46 / 46
第二章・狭い島での闘争編
43 襲撃団の破壊劇
しおりを挟む
俺ときゅ~助は、オーコン畑の立坑を隠すことにした。あそこは爺さんによると、神殿内の隠し階段と地下で繋がっているらしい。
年月の経過によって土砂で埋まって分からなくなっているようだけど、立坑から神殿地下の俺のところへ来られてはたまらない。
しかしそれにしても爺さん、やはり島の構造は熟知しているようだ。聞かないと教えてくれないのだが。
ひとまずきゅ~助の馬鹿力をつかい、砂浜あたりに転がっている岩を運んで、立坑の入り口にかぶせた。その上に大きな岩をごろごろと転がしてもらった。あとは自然な感じで落ち葉だの石ころだのを転がしておいた。これで表面上はわからないだろうか。
そういえばきゅ~助の馬鹿力は最初に比べてもかなり向上していて、ちょっとやそっとの人間では動かせない大岩でも、勢いを付ければいとも簡単に動かしてしまう。さすがギガントラビットというわけだった。
俺は作ったばかりの大きなバッグにできるだけ干物とミカンを詰め込むと、きゅ~助とクワスキに、神殿地下に運ぶように促した。
地下の石造りの間は、火と風の魔法を起こして完全に清掃。殺菌・乾燥をさせたから、カビや虫はまったく心配なさそうだった。
自室のふとんを折りたたんで、神殿の地下1階へと運び込み、俺たち全員は中へと潜り込んでフタをすべらせ閉め切った。
神殿の財宝は、一部は地下の室内に隠してあるけど、幾つかは手近な土中に埋めたり、湖の底に沈めてある。やつら片っ端から掘り返すかもしれない。見つかってしまったものは仕方ないだろう。
地下1階の避難所のふとんに腰を落ち着けた俺は、ここが見つからないように祈るばかりだった。
水竜爺さんが神殿の上部に設置してくれた水晶玉から、地上の様子を伺っている。どういう仕組か知らないけど、俺が水晶で撮影した映像が神スマホで見れればいいのに~とか考えていたら、実際につながるようになっていたのだ。それを利用してる。
と、俺たちが神殿の地下に隠れて、2~3時間ほどした頃、ぞろぞろと船から奴らが上陸してきた。ちなみに水竜爺さんは、いつもどおり湖の中で人間鑑賞会らしい。
「ひゃっほーい財宝取りに来たぜ~っ」
「ひゃはははは」
「おとなしくすれば何もしないぞ~」
しばらくして男たちから笑みが消えた。何故ならば、
「おい、財宝がねえぜ、ここにあったのに」
「どこに隠しやがった!」
「埋めてあるんじゃないか?探せ!」
「あの男も探しだせ。とりあえず殺すなよ」
連中は島を闊歩しはじめた。狭すぎる島がまずます狭く感じられる瞬間だった。すぐにやつらの1人が気づいた。
「おい、ここ埋めた跡があるぞ」
「掘ってみろ」
あっさり見つかってしまったらしい。その後も島の各地から財宝は掘り出されていった。
「小さいのばっかりだし、数が少ないだろ」
「この前はもっとでかいのが大量にありました!」
「男がどこにもいねえ」
「どこいったあの野郎」
「絶対に許さねえ」
やがて男たちの咆哮とともに、魔法の爆発音か、ズドーン!ドカーン!というけたたましい音が鳴り響き出し、島が振動を繰り返し始めた。
それが半日近くも続いただろうか。延々と荒らされまくって、俺の狭すぎる島の美しい景色はしっちゃかめっちゃか状態にされてるらしかった。
日没まであと数時間となって、ようやく諦めたのか、船に財宝を積んでようやく島から去っていったらしい。
俺は暗くなった地上に誰もいないことを確認し、神殿の地下からこっそり出てみた。神スマホにも敵の反応はないし、きゅ~助も人間を察知していない。
うっすらと消え入りそうな夕日に照らされた島は、悲惨なことになっていた。
草原の植物はほとんどが焼け焦げている。あちこちの木が何故か切り倒されて、貴重なミカンの木までも無残。
石畳はひっぺがされて、島の地面は魔法のクレーターで穴ぼこダラケ。
干してあったたくさんの干物、神殿内のお供えは全部持って行かれて、時間をかけて作った家具は全部ぶっ壊されてた。
まるで大空襲が起きた後かのような惨状で、俺は言葉に詰まった。
「ひどィきゅう~・・・」
俺は神殿の柱に貼り付けられた、一枚の張り紙をみた。
『おい指名手配の犯罪者!お前は完全に包囲されている!これで終わったと思うなよ。国家の忠実なる自警団及び騎士団より』
なんか俺は指名手配犯になったらしい。俺がそんなに悪いのか。笑った。
なんて奴らだ。
俺の中にふつふつと怒りの感情が湧いてくる。そんなに俺が悪いのか。跳ね返してやれたらいいのに。
その時、神スマホからピーンという音が鳴った。
年月の経過によって土砂で埋まって分からなくなっているようだけど、立坑から神殿地下の俺のところへ来られてはたまらない。
しかしそれにしても爺さん、やはり島の構造は熟知しているようだ。聞かないと教えてくれないのだが。
ひとまずきゅ~助の馬鹿力をつかい、砂浜あたりに転がっている岩を運んで、立坑の入り口にかぶせた。その上に大きな岩をごろごろと転がしてもらった。あとは自然な感じで落ち葉だの石ころだのを転がしておいた。これで表面上はわからないだろうか。
そういえばきゅ~助の馬鹿力は最初に比べてもかなり向上していて、ちょっとやそっとの人間では動かせない大岩でも、勢いを付ければいとも簡単に動かしてしまう。さすがギガントラビットというわけだった。
俺は作ったばかりの大きなバッグにできるだけ干物とミカンを詰め込むと、きゅ~助とクワスキに、神殿地下に運ぶように促した。
地下の石造りの間は、火と風の魔法を起こして完全に清掃。殺菌・乾燥をさせたから、カビや虫はまったく心配なさそうだった。
自室のふとんを折りたたんで、神殿の地下1階へと運び込み、俺たち全員は中へと潜り込んでフタをすべらせ閉め切った。
神殿の財宝は、一部は地下の室内に隠してあるけど、幾つかは手近な土中に埋めたり、湖の底に沈めてある。やつら片っ端から掘り返すかもしれない。見つかってしまったものは仕方ないだろう。
地下1階の避難所のふとんに腰を落ち着けた俺は、ここが見つからないように祈るばかりだった。
水竜爺さんが神殿の上部に設置してくれた水晶玉から、地上の様子を伺っている。どういう仕組か知らないけど、俺が水晶で撮影した映像が神スマホで見れればいいのに~とか考えていたら、実際につながるようになっていたのだ。それを利用してる。
と、俺たちが神殿の地下に隠れて、2~3時間ほどした頃、ぞろぞろと船から奴らが上陸してきた。ちなみに水竜爺さんは、いつもどおり湖の中で人間鑑賞会らしい。
「ひゃっほーい財宝取りに来たぜ~っ」
「ひゃはははは」
「おとなしくすれば何もしないぞ~」
しばらくして男たちから笑みが消えた。何故ならば、
「おい、財宝がねえぜ、ここにあったのに」
「どこに隠しやがった!」
「埋めてあるんじゃないか?探せ!」
「あの男も探しだせ。とりあえず殺すなよ」
連中は島を闊歩しはじめた。狭すぎる島がまずます狭く感じられる瞬間だった。すぐにやつらの1人が気づいた。
「おい、ここ埋めた跡があるぞ」
「掘ってみろ」
あっさり見つかってしまったらしい。その後も島の各地から財宝は掘り出されていった。
「小さいのばっかりだし、数が少ないだろ」
「この前はもっとでかいのが大量にありました!」
「男がどこにもいねえ」
「どこいったあの野郎」
「絶対に許さねえ」
やがて男たちの咆哮とともに、魔法の爆発音か、ズドーン!ドカーン!というけたたましい音が鳴り響き出し、島が振動を繰り返し始めた。
それが半日近くも続いただろうか。延々と荒らされまくって、俺の狭すぎる島の美しい景色はしっちゃかめっちゃか状態にされてるらしかった。
日没まであと数時間となって、ようやく諦めたのか、船に財宝を積んでようやく島から去っていったらしい。
俺は暗くなった地上に誰もいないことを確認し、神殿の地下からこっそり出てみた。神スマホにも敵の反応はないし、きゅ~助も人間を察知していない。
うっすらと消え入りそうな夕日に照らされた島は、悲惨なことになっていた。
草原の植物はほとんどが焼け焦げている。あちこちの木が何故か切り倒されて、貴重なミカンの木までも無残。
石畳はひっぺがされて、島の地面は魔法のクレーターで穴ぼこダラケ。
干してあったたくさんの干物、神殿内のお供えは全部持って行かれて、時間をかけて作った家具は全部ぶっ壊されてた。
まるで大空襲が起きた後かのような惨状で、俺は言葉に詰まった。
「ひどィきゅう~・・・」
俺は神殿の柱に貼り付けられた、一枚の張り紙をみた。
『おい指名手配の犯罪者!お前は完全に包囲されている!これで終わったと思うなよ。国家の忠実なる自警団及び騎士団より』
なんか俺は指名手配犯になったらしい。俺がそんなに悪いのか。笑った。
なんて奴らだ。
俺の中にふつふつと怒りの感情が湧いてくる。そんなに俺が悪いのか。跳ね返してやれたらいいのに。
その時、神スマホからピーンという音が鳴った。
0
お気に入りに追加
19
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
使えないと言われ続けた悪役令嬢のその後
有木珠乃
恋愛
アベリア・ハイドフェルド公爵令嬢は「使えない」悪役令嬢である。
乙女ゲームの悪役令嬢に転生したのに、最低限の義務である、王子の婚約者にすらなれなったほどの。
だから簡単に、ヒロインは王子の婚約者の座を得る。
それを見た父、ハイドフェルド公爵は怒り心頭でアベリアを修道院へ行くように命じる。
王子の婚約者にもなれず、断罪やざまぁもされていないのに、修道院!?
けれど、そこには……。
※この作品は小説家になろう、カクヨム、エブリスタにも投稿しています。
父が死んだのでようやく邪魔な女とその息子を処分できる
兎屋亀吉
恋愛
伯爵家の当主だった父が亡くなりました。これでようやく、父の愛妾として我が物顔で屋敷内をうろつくばい菌のような女とその息子を処分することができます。父が死ねば息子が当主になれるとでも思ったのかもしれませんが、父がいなくなった今となっては思う通りになることなど何一つありませんよ。今まで父の威を借りてさんざんいびってくれた仕返しといきましょうか。根に持つタイプの陰険女主人公。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
婚約者すらいない私に、離縁状が届いたのですが・・・・・・。
夢草 蝶
恋愛
侯爵家の末姫で、人付き合いが好きではないシェーラは、邸の敷地から出ることなく過ごしていた。
そのため、当然婚約者もいない。
なのにある日、何故かシェーラ宛に離縁状が届く。
差出人の名前に覚えのなかったシェーラは、間違いだろうとその離縁状を燃やしてしまう。
すると後日、見知らぬ男が怒りの形相で邸に押し掛けてきて──?
愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
【完結】7年待った婚約者に「年増とは結婚できない」と婚約破棄されましたが、結果的に若いツバメと縁が結ばれたので平気です
岡崎 剛柔
恋愛
「伯爵令嬢マリアンヌ・ランドルフ。今日この場にて、この僕――グルドン・シルフィードは君との婚約を破棄する。理由は君が25歳の年増になったからだ」
私は7年間も諸外国の旅行に行っていたグルドンにそう言われて婚約破棄された。
しかも貴族たちを大勢集めたパーティーの中で。
しかも私を年増呼ばわり。
はあ?
あなたが勝手に旅行に出て帰って来なかったから、私はこの年までずっと結婚できずにいたんですけど!
などと私の怒りが爆発しようだったとき、グルドンは新たな人間と婚約すると言い出した。
その新たな婚約者は何とタキシードを着た、6、7歳ぐらいの貴族子息で……。
【完結】悪役令嬢は3歳?〜断罪されていたのは、幼女でした〜
白崎りか
恋愛
魔法学園の卒業式に招かれた保護者達は、突然、王太子の始めた蛮行に驚愕した。
舞台上で、大柄な男子生徒が幼い子供を押さえつけているのだ。
王太子は、それを見下ろし、子供に向って婚約破棄を告げた。
「ヒナコのノートを汚したな!」
「ちがうもん。ミア、お絵かきしてただけだもん!」
小説家になろう様でも投稿しています。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる