10 / 17
10話 復讐
しおりを挟む
「いいえ、ありえません。会長はクレアで、現在は王国の端まで商談に行っているはずです」
「そっ、そうですよ。オリヴィアが会長なわけないではないですか、ご冗談にも程があります」
私は表に立ちたくなかった。
だからクレアに表の会長として商談などを任せていた。
会長の肩書がある方が相手に舐められないから。
それでも、さすがに王家に嘘をつくわけにはいかず、王家お墨付きをいただく際に王妃様とはじめて顔を合わせた。
それ以来、王妃様はアイヴィロ商会一の顧客で新商品が出るたびに私が王宮まで献上しに行っていた。
王妃様は笑みを溢しながら私をチラッと見た。
これは楽しんでいるときの顔だ。
「冗談ではないわ。あなた達がこの日のために遠ざけたクレアちゃんは商談専門であって、本当の会長は目の前にいるオリヴィアちゃんよ!!」
王妃様の満足気なドヤ顔にこちらまで恥ずかしくなってしまう。
「そっ、そんなバカな……あっ!? ですが、その女は不貞を働いた女です。信用には値しません」
「オリヴィアちゃん、本当なの?」
「全くのデタラメですね。証拠も揃っています」
みんなが集めてくれた証拠が私にはある。
「そうよねぇ、王家でも調査をしたけれど、あなた子飼いの婚約仲介人が洗いざらい喋ったわよ」
「あっ……あぁ……」
「あなたのお父上は本当に立派な武人だったわ。グリフィス家は代々その武力によって王国に貢献して来てくれていた。貴族の中でも特別な存在なのよ」
アランは納得していない様子で王妃様を睨みつけるが、そんなことは気にせずに話を続ける王妃様。
「グリフィス家に騎士として仕えていたヴィクターのことだけど……」
「そうだ、あの裏切りの騎士が……」
「黙りなさいっ!!」
王妃様が今日初めて声を荒げた。
アランはその迫力で膝から崩れ落ちる。
「アランさん、それ以上の侮辱は王家へ対する大反逆罪に当たりますよ」
取り乱す王妃様に代わってルクシア様が間に入る。
「……」
「王族の王位継承者はいくつかの貴族に仕えて、民の上に立つということを学ぶのですよ。第一王子ヴィクター・ルドニール・アセルセアの名をお前如きが気安く呼んでいいものではない」
「連れて行きなさい」
落ち着いた王妃様の命令で二人は会場から連れ出された。
「ところでオリヴィアちゃん……」
ニコニコと王妃様が近づいくる。
逃げたいけど、逃げたら反逆罪だ。
「ヴィクターと上手くやってるようだけど」
「……」
恥ずかしさで耳まで真っ赤になってしまう。
最初は全く気づかなくてそういう関係になってしまいました。
気づいたときには気持ちが抑えられなくなっていた。
「いいのよ、オリヴィアちゃんなら大歓迎ですからね」
「はひっ……はい……よろしくお願いします」
よろしくなんて、何をいっているんだろう私は……
「そっ、そうですよ。オリヴィアが会長なわけないではないですか、ご冗談にも程があります」
私は表に立ちたくなかった。
だからクレアに表の会長として商談などを任せていた。
会長の肩書がある方が相手に舐められないから。
それでも、さすがに王家に嘘をつくわけにはいかず、王家お墨付きをいただく際に王妃様とはじめて顔を合わせた。
それ以来、王妃様はアイヴィロ商会一の顧客で新商品が出るたびに私が王宮まで献上しに行っていた。
王妃様は笑みを溢しながら私をチラッと見た。
これは楽しんでいるときの顔だ。
「冗談ではないわ。あなた達がこの日のために遠ざけたクレアちゃんは商談専門であって、本当の会長は目の前にいるオリヴィアちゃんよ!!」
王妃様の満足気なドヤ顔にこちらまで恥ずかしくなってしまう。
「そっ、そんなバカな……あっ!? ですが、その女は不貞を働いた女です。信用には値しません」
「オリヴィアちゃん、本当なの?」
「全くのデタラメですね。証拠も揃っています」
みんなが集めてくれた証拠が私にはある。
「そうよねぇ、王家でも調査をしたけれど、あなた子飼いの婚約仲介人が洗いざらい喋ったわよ」
「あっ……あぁ……」
「あなたのお父上は本当に立派な武人だったわ。グリフィス家は代々その武力によって王国に貢献して来てくれていた。貴族の中でも特別な存在なのよ」
アランは納得していない様子で王妃様を睨みつけるが、そんなことは気にせずに話を続ける王妃様。
「グリフィス家に騎士として仕えていたヴィクターのことだけど……」
「そうだ、あの裏切りの騎士が……」
「黙りなさいっ!!」
王妃様が今日初めて声を荒げた。
アランはその迫力で膝から崩れ落ちる。
「アランさん、それ以上の侮辱は王家へ対する大反逆罪に当たりますよ」
取り乱す王妃様に代わってルクシア様が間に入る。
「……」
「王族の王位継承者はいくつかの貴族に仕えて、民の上に立つということを学ぶのですよ。第一王子ヴィクター・ルドニール・アセルセアの名をお前如きが気安く呼んでいいものではない」
「連れて行きなさい」
落ち着いた王妃様の命令で二人は会場から連れ出された。
「ところでオリヴィアちゃん……」
ニコニコと王妃様が近づいくる。
逃げたいけど、逃げたら反逆罪だ。
「ヴィクターと上手くやってるようだけど」
「……」
恥ずかしさで耳まで真っ赤になってしまう。
最初は全く気づかなくてそういう関係になってしまいました。
気づいたときには気持ちが抑えられなくなっていた。
「いいのよ、オリヴィアちゃんなら大歓迎ですからね」
「はひっ……はい……よろしくお願いします」
よろしくなんて、何をいっているんだろう私は……
0
お気に入りに追加
143
あなたにおすすめの小説
ある辺境伯の後悔
だましだまし
恋愛
妻セディナを愛する辺境伯ルブラン・レイナーラ。
父親似だが目元が妻によく似た長女と
目元は自分譲りだが母親似の長男。
愛する妻と妻の容姿を受け継いだ可愛い子供たちに囲まれ彼は誰よりも幸せだと思っていた。
愛しい妻が次女を産んで亡くなるまでは…。
奪われたものは、もう返さなくていいです
gacchi
恋愛
幼い頃、母親が公爵の後妻となったことで公爵令嬢となったクラリス。正式な養女とはいえ、先妻の娘である義姉のジュディットとは立場が違うことは理解していた。そのため、言われるがままにジュディットのわがままを叶えていたが、学園に入学するようになって本当にこれが正しいのか悩み始めていた。そして、その頃、双子である第一王子アレクシスと第二王子ラファエルの妃選びが始まる。どちらが王太子になるかは、その妃次第と言われていたが……
一年で死ぬなら
朝山みどり
恋愛
一族のお食事会の主な話題はクレアをばかにする事と同じ年のいとこを褒めることだった。
理不尽と思いながらもクレアはじっと下を向いていた。
そんなある日、体の不調が続いたクレアは医者に行った。
そこでクレアは心臓が弱っていて、余命一年とわかった。
一年、我慢しても一年。好きにしても一年。吹っ切れたクレアは・・・・・
今日も旦那は愛人に尽くしている~なら私もいいわよね?~
コトミ
恋愛
結婚した夫には愛人がいた。辺境伯の令嬢であったビオラには男兄弟がおらず、子爵家のカールを婿として屋敷に向かい入れた。半年の間は良かったが、それから事態は急速に悪化していく。伯爵であり、領地も統治している夫に平民の愛人がいて、屋敷の隣にその愛人のための別棟まで作って愛人に尽くす。こんなことを我慢できる夫人は私以外に何人いるのかしら。そんな考えを巡らせながら、ビオラは毎日夫の代わりに領地の仕事をこなしていた。毎晩夫のカールは愛人の元へ通っている。その間ビオラは休む暇なく仕事をこなした。ビオラがカールに反論してもカールは「君も愛人を作ればいいじゃないか」の一点張り。我慢の限界になったビオラはずっと大切にしてきた屋敷を飛び出した。
そしてその飛び出した先で出会った人とは?
(できる限り毎日投稿を頑張ります。誤字脱字、世界観、ストーリー構成、などなどはゆるゆるです)
hotランキング1位入りしました。ありがとうございます
【完結】愛に裏切られた私と、愛を諦めなかった元夫
紫崎 藍華
恋愛
政略結婚だったにも関わらず、スティーヴンはイルマに浮気し、妻のミシェルを捨てた。
スティーヴンは政略結婚の重要性を理解できていなかった。
そのような男の愛が許されるはずないのだが、彼は愛を貫いた。
捨てられたミシェルも貴族という立場に翻弄されつつも、一つの答えを見出した。
【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
婚約破棄直前に倒れた悪役令嬢は、愛を抱いたまま退場したい
矢口愛留
恋愛
【全11話】
学園の卒業パーティーで、公爵令嬢クロエは、第一王子スティーブに婚約破棄をされそうになっていた。
しかし、婚約破棄を宣言される前に、クロエは倒れてしまう。
クロエの余命があと一年ということがわかり、スティーブは、自身の感じていた違和感の元を探り始める。
スティーブは真実にたどり着き、クロエに一つの約束を残して、ある選択をするのだった。
※一話あたり短めです。
※ベリーズカフェにも投稿しております。
悪役断罪?そもそも何かしましたか?
SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。
男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。
あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。
えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。
勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる