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18話 しろくま加入
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ノアは現在宿を借りているが、少し手狭に感じていた。
というのも、元々は1人用の部屋にノアとぽむで生活していた。
テイマーということで宿のオーナーにも許可は取ってある。
この宿は帝都で古くから愛されており、その味のある木造建築が歴史を語っている。
一階はホールになっていて朝になるとお客で賑わう。
宿泊している人には朝食が付いているし、宿泊していなくても料金を払えば美味しい料理が食べれる。
お昼の定食も人気でノアもよく顔を出している。
朝と昼の料理を作っているのはオーナーの奥さんとオーナーの母親が作っていて、夜になるとホールは居酒屋のように変わり、男衆の出番となる。
「おはようございます」
「ノアさん、おはようございます」
挨拶をしているのはオーナーの奥さんのカレンだ。
「実は相談があってきたんですよ」
「何でしょうか?」
実際は夫婦で経営しているのでオーナーのダンに相談してもカレンに相談しても問題はない。
「従魔についてなんですけど、一体増えそうなんです」
「あぁ、ノアさんはテイマーだもんね増えることもあるよね。もう少しおっきい部屋に移りたいってことかな?」
「その通りです」
「じゃあ、値段とか変わるんだけど……」
ノアはカレンに部屋の値段説明などを受けることになった。
ぽむはというと部屋でくつろいでいる。
ベットにうつ伏せになって足をパタパタして動画を見るのが日課になっている。
隣には新しい仲間候補のしろくまも似たような姿勢で動画を見ていた。
ガチャっと扉が開いてノアが入ってくる。
「ぽむはまた動画を見てるのか。出発するから2人とも支度をしてくれ」
ぽむは画面を閉じてベットから飛び降りる。
しろくまも後をついていく。
イベントの日以降ぽむとしろくまの間では確かな絆が生まれていた。
ぽむはしろくまのおかげで脱出ができたし、しろくまはぽむに守られた。
お互いに助け合った仲だと認識している。
燃え上がる黒い炎を目印にしてすぐにノアたちが駆けつけてくれて万々歳の結果に収まっていた。
しかし、正式にしろくまが仲間になったわけではない。
ノアもぽむも仲間に加えてもいいと思っているのだが、ルネリッツから3日一緒に過ごして決めて欲しいと言われてそれに則って一緒に生活を共にした。
今日が3日目でルネリッツのところへ今から報告に向かうところだ。
「ルネリッツさん、一緒に過ごしました。この通りぽむとくまさんは仲良くやっているので、できればこのままテイムがしたいんですが」
しろくまに正式に名前をつけることはまだできないので仮としてくまさんと呼んでいる。
ぽむとしろくまが仲睦まじく隣同士に座っておやつを食べている。
ぽむは洋風の食べ物が好きだがしろくまは和風が好みらしい。
ぽむの苺のショートケーキには目もくれずに、芋羊羹を頬張っている。
「そうですね、これなら問題なさそうです。どうぞよろしくお願いします」
ルネリッツは深く頭を下げた。
ノアとしても従魔を大切に思いやるのは当然だと考えているのでルネリッツのこの対応にはいい印象を抱いていた。
「良かった。ではよろしくお願いします」
従魔専門店にいる従魔は全て契約がされている。
しかし、それはテイマーの従魔契約とは違い、商人と従魔との契約である。
主な契約内容はテイマーと出会うまで商人は衣食住のお世話をすること。
従魔は契約者が見つかれば従魔契約をすること。
こういった契約が交わされている。
ルネリッツはしろくまの契約用紙を持ってくるとノアの目の前で破り捨てた。
それと同時にしろくまについていた首輪が外れる。
そして、ノアとしろくまの契約が始まる。
野生のモンスターではないため契約は難しくはない。
スキルのテイミングを発動させる。
難しくはないといってもレベル差がありすぎたり、従魔が強く拒否していれば失敗することだってある。
十中八九成功するとは思っていても緊張はする。
ノアの手からキラキラと光る帯がしろくまの体を包んでいく。
失敗すればこれが弾かれて霧散する。
しろくまはリラックスした様子で目を閉じてそれを受け入れる。
眩い光を放つと、光の帯がしろくまに吸収されていく。
これでテイミング成功だ。
ちなみにしろくまの値段はルネリッツ側の不手際もあって格安となっていた。
ノアはステータス画面でしろくまが従魔になったのを改めて確認して名付けをする。
ぽむのときと同じ方法で本人に選択をさせて、決まったのが『こおり』。
こおりの種族はファンシービースト。
ということは職業を持っているのだ。
なんとも性格とは似合わない職業無法者だった。
無法者といえば盗賊などのアウトローな職業でこおりのような大人しい性格には似合わない。
ただ、自らが職業を選択できる人間とは違っているのかもしれない。
ファンシービーストは謎の多い種族なのだ。
長く従魔を専門にしているルネリッツでも詳しいことは知らない。
「よろしくね、こおり」
「メェメェ」
「くまくま」
かくしてノアの新たな従魔としてこおりが加わった。
というのも、元々は1人用の部屋にノアとぽむで生活していた。
テイマーということで宿のオーナーにも許可は取ってある。
この宿は帝都で古くから愛されており、その味のある木造建築が歴史を語っている。
一階はホールになっていて朝になるとお客で賑わう。
宿泊している人には朝食が付いているし、宿泊していなくても料金を払えば美味しい料理が食べれる。
お昼の定食も人気でノアもよく顔を出している。
朝と昼の料理を作っているのはオーナーの奥さんとオーナーの母親が作っていて、夜になるとホールは居酒屋のように変わり、男衆の出番となる。
「おはようございます」
「ノアさん、おはようございます」
挨拶をしているのはオーナーの奥さんのカレンだ。
「実は相談があってきたんですよ」
「何でしょうか?」
実際は夫婦で経営しているのでオーナーのダンに相談してもカレンに相談しても問題はない。
「従魔についてなんですけど、一体増えそうなんです」
「あぁ、ノアさんはテイマーだもんね増えることもあるよね。もう少しおっきい部屋に移りたいってことかな?」
「その通りです」
「じゃあ、値段とか変わるんだけど……」
ノアはカレンに部屋の値段説明などを受けることになった。
ぽむはというと部屋でくつろいでいる。
ベットにうつ伏せになって足をパタパタして動画を見るのが日課になっている。
隣には新しい仲間候補のしろくまも似たような姿勢で動画を見ていた。
ガチャっと扉が開いてノアが入ってくる。
「ぽむはまた動画を見てるのか。出発するから2人とも支度をしてくれ」
ぽむは画面を閉じてベットから飛び降りる。
しろくまも後をついていく。
イベントの日以降ぽむとしろくまの間では確かな絆が生まれていた。
ぽむはしろくまのおかげで脱出ができたし、しろくまはぽむに守られた。
お互いに助け合った仲だと認識している。
燃え上がる黒い炎を目印にしてすぐにノアたちが駆けつけてくれて万々歳の結果に収まっていた。
しかし、正式にしろくまが仲間になったわけではない。
ノアもぽむも仲間に加えてもいいと思っているのだが、ルネリッツから3日一緒に過ごして決めて欲しいと言われてそれに則って一緒に生活を共にした。
今日が3日目でルネリッツのところへ今から報告に向かうところだ。
「ルネリッツさん、一緒に過ごしました。この通りぽむとくまさんは仲良くやっているので、できればこのままテイムがしたいんですが」
しろくまに正式に名前をつけることはまだできないので仮としてくまさんと呼んでいる。
ぽむとしろくまが仲睦まじく隣同士に座っておやつを食べている。
ぽむは洋風の食べ物が好きだがしろくまは和風が好みらしい。
ぽむの苺のショートケーキには目もくれずに、芋羊羹を頬張っている。
「そうですね、これなら問題なさそうです。どうぞよろしくお願いします」
ルネリッツは深く頭を下げた。
ノアとしても従魔を大切に思いやるのは当然だと考えているのでルネリッツのこの対応にはいい印象を抱いていた。
「良かった。ではよろしくお願いします」
従魔専門店にいる従魔は全て契約がされている。
しかし、それはテイマーの従魔契約とは違い、商人と従魔との契約である。
主な契約内容はテイマーと出会うまで商人は衣食住のお世話をすること。
従魔は契約者が見つかれば従魔契約をすること。
こういった契約が交わされている。
ルネリッツはしろくまの契約用紙を持ってくるとノアの目の前で破り捨てた。
それと同時にしろくまについていた首輪が外れる。
そして、ノアとしろくまの契約が始まる。
野生のモンスターではないため契約は難しくはない。
スキルのテイミングを発動させる。
難しくはないといってもレベル差がありすぎたり、従魔が強く拒否していれば失敗することだってある。
十中八九成功するとは思っていても緊張はする。
ノアの手からキラキラと光る帯がしろくまの体を包んでいく。
失敗すればこれが弾かれて霧散する。
しろくまはリラックスした様子で目を閉じてそれを受け入れる。
眩い光を放つと、光の帯がしろくまに吸収されていく。
これでテイミング成功だ。
ちなみにしろくまの値段はルネリッツ側の不手際もあって格安となっていた。
ノアはステータス画面でしろくまが従魔になったのを改めて確認して名付けをする。
ぽむのときと同じ方法で本人に選択をさせて、決まったのが『こおり』。
こおりの種族はファンシービースト。
ということは職業を持っているのだ。
なんとも性格とは似合わない職業無法者だった。
無法者といえば盗賊などのアウトローな職業でこおりのような大人しい性格には似合わない。
ただ、自らが職業を選択できる人間とは違っているのかもしれない。
ファンシービーストは謎の多い種族なのだ。
長く従魔を専門にしているルネリッツでも詳しいことは知らない。
「よろしくね、こおり」
「メェメェ」
「くまくま」
かくしてノアの新たな従魔としてこおりが加わった。
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