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9話 反逆
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「それで新商品だけれど、どうして世に出ていないのかしら? まだ試作段階とか?」
王妃様がアンネリーネに問いかける。
「実はですね、この洗髪剤はかなり前から完成していたんですよ。さらに一般に流通しているものよりも効果が高いのです」
「ではなぜ世に出ていないのかしら?」
「ここだけの話ですが……」
チラッと周りを見るアンネリーネ、周りの人間がが聞き耳を立てているのが分かっているくせに……
「アイヴィロ商会の上層部で独占しているんです」
「バカなっ!? それが事実なら王国へ対して重大な反逆行為ではないか」
「まさか、他にもそのような商品が大量にあるのではないか」
周りが騒ぐのも無理はない。
アイヴィロ商会は王家お墨付きを頂いている。
金銭面やトラブルがあった際にサポートしてくれる。
その代わりに開発された新商品などは王家に献上しなければいけない。
パチンッ!!
王妃様が扇子を強く閉じると、ざわついていた空気が一瞬で引き締まる。
「それで貴方はどうしてその商品をわざわざここに持ってきたのかしら?」
「ここからは私が説明をさせていただきます。アイヴィロ商会の王国への反逆は見過ごせません。しかし、その商品が魅力的なことなのは王妃様が存分に知っているはず。商会を潰してしまうとその素晴らしい商品までも消えてしまいます。そこで、このアンネリーネにアイヴィロ商会を引き継がせて、今後このような反逆の起きないようにグリフィス家が全力で監視を致しますのでどうかこの話をお許しください」
アランがごちゃごちゃと御託を並べているけど、端的にいうとアイヴィロ商会の乗っ取りだ。
「そう、話は分かったわ」
「では!!」
「その前にいくつか質問をさせて頂戴」
「もちろんですとも」
「貴方たちの御髪の艶がいいようですけど、それは新商品を使ったのかしら?」
「えっ、えぇ、その通りでございます。まずはその効能を見ていただくのが一番かと思いまして」
「そう……そこの貴方、アンネリーネといったはね」
「名前を覚えていただき、ありがたき幸せでございます」
「貴方が商会を継いで本当にやっていけるのかしら? 王都の支部長をやっているようですけど、それは経理や人事の部分であって商品の開発や何かあったときのケアなどできるのかしら?」
「もちろんです。これまでに培ってきた知識を活かせば何も問題ないはずです」
「では、まず自分たちのケアをすることね。このお話はこれでおしまいです」
「どういうことですか?」
アランが訝しげな表情で問いかける。
「どうして世に出ていないか、それは副作用があるからよ」
「アンネリーネ!?」
「そっ、そんな……私はそんな話聞いていないわ」
「あら、そこにいるオリヴィアちゃんが教えてくれたわ」
このタイミングで振ってくるとは王妃様はドSだ。
「はい、その通りでございます」
「オリヴィアが新商品についてなぜ……王妃様とオリヴィアはお知り合いだったのですか?」
「アイヴィロ商会の会長はオリヴィアちゃんだから、何度もあったことがあるわ」
「そんな……」
アランの目は焦点が合わずぐるぐると回っていた。
王妃様がアンネリーネに問いかける。
「実はですね、この洗髪剤はかなり前から完成していたんですよ。さらに一般に流通しているものよりも効果が高いのです」
「ではなぜ世に出ていないのかしら?」
「ここだけの話ですが……」
チラッと周りを見るアンネリーネ、周りの人間がが聞き耳を立てているのが分かっているくせに……
「アイヴィロ商会の上層部で独占しているんです」
「バカなっ!? それが事実なら王国へ対して重大な反逆行為ではないか」
「まさか、他にもそのような商品が大量にあるのではないか」
周りが騒ぐのも無理はない。
アイヴィロ商会は王家お墨付きを頂いている。
金銭面やトラブルがあった際にサポートしてくれる。
その代わりに開発された新商品などは王家に献上しなければいけない。
パチンッ!!
王妃様が扇子を強く閉じると、ざわついていた空気が一瞬で引き締まる。
「それで貴方はどうしてその商品をわざわざここに持ってきたのかしら?」
「ここからは私が説明をさせていただきます。アイヴィロ商会の王国への反逆は見過ごせません。しかし、その商品が魅力的なことなのは王妃様が存分に知っているはず。商会を潰してしまうとその素晴らしい商品までも消えてしまいます。そこで、このアンネリーネにアイヴィロ商会を引き継がせて、今後このような反逆の起きないようにグリフィス家が全力で監視を致しますのでどうかこの話をお許しください」
アランがごちゃごちゃと御託を並べているけど、端的にいうとアイヴィロ商会の乗っ取りだ。
「そう、話は分かったわ」
「では!!」
「その前にいくつか質問をさせて頂戴」
「もちろんですとも」
「貴方たちの御髪の艶がいいようですけど、それは新商品を使ったのかしら?」
「えっ、えぇ、その通りでございます。まずはその効能を見ていただくのが一番かと思いまして」
「そう……そこの貴方、アンネリーネといったはね」
「名前を覚えていただき、ありがたき幸せでございます」
「貴方が商会を継いで本当にやっていけるのかしら? 王都の支部長をやっているようですけど、それは経理や人事の部分であって商品の開発や何かあったときのケアなどできるのかしら?」
「もちろんです。これまでに培ってきた知識を活かせば何も問題ないはずです」
「では、まず自分たちのケアをすることね。このお話はこれでおしまいです」
「どういうことですか?」
アランが訝しげな表情で問いかける。
「どうして世に出ていないか、それは副作用があるからよ」
「アンネリーネ!?」
「そっ、そんな……私はそんな話聞いていないわ」
「あら、そこにいるオリヴィアちゃんが教えてくれたわ」
このタイミングで振ってくるとは王妃様はドSだ。
「はい、その通りでございます」
「オリヴィアが新商品についてなぜ……王妃様とオリヴィアはお知り合いだったのですか?」
「アイヴィロ商会の会長はオリヴィアちゃんだから、何度もあったことがあるわ」
「そんな……」
アランの目は焦点が合わずぐるぐると回っていた。
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