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第一章

★その20

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オスカーさんに触れてるとこ、全部あったかい……。頭ぽわぽわする……。

つぅ…と涎が糸を引きそうなほど濃厚な口付けから解放されて、ゆだった頭をオスカーさんに預けてくたりと休ませた。オスカーさんのちゅー、気持ちよかった……。もっとして欲しい……かも。


手慣れた振る舞いから察するに、オスカーさんはきっと星の数ほど女を抱いている。だってイケメンヤクザというものはエッチが上手くてモテるというのが少女漫画では定番だから。
九頭竜くずりゅうさんだって昔は黙っていてもイナバ物置くらい女が乗っかってきたと言っていたし……。


『でもねー、ある日気づいちゃったんだよね。オジサンの物置には奥さん一人がいればいいんだ、って。……いやむしろ奥さんの物置にオジサンの物干し竿を挿入いれたいくらい♡』


ド下ネタ。
だけど『大好きな人とするエッチは特別だからね。二人とも自分の身体は大事にするんだよ。』と『風俗街・紫苑町の帝王』とは思えないほどロマンチックな教えを説いてくれたのも九頭竜さんだった。ただ……。


嘘つき……!全然物干し竿なんかじゃないじゃん……!


体を起こされ「舐めろ」という言葉と共に鼻先に突き付けられたオスカーさんの物干し竿(仮)は物干し竿というには……凶悪なカタチをしていた。

私の頭の中のBGMは竿竹売りのあの曲。途中から石焼き芋に変わって今は移動販売のパン屋さんの曲が流れている。……そうだ、明日はジャムパンとクリームパン食べたい。……じゃなくて!現実逃避してる場合じゃないから‼︎

昔、お父さんとお風呂に入っていた時に記憶しているモノとオスカーさんのソレは形状も、もじゃもじゃ具合も全然違う。オスカーさんのはその……つるりとしていてビキッと反り返って……まるで剥き身の日本刀のような……って冷静に品評している場合じゃないんだけれど……。


「……ほら、さっさと舐めろ、犬。」


……このイケメンサディスト‼︎私は初めてだって言ってるのに!もしかして聞こえてないの⁉︎


「それがお前の……仕事だろう?」


仕事……。そう言われるとしゅんと落ち込んでしまう。

……ん?ちょっと待って。お姉ちゃんが迎えに来てくれるならガルテンハイムまでの旅費は必要ないわけで……。この二日間の食事代くらいなら……その気のなかったオスカーさんを叩き起こしてまで、今日今すぐ身体で!なんて返す必要……あった?
これぞ後悔先に立たず……『真宮さんはよく考えてから行動しましょう』のいい例だと思う。


ぶすっとした表情でオスカーさんはへたり込む私の頭を掴むと、膝立ちになった自分の股座……に近づけさせた。

ひえっ、物干し竿!物干し竿が顔についちゃう……!

ぴとりと頬にくっつけられた肉竿は熱くて……冷えた頬に驚いたようにびくりと震えた。

うわ、動いた……生き物みたい……。肉肉しい赤黒い塊は、さっき手のひらに感じたふにゅりとした感触とはまるで別物の硬さで……。こ、こんな風になるんだ……。


「お、オスカーさん……これ、もしかしてどっかのタイミングで取り替えました……⁉︎」
「……異世界ではそんな芸当ができるのか?生憎だが備え付けだ。」


…………変な誤解をオスカーさんに植え付けてしまった。いや、それは……違…!


「使い古し、で悪いが舐めてくれ。それなりに経験は積んでるからな、満足させてやれると思うぞ」


オスカーさんはぞくりとする低めのいい声でそう囁いて……そりゃそうだ、と納得するほどその声は色気に塗れていた。


オスカーさんは大人だから。きっと好きじゃない相手とでもこんなことができるんだ。……そもそも私に若いヤツら……とやらの相手をさせようとしていたわけだし。
……それでも、泣いて嫌がったら『わかった、わかった。俺の専属でいい。』と頭を撫でてくれた。

私がいっぱい食べるとこ見ても引かないでいてくれるし、むしろ『ほら、お前が食べたくて買ったんだろう』って自分の揚げじゃが一個くれたし。
今まで私に告白してきた男子は『いっぱい食べる子好きだよ!』とかいいながら、私が大食いチャレンジしたらドン引きしてその日にお別れ……ばっかりで。


『お前の横で食う飯は美味いな。……お前はなんでも美味そうに食うから。』


食後の後の一服……煙草の煙を燻らせながら薄く微笑むその姿。
オスカーさんのこと……やっぱり好きだな、と思ったから。


私は子どもだし、単純だから優しくされるとすぐに好きになっちゃうし、好きな人相手じゃないとこんなこと出来ない。……舐めるなら、オスカーさんの物干し竿じゃないと……嫌だ。


そうだ。オスカーさんのこと、好き。笑った顔がかっこいいなと思う。ギュッてしてもらうといい匂いするし、側でくっついて離れたくない。節くれだったところのない綺麗な手で頭を撫でてもらえると、何だか幸せな気持ちになって……。
オスカーさんは神様が選んでくれた私の『運命の相手』なんだから間違いないよね?


頬に当たっているそれからは石鹸と汗の香りが入り混じった不思議な匂いがしている。なんだろう、海の匂いというか……あぁ、人って魚から進化したんだなって納得する匂い。これが男の人の匂い……?

舌を出してぺろりと舐めると、ビクンと肉塊が跳ねた。……き、気持ちいい、のかな?思わずオスカーさんを見上げると………目がパチっと合って、すぐにオスカーさんは顔を背けて……さらりとした長めの黒髪から覗いている耳が真っ赤に染まっている。


「………全部口から出てるんだよ、馬鹿」


オスカーさんの呟きは小さくて聞き取れない。それでもくすぐったいほど優しく頭を撫でられて嬉しくなった。
………気持ちよかったんだ!

調子に乗った私はオスカーさんの物干し竿(ぬるぬるver)を手で軽く持つと先っぽをぱくっと口に含んでみた。うーん、しょっぱい……?


「………⁉︎」


オスカーさんを見上げると、本当に私がそれを口に入れるだなんて思わなかった!とばかりに暗緑色(ボトルグリーン)の瞳が驚いて見開かれている。オスカーさんにその表情をさせたことが嬉しい私は気分が良くなって……舐めとっても溢れてくるしょっぱい露を舐め取り続けた。

……味は慣れてきたかも。オスカーさん気持ちいのかな?いっぱいしょっぱいの出てくる……。


「……歯は当てるな。裏筋に舌を当てて小刻みに舌を動かしてみろ。根元から軽く扱いて……っ…そう、上手いな。いい子だ」


褒められた。オスカーさんに頭を撫でられながら言われた通りの愛撫を続けていると……。


「………お前は……俺のことが好きなのか?」
「もご…⁉︎」
「……っ、口に入れたまま返事をするな……!」


失礼。オスカーさんの物干し竿(ガチガチver)を口から離すと「はい!」と元気よく答えた。


「どこが好きかっていうと……」
「いい……!………もう、いい………。」


むう。せっかくオスカーさんのいい所を羅列しようと思ったのに。オスカーさんはふいっとそっぽを向いてしまった。その端正な目元は少しだけ赤く染まっている。


「何で会ったばかりの人間をそこまで信用できる?俺が……悪いヤツだったらとは考えないのか……?」


悪いヤツだったら……?うーん、何となく想像はついていたけどやっぱりオスカーさんって悪い人なんだ……。でも本当に悪い人は自分で自分のこと悪人だなんて言わないだろうし……。


「だって、オスカーさん優しいし……悪い人だとしても事情があるのかもしれないし………。オスカーさん、『お前が俺を裏切らない限り、お前の味方でいてやる』って言ってたから……一生私の味方でいてくれるってことですよね…?」


は…、とオスカーさんから笑い声ともため息ともつかない不思議な声が漏れた。その顔も笑っているような……どこか泣き出しそうな複雑な表情で……。


「……俺が嘘をついているとは思わないのか……?」
「えっ、嘘なんですか⁉︎」


驚く私にオスカーさんは俯いていや、嘘じゃない……と静かに呟いた。もーびっくりしたー。


「オスカーさんのこと信じてます!色々助けてくれて……お仕事だって、こういう……え、エッチなお仕事ですけど紹介してもらって……。」
「………はぁ?ちょ、ちょっと待て……お前の思考回路は本当に理解できん……。俺の紹介した仕事は………。」

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