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25話 ひつじとしろくまと採掘
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鉱山都市『シャマラカ』はその名の通り、周囲を高くそびえ立つ山脈に囲まれ、そこから採掘される鉱石によって発展してきた都市である。
鉱石を採掘する鉱夫に採掘班を護衛する冒険者、それを加工する鍛治師などの技術者、加工されたアイテムを売買する商人、人が集まるので宿屋や飲食店も多く立ち並ぶ。
まさに鉱石を中心に経済が回っているのが鉱山都市の特徴である。
この基盤はドワーフ国を参考に作られていて、都市にはドワーフも少なくない。
鉱山を開拓するための鉱夫が各山へとつながるトンネルの前に集合する。
目の前に鉱山があるといって勝手に侵入し、鉱石を採掘することは重罪になる。
採掘請負所にいって、採掘申請をすればはじめての者は採掘に関するルールを教えられる。
初めてではないものはその説明を飛ばして、胸からぶら下げる採掘許可証が渡されて、どこかの班に組み込まれる。
実力が高ければ高いほど稼げる鉱山へと回されることになるのだ。
ノア一行はちょうど採掘についての説明を終えるところであった。
基本的なルールは班長のいうことは絶対ということ。
これは指揮系統に入るのだから上の命令に従うのは当然であろう。
素人判断で行動しては効率が悪すぎるし、危険もある。
班長とはこの都市で認められた鉱夫で経験豊富なので任せるのが一番だ。
第二に何かあっても戦闘は行わず逃げること。
鉱山は普通の地形と違い山を掘っていて地盤が脆くなっている箇所もある。
勝手な戦闘をしては崩落をまねき、全員を危険に晒すことになる。
そのため戦闘は御法度なのだ。
もし、戦闘が必要になった場合は各班に護衛として冒険者がつくことになるので、その人たちに任せることになっている。
もちろん冒険者たちは鉱山での戦闘を熟知した者が担う。
最後に採掘した鉱石は無断で使用しないこと。持ち帰らないこと。
これも当然といえば当然だろう。
もちろん働けば働いた分の給与は貰えるので無償ではない。
採掘した鉱石の一部がお金かを選択することができる。
ノアたちは初心者で本当に軽い説明だけがされる。
もっと採掘を重ねて信用されれば、ランクの高い鉱山の仕事につくための注意事項なども膨大な量になる。
鉱石によっては採掘方法が異なれば価値を失ったり、爆発したりして危険なので当然だ。
しかし、ノアもそこまでやる気はない。
そもそもが採掘するつもりもなかったが、ぽむとこおりが興味を示したので遊びがてらに採掘することにしたのである。
普通ならばふざけるなとの声も上がりそうだが、鉱山都市『シャマラカ』では意外にも観光採掘が流行っている。
請負所でも観光専用のプランも用意されているのだ。
色とりどりに光り輝く鉱石や幻想的な雰囲気を醸し出す地底湖など絶景も多い。
自分たちで採掘した鉱石をアクセサリーにできるのも人気の理由である。
ということで採掘のルールを覚えたノア一行は採掘許可証を貰って、集合場所にいた。
この採掘プランではそこまではしなくてもいいのだがノア一行の服装はガチだった。
作業服に黄色いヘルメットをかぶり、ピッケルを担ぐ。
作業服とアイテムの貸し出しがあってコスプレ感覚で身につけている。
ぽむとこおりは完全に役に入りきっていた。
採掘班員が6名、仲睦まじいカップルに青年が1人、そしてノアとぽむとこおりである。
護衛が3名の冒険者、男性2人に女性が1人。
計9名の前に班長のドワーフが現れて改めて注意事項について説明をする。
ぽむとこおりも真剣に話を聞いて何故か敬礼ポーズをとる。
「ガハハハ、ちっちゃいのはやる気満々だなぁ。気に入ったぞ!!」
班長でドワーフの男性、ガイエンは身長が130センチと小柄ながら横にはガッチリとしている。
立派な髭を蓄えておりまさにドワーフだった。
「まぁ、かわいいわね」
「そうだね、でも君の方が可愛いよ」
バカップルだった。
もう1人の班員は無口。
「ではブリジネット、いつものように護衛を頼むよ」
「任せてください、ガイエン班長。あなたたちも行くわよ」
護衛の女性の名前はブリジネットで副班長を務めている。
他2人の護衛はブリジネットの部下にあたる。
ノアたちの予想よりも綺麗に整えられたトンネルを進んでいくと採掘場が広がる。
ここは観光専用の採掘場の一つなので、他に比べれば綺麗にされている。
さらに危険が少ないし、浅いのでトンネルを大きく整地しても崩落の危険がないのである。
これかランクの高い鉱山になるとほとんど自然に近い状態で迷路のように複雑にいろいろな箇所と繋がっているので素人が入ればまず迷子になることは間違いない。
広がる採掘場は本当に色とりどりに光る鉱石があちらこちらに散らばっている。
どれも美しいが残念ながらこの世界では価値は小さい。
たしかに美しいのだが、この世界は魔法の世界である。
美しく特殊な効果のあるアイテムにこそ高い価値がある。
美しいだけでは少し物足りないのである。
それでも美しいことに価値を見出す者もいるので決して無価値ではない。
「なんて美しいんだ。どれも君に似合うよ」
「ありがとうユウ君。私はあなたのくれたものならなんでも満足よ」
ここにも美しさに価値を見出すバカップルがいた。
ノアはぽむとこおりには教育上よくないと考え、少し離れて採掘を始めた。
鉱石を採掘する鉱夫に採掘班を護衛する冒険者、それを加工する鍛治師などの技術者、加工されたアイテムを売買する商人、人が集まるので宿屋や飲食店も多く立ち並ぶ。
まさに鉱石を中心に経済が回っているのが鉱山都市の特徴である。
この基盤はドワーフ国を参考に作られていて、都市にはドワーフも少なくない。
鉱山を開拓するための鉱夫が各山へとつながるトンネルの前に集合する。
目の前に鉱山があるといって勝手に侵入し、鉱石を採掘することは重罪になる。
採掘請負所にいって、採掘申請をすればはじめての者は採掘に関するルールを教えられる。
初めてではないものはその説明を飛ばして、胸からぶら下げる採掘許可証が渡されて、どこかの班に組み込まれる。
実力が高ければ高いほど稼げる鉱山へと回されることになるのだ。
ノア一行はちょうど採掘についての説明を終えるところであった。
基本的なルールは班長のいうことは絶対ということ。
これは指揮系統に入るのだから上の命令に従うのは当然であろう。
素人判断で行動しては効率が悪すぎるし、危険もある。
班長とはこの都市で認められた鉱夫で経験豊富なので任せるのが一番だ。
第二に何かあっても戦闘は行わず逃げること。
鉱山は普通の地形と違い山を掘っていて地盤が脆くなっている箇所もある。
勝手な戦闘をしては崩落をまねき、全員を危険に晒すことになる。
そのため戦闘は御法度なのだ。
もし、戦闘が必要になった場合は各班に護衛として冒険者がつくことになるので、その人たちに任せることになっている。
もちろん冒険者たちは鉱山での戦闘を熟知した者が担う。
最後に採掘した鉱石は無断で使用しないこと。持ち帰らないこと。
これも当然といえば当然だろう。
もちろん働けば働いた分の給与は貰えるので無償ではない。
採掘した鉱石の一部がお金かを選択することができる。
ノアたちは初心者で本当に軽い説明だけがされる。
もっと採掘を重ねて信用されれば、ランクの高い鉱山の仕事につくための注意事項なども膨大な量になる。
鉱石によっては採掘方法が異なれば価値を失ったり、爆発したりして危険なので当然だ。
しかし、ノアもそこまでやる気はない。
そもそもが採掘するつもりもなかったが、ぽむとこおりが興味を示したので遊びがてらに採掘することにしたのである。
普通ならばふざけるなとの声も上がりそうだが、鉱山都市『シャマラカ』では意外にも観光採掘が流行っている。
請負所でも観光専用のプランも用意されているのだ。
色とりどりに光り輝く鉱石や幻想的な雰囲気を醸し出す地底湖など絶景も多い。
自分たちで採掘した鉱石をアクセサリーにできるのも人気の理由である。
ということで採掘のルールを覚えたノア一行は採掘許可証を貰って、集合場所にいた。
この採掘プランではそこまではしなくてもいいのだがノア一行の服装はガチだった。
作業服に黄色いヘルメットをかぶり、ピッケルを担ぐ。
作業服とアイテムの貸し出しがあってコスプレ感覚で身につけている。
ぽむとこおりは完全に役に入りきっていた。
採掘班員が6名、仲睦まじいカップルに青年が1人、そしてノアとぽむとこおりである。
護衛が3名の冒険者、男性2人に女性が1人。
計9名の前に班長のドワーフが現れて改めて注意事項について説明をする。
ぽむとこおりも真剣に話を聞いて何故か敬礼ポーズをとる。
「ガハハハ、ちっちゃいのはやる気満々だなぁ。気に入ったぞ!!」
班長でドワーフの男性、ガイエンは身長が130センチと小柄ながら横にはガッチリとしている。
立派な髭を蓄えておりまさにドワーフだった。
「まぁ、かわいいわね」
「そうだね、でも君の方が可愛いよ」
バカップルだった。
もう1人の班員は無口。
「ではブリジネット、いつものように護衛を頼むよ」
「任せてください、ガイエン班長。あなたたちも行くわよ」
護衛の女性の名前はブリジネットで副班長を務めている。
他2人の護衛はブリジネットの部下にあたる。
ノアたちの予想よりも綺麗に整えられたトンネルを進んでいくと採掘場が広がる。
ここは観光専用の採掘場の一つなので、他に比べれば綺麗にされている。
さらに危険が少ないし、浅いのでトンネルを大きく整地しても崩落の危険がないのである。
これかランクの高い鉱山になるとほとんど自然に近い状態で迷路のように複雑にいろいろな箇所と繋がっているので素人が入ればまず迷子になることは間違いない。
広がる採掘場は本当に色とりどりに光る鉱石があちらこちらに散らばっている。
どれも美しいが残念ながらこの世界では価値は小さい。
たしかに美しいのだが、この世界は魔法の世界である。
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美しいだけでは少し物足りないのである。
それでも美しいことに価値を見出す者もいるので決して無価値ではない。
「なんて美しいんだ。どれも君に似合うよ」
「ありがとうユウ君。私はあなたのくれたものならなんでも満足よ」
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