「それは、俺じゃ無くてユーリに言って上げて下さい。獣人が普通の人族の国に来るなんて出来ませんよ。それに公爵家となれば尚更。私もユーリから聞かないとしませんでした。ですからユーリに感謝を言ってあげて下さい。」

「分かった。だが、アレク殿、ヴァン殿二人にも感謝したい。我が娘だけでは無く我が国民を救ってくれたこと感謝申し上げる。」

「顔をあげて下さい。私たちは力を貸しただけですから。」

「では、後ほど話すことは出来るだろうか?」

「この場が収まり次第大丈夫ですよ。」

「分かった。では、後ほど頼む。」

「分かりました。」

そうして、獣王が離れていった後も俺たちはみんなに雑炊を配ったり、梨を切ったりしてみんなが満足するのを待った。




更新が遅くなり申し訳無いです。誤字脱字がありましたらご報告のほどよろしくお願いします。









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