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魔族3

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sideリリアーナ

アレクのダンジョンを訪れた翌日、再びアレクのダンジョンへと次はお爺ちゃんもお婆ちゃんと共に訪れることなった。

朝食をとり1時間が経ち、家の前で待っているとディーさんが私たちの家の前に転移してきた。

「おはよう、リリアーナちゃん。」

「おはようございます、ディーさん。」

「リリアーナちゃんは堅いなあ、あれ?他の人は?」

「今、呼んできます!」

「そんなに急がなくていいからねぇ~。」

ディーさんはそういうが流石に待たせるわけには行かないので、すぐに二人を呼びに行った。



「待たせて申し訳ございませぬ」

「ん?いいよいいよ、大して待ってないから。じゃあ行こうか。」

ディーさんは、私が待たせたことを特に気にせず、早速ダンジョンへと転移した。


sideリリアーナの祖父

儂は何を見ているのだろうか、ドラゴンが野菜を運び、精霊が野菜に水をあげている。

そして、その一体一体がリリアーナの言う通り、儂らでは全く敵わない強さを持っている。

リリアーナの言ったことは真であったか。

ここが一番安全という意味が、よく分かった。

「ここは、農業エリアだね。みんなが、色々な植物を育てているよ。」

「儂らはここで農業をすることになるのですか?」

「いやいや、好きなことをやって貰うよ。リリアーナちゃん、多分アレクもそう言ったんじゃ無いのかな?」

「そうですね、ディーさんの言う通りです。好きなことをやらせると言ってました。」

「それで、宜しいのですか?」

好きなことを職業に出来れば、儂らは嬉しいがそれではもしここに住んだ時に、この方々の足を引っ張る可能性も考えられる。

「いいんじゃない?それで生活出来てるんだから、いやもう色々あまり過ぎて困ってる。ハハハー」

ディー様がこう笑っておられる様子を見ると、本当に困っているようじゃな。

「でね、ここは一人で自分の所を見るんじゃなくて、みんなで全体を見るんだ。そうすることで、ある一人が見落としても、他の人が見つけてくれたり。野菜の質が一定になるからね。だから、例え普通にここに参加したとしても心配は無いよ。最初の内は、慣れないかもだけどその内慣れるから。」

そんなことまで考えて農業をされて、いやはや儂の浅はかさに嫌気が差すな。

「じゃあ、次行こうか。」

と言うと上の階層へと進んだ。

ディー様は998階層に行くとおっしゃられた。本当にここは安全であると自覚した。

道中、このダンジョンについて教えてもらったが。

このダンジョン絶対的にここまで来れない。一階層から鬼畜だ。それが、700まで続く。

そして、このダンジョン内では認められたもの以外は転移不可である。

そのため、食料も限りがあるためここを一回出ると途中の階層まで転移出来ず、また最初からスタートとなる。

それ以外にも魔物が強すぎる。ここのダンジョンの魔物一体で、外では災害級とされ、一体で小さな領地を簡単に滅ぼすことができる魔物だ。

それが沢山いる。もう驚くしか無い。

「ここは海エリア。主に魚を獲る所だね。ここは、色んな魚の獲り方があって、好きなやり方でそれぞれが色々な魚をとっているよ。」

港と呼ばれるところには船が多くあり、一つ一つが立派なものであった。

「ディー坊、またお客さんかい?」

「そうだね、昨日はアレクが来たんけど今日は僕が案内なんだ。」

「そうかそうか、昨日の嬢ちゃんもいるんだな。今、みんなで獲った貝を焼いてるんだ。もし良かったら一緒にどうだい?」

その言葉でリリィの目は一際輝いた。

「じゃあ少しだけお願いするよ。」

「そうかそうか、あっちの所で座っていてくれ。適当に持ってくからよ。」

「ありがとう、僕は帆立でお願いね。」

「アレン坊は本当にそれ好きだな分かった。すぐ持って行く。」

「じゃあ僕たちはあっちで座っていようか。」

と儂達はディー様に促されるまま、机に座った。

「はい、お待ち。ここにある醤油をつけて食べてくれ。食べ方はディーに教わってくれ。」

と、漁師の方は私たちに焼いた貝を持ってきてくれた。

「食べ方と言っても、ほとんど処理されてるからそのまま食べちゃっても大丈夫だよ。」

ディー様は一通り貝の説明をしてくれた。

「食べてみればわかるよ。」

儂はまず、サザエというものから食べた。

「ん!」

コリコリして美味しい。リリィと妻も美味しく食べている。他の貝も食べたがどれも美味しかった。

「ご馳走様でした。」

「やっぱりここの海鮮は最高だね。住めば、他にも色々食べれるから。」

「儂達でもですか?」

「え?当たり前だよ。僕たちは基本みんなで作って好きなものをみんなで食べるからね。僕はヴァンにお菓子食い過ぎだと散々注意されてるけど。」

儂達がいつもこれを、食べられるのか、これはもう息子に言ってここに住むしかあるまい。

「じゃあ次行くよ~。」

儂達は更に上の階層へと進んだ。

「ここは、生産エリア。さっきの船とか農具とかはここで作られてるよ。あとはお菓子もここと住宅エリアで作られてるよ。」 

少し歩くとディー様に声をかける人が大勢いた。そして、多くのものをもらっていた。

これがリリィが沢山お土産を持ってきた要因なのだろう。

ここの、人たちはみんな強いが優しく、親切だ。種族など関係なく、強さなど関係なく住んでいる。

儂達はこの方々と比べ、強さは大きく劣るが楽しくやっていけるかも知れない。

「じゃあ、次行こうか。」



「ここは住宅エリア。みんなが住むところだね、この階層には各階層に転移できるところがあるから、ここから各階層へといって貰うよ。」

儂と妻は顔には出さないが、大きく驚いた。なんせ、家が大きく、沢山あるからだ。儂達いつも住んでいる家とは違う。

「今ここにいるのは仕事が休みな人たちだね、ここは5日仕事して2日休む、6日仕事して一日休むの繰り返しなんだ。ずっと仕事するのは作業効率落ちるし、質も下がってしまうからね。」

休み?そんなのがあるのか。儂らと考え方はまるで違うな。

一通り見たが、色々な家が建っていた。種族の好みや個人の好みによって建てられているそうだ。

儂達が住む時も要望を聞き建ててくれると言っていた。

「ディー様、儂らをここで住ませてくれぬだろうか。」

「それはもちろん大丈夫だよ、そのつもりだったから。魔族みんな呼んでも構わないよ、他に困っている種族がいたらその人たちも呼んできていいから。」

「あ、ありがたいございます。」

「一週間後、準備をしていてね、そっちに行くから。」

「分かりました。今日はありがとうございました。」

「いいよいいよ、じゃあ帰るよ~」

儂らも準備を早くしなくてはならないな。

リリィは儂らの救世主だな。



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