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保健室の先生2

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「で、橋田先生の事だけど林先生のクラスの生徒は佐藤君を体調不良で帰ったと言ったそうだわ。そのことに担任は気づかず放置。佐藤くんの予想通りだったわ。それにこう言うのが続けば、このまま佐藤君がやられっぱなしの訳ないじゃない。青木さんがよくわかってるのじゃない?」

「‥‥‥はい、」

「それで、そのクラスは崩壊すると、佐藤君がやられっぱなしじゃないってどう言うことですか?」

橋田先生は佐藤くんのこと知ってるようね。

「橋田先生、佐藤くんのこと知ってるの?」

「知ったのは最近です、国語のテスト学年一位でしたから。」

あの子らしいわね。人の感情を読むのに長けてそうだもの。

「佐藤君って頭いいの?」

「あんまりこういうのは言えませんが今回のテストは学年トップでした。以前も1桁を常にキープしてましたし。それで崩壊するとはどういう意味ですか?」

そんなに優秀だったのね。

「私からは言えません。」

青木さんは弱みでも握られているのかしら、いやそんなことするような子じゃないか。

「佐藤君は強いですよ。頭も力も。」

それぐらいしか言えないか、あの子にも秘密にして欲しいことありますし。

「いえ、保健室の先生言っても構いませんよ?」

「誰?」「セバスさん。」

いきなりここに現れた。誰?佐藤くんの関係者だとは分かりますし、青木さんの知り合いですから、安全だとは思います。

「初めまして、私は佐藤颯太の執事のセバスと言います。どうぞお見知りおきを。先程マスターから話を聞き、保健室の先生にお礼言いたく、ここに来ました。ここに来た方々はお気になさらないで下さい。」

「まずは保健室の先生お名前を伺っても宜しいですか?」

そのためだけにここに来たの?でも佐藤くんいい執事を持ったものだわ。だからさっき過去形で一人暮らししていたと言ったのか、

「私は浜田安恵です。」

「マスターが「先程お帰りなってきた時学校は捨てたもんじゃ無いな。」と仰ってまして、理由を聞いたところ浜田先生のお名前を挙げられ一言お礼を言いたく、マスターに寄り添ってさらには理解して頂きありがとうございました。」

「いえいえ、当たり前の事をやっただけですから。それに貴方は一体何者ですか?」

「これは失礼致しました。しかし、お答えするには契約を結んで頂きたいのです。」

「契約ですか、」

何か危ないものなら断ろう。この人は危険だ。

「マスターの不利益にならないことを他人に言えなくなるだけです。言おうとしたら声が出ないそれだけでございます。嘘は言ってないですよ?」

たしかにスキルを使うが嘘はついていなかったわ。

「では私は契約しましょう。それで橋田先生は?」

「契約しないのならここで聞いたことの記憶を消させて頂きます。」

そんなことまで出来るの、

「本当に他人に言えなくなるだけですか?」

「ええもちろん、命に賭けて。それに悪どい契約したらマスターに怒られましから。」

佐藤くんの事をよほど心配、そして大事にしてるようね。

「では、私もお願いします。」

「承知しました。」

そして私たちは渡された紙に名前を書いた。それだけだった。

「青木さんはご存知ですが、私はマスターに生み出された吸血鬼の真祖です。よろしくお願い致します。」

人ですら無かったのね、それに生み出した?佐藤君は私の想像以上だったようね。

「マスターから今日あったことを聞きましたが、殊更気にしていないようでした。それよりもいい先生が居ることが嬉しかったそうです。反対にクラスの奴らには以前も興味なかったそうですがさらに興味無くなったそうです。名前も誰一人覚えないですから、担任の先生もですよ。」

今日のことがあったから、そう思うに不思議はないわよね。それに名前も覚えてないか、余程興味が無いんでしょう。

「あの、セバスさん佐藤君はクラスに何か仕返ししますか?」

「いえ、しないと考えられます。これを理由に早退出来ると考えてもいるくらいですから。それにクラスに興味が無いそうなのでそのようなことをするくらいなら本読んでいた方がマシと思いますよ。」

早退の理由にできるか流石佐藤君ねいい根性してるわ。

「マスターは命の危険性が無いことでしたら暴力の反撃はしないでしょう。もし本気で暴力の反撃に出たらこの都市は無くなりますから。それにマスターは精神面では私なんかよりよっぽど強いですよ。これまで高校生にも関わらず誰の助けも借りずに生活して来てますから。」

それは確かに。

「では、命の危険性がなかったら反撃はしないと?」

「橋田先生その通りでございますが、例外もあります。マスターが一番尊敬している者を侮辱する事です。」

「それは、いったい誰なんですか?」

「祖父母です。二年前にはお二方は他界されましたが、マスターを育てた方です。今でも毎日お墓の掃除と仏壇に参っています。私もその方々を尊敬してます。詳しくは聞いてはいませんが、一言だけ「爺ちゃん、婆ちゃんがいなかったら俺は存在してない」と、」

「暗い話になりましたが、マスターは靴を隠されようと、机に落書きされようと、殴られようと大丈夫でございます。あと今回は青木さんのせいではございませんのでお気になさらず。そして浜田先生、橋田先生、これからもマスターと仲良くしてあげて下さい。」

と言ってセバスさんは立ち上がりお辞儀をした。この人とてもいい人なんだろう。佐藤くんの事をしり、支えたいと思ってもここまでのことを簡単にできるものじゃない。それにこの人は強いにも関わらず傲慢では無い、謙虚だ。

「セバスさん顔をあげて下さい、佐藤君は毎日ここに来ると言ってました。それに私もあの子のこと分かりますから。」

「私はあまり佐藤君と関わりがありません。でも生徒の1人です。私も学生の頃はボッチで少し嫌がらせのようなものも受けてました。少しは佐藤くんの気持ちが分かるはずです。」

そういう経験があるからあの時唯一若い教師の中で顔をしかめてたのね。

「皆様これからもよろしくお願いいたします。それとここは私が居る間時間を止めてましたので、時間経過はありません。では私はこの辺りで帰らせて頂きます。」

と言ってセバスさんは来た時のように一瞬で帰って行った。

「橋田先生、そんなことが、」

「それは学生時代だから気にしないで青木さん。それと青木さんに聞きたいのだけど、セバスさんとどういう関係?」

「私、ダンジョンに潜るためにセバスさんに教えて貰ってます。」

「青木さん、ダンジョンに潜るのは構わないけど強くなったという慢心はしないようにね。」

「浜田先生、慢心はしません!それに私より強いお二人が慢心はおろか油断や隙も見せませんからそんなこと出来ませんよ。」

確かにそれもそうか、この後私たちはお弁当を三人で食べた2人は授業のため教室へと帰っていった。



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