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十四章 帝国政戦編
165話 風の叫び
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人も魔物すらも寄り付かない、それがテルザの森。
何かがあるわけではなく、ただただ魔力濃度が高いのだ。
魔力濃度が高いというのは力の弱い者からすれば毒となる。
言うなればこの森は猛毒地帯。
生い茂る植物の数々は長い間魔力に晒されて異常な進化を遂げて不気味な姿をしている。
そんな植物の間を通っていくのだが、何もないからこそ余計に不気味に感じるというもの。
テルザ森に入ったのは俺、十六夜、ディアーヌ、スカー、それと暗部の選りすぐりの数人の少数精鋭。
他の者の実力ではこの森は辛い。
そんな俺たちは森を奥は奥へと突き進んでいく。
ゆっくりと警戒をしながら歩いていると洞窟が見えてくる。
目指していた目的地でここに姫様がいるのがすぐに分かった。
洞窟の前で数十体の天使が守りを固めている。
大天使の命令ではないため勢力はそこまで多くないんじゃなかったのかと疑問に思っていたが、よく見れば天使の形をしたゴーレムだ。
姫様を攫った天使の一体が岩に腰掛けている。
こちらに気づいたらしく、術式を展開すると天使型のゴーレムが空を覆うほど召喚された。
俺たちが戦闘態勢に入ろうとするのを十六夜が手で止める。
ここまで一言も喋っていなかった。
スカーの言葉を自らの中で消化して姫様を助けると決意した。
十六夜は表面に出していないが、その怒りはいつ爆発してもおかしくなかった。
姫様を攫った天使たち、天使に立ち向かわなかった俺に対して、そしてなす術もなく倒れた自分に対して。
「全力でやる。巻き込まれないように下がっていろ」
俺の十六夜のイメージは一対多数を得意としていない魔法使い。
圧倒的な居合があってもそれで斬り伏せれるのは精々が数体でしかない。
しかも一度使うと次に使うまで時間が必要になる。
また居合をするのかと思ったが、十六夜は腰に差していた刀をアイテムボックスにしまった。
代わりに装備したのは指一本に対して一個の指輪。それを10本全てに嵌める。
「この刀は鍔鳴といって、強力な居合を使える代わりに装備中、魔力と一定異常の魔法の封印のデメリットがつく」
わざわざ俺に説明をするように十六夜は語る。
「そして一度装備を外すと24時間装着できなくなる」
鍔の鳴る音の代わりに指輪同士が擦れてカチャン、カチャンと音を立てる。
巨大な魔法陣が何重にも展開、高濃度の魔力にも負けないだけの魔力が注がれていく。
「暴風の叫び」
魔法陣が金色に光り、じっとりと重い風が森に吹く。
風は唸り声を上げて、向かってくるゴーレムたちを斬り刻んでいく。
下がっていろと言った意味が分かった。
十六夜の前面の木々は切り倒され、更地になってその上に粉々になったゴーレムの山ができる。
「人の割りにはそこそこやるようだな」
座っていた天使が立ってゴーレム修復して立ち上がらせる。
「行けっ!!」
十六夜の声で洞窟へと走る。
天使とゴーレムは十六夜が抑えている。
それよりも危険なのは十六夜の放つ風が無秩序に襲ってくることだった。
何かがあるわけではなく、ただただ魔力濃度が高いのだ。
魔力濃度が高いというのは力の弱い者からすれば毒となる。
言うなればこの森は猛毒地帯。
生い茂る植物の数々は長い間魔力に晒されて異常な進化を遂げて不気味な姿をしている。
そんな植物の間を通っていくのだが、何もないからこそ余計に不気味に感じるというもの。
テルザ森に入ったのは俺、十六夜、ディアーヌ、スカー、それと暗部の選りすぐりの数人の少数精鋭。
他の者の実力ではこの森は辛い。
そんな俺たちは森を奥は奥へと突き進んでいく。
ゆっくりと警戒をしながら歩いていると洞窟が見えてくる。
目指していた目的地でここに姫様がいるのがすぐに分かった。
洞窟の前で数十体の天使が守りを固めている。
大天使の命令ではないため勢力はそこまで多くないんじゃなかったのかと疑問に思っていたが、よく見れば天使の形をしたゴーレムだ。
姫様を攫った天使の一体が岩に腰掛けている。
こちらに気づいたらしく、術式を展開すると天使型のゴーレムが空を覆うほど召喚された。
俺たちが戦闘態勢に入ろうとするのを十六夜が手で止める。
ここまで一言も喋っていなかった。
スカーの言葉を自らの中で消化して姫様を助けると決意した。
十六夜は表面に出していないが、その怒りはいつ爆発してもおかしくなかった。
姫様を攫った天使たち、天使に立ち向かわなかった俺に対して、そしてなす術もなく倒れた自分に対して。
「全力でやる。巻き込まれないように下がっていろ」
俺の十六夜のイメージは一対多数を得意としていない魔法使い。
圧倒的な居合があってもそれで斬り伏せれるのは精々が数体でしかない。
しかも一度使うと次に使うまで時間が必要になる。
また居合をするのかと思ったが、十六夜は腰に差していた刀をアイテムボックスにしまった。
代わりに装備したのは指一本に対して一個の指輪。それを10本全てに嵌める。
「この刀は鍔鳴といって、強力な居合を使える代わりに装備中、魔力と一定異常の魔法の封印のデメリットがつく」
わざわざ俺に説明をするように十六夜は語る。
「そして一度装備を外すと24時間装着できなくなる」
鍔の鳴る音の代わりに指輪同士が擦れてカチャン、カチャンと音を立てる。
巨大な魔法陣が何重にも展開、高濃度の魔力にも負けないだけの魔力が注がれていく。
「暴風の叫び」
魔法陣が金色に光り、じっとりと重い風が森に吹く。
風は唸り声を上げて、向かってくるゴーレムたちを斬り刻んでいく。
下がっていろと言った意味が分かった。
十六夜の前面の木々は切り倒され、更地になってその上に粉々になったゴーレムの山ができる。
「人の割りにはそこそこやるようだな」
座っていた天使が立ってゴーレム修復して立ち上がらせる。
「行けっ!!」
十六夜の声で洞窟へと走る。
天使とゴーレムは十六夜が抑えている。
それよりも危険なのは十六夜の放つ風が無秩序に襲ってくることだった。
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