転生世界が狭すぎる!

たっちゃん

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第二章・狭い島での闘争編

43 襲撃団の破壊劇

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 俺ときゅ~助は、オーコン畑の立坑を隠すことにした。あそこは爺さんによると、神殿内の隠し階段と地下で繋がっているらしい。
 年月の経過によって土砂で埋まって分からなくなっているようだけど、立坑から神殿地下の俺のところへ来られてはたまらない。

 しかしそれにしても爺さん、やはり島の構造は熟知しているようだ。聞かないと教えてくれないのだが。

 ひとまずきゅ~助の馬鹿力をつかい、砂浜あたりに転がっている岩を運んで、立坑の入り口にかぶせた。その上に大きな岩をごろごろと転がしてもらった。あとは自然な感じで落ち葉だの石ころだのを転がしておいた。これで表面上はわからないだろうか。

 そういえばきゅ~助の馬鹿力は最初に比べてもかなり向上していて、ちょっとやそっとの人間では動かせない大岩でも、勢いを付ければいとも簡単に動かしてしまう。さすがギガントラビットというわけだった。

 俺は作ったばかりの大きなバッグにできるだけ干物とミカンを詰め込むと、きゅ~助とクワスキに、神殿地下に運ぶように促した。
 地下の石造りの間は、火と風の魔法を起こして完全に清掃。殺菌・乾燥をさせたから、カビや虫はまったく心配なさそうだった。
 自室のふとんを折りたたんで、神殿の地下1階へと運び込み、俺たち全員は中へと潜り込んでフタをすべらせ閉め切った。

 神殿の財宝は、一部は地下の室内に隠してあるけど、幾つかは手近な土中に埋めたり、湖の底に沈めてある。やつら片っ端から掘り返すかもしれない。見つかってしまったものは仕方ないだろう。
 地下1階の避難所のふとんに腰を落ち着けた俺は、ここが見つからないように祈るばかりだった。

 水竜爺さんが神殿の上部に設置してくれた水晶玉から、地上の様子を伺っている。どういう仕組か知らないけど、俺が水晶で撮影した映像が神スマホで見れればいいのに~とか考えていたら、実際につながるようになっていたのだ。それを利用してる。

 と、俺たちが神殿の地下に隠れて、2~3時間ほどした頃、ぞろぞろと船から奴らが上陸してきた。ちなみに水竜爺さんは、いつもどおり湖の中で人間鑑賞会らしい。

「ひゃっほーい財宝取りに来たぜ~っ」
「ひゃはははは」
「おとなしくすれば何もしないぞ~」

 しばらくして男たちから笑みが消えた。何故ならば、
「おい、財宝がねえぜ、ここにあったのに」
「どこに隠しやがった!」
「埋めてあるんじゃないか?探せ!」
「あの男も探しだせ。とりあえず殺すなよ」

 連中は島を闊歩しはじめた。狭すぎる島がまずます狭く感じられる瞬間だった。すぐにやつらの1人が気づいた。
「おい、ここ埋めた跡があるぞ」
「掘ってみろ」

 あっさり見つかってしまったらしい。その後も島の各地から財宝は掘り出されていった。
「小さいのばっかりだし、数が少ないだろ」
「この前はもっとでかいのが大量にありました!」
「男がどこにもいねえ」
「どこいったあの野郎」
「絶対に許さねえ」

 やがて男たちの咆哮とともに、魔法の爆発音か、ズドーン!ドカーン!というけたたましい音が鳴り響き出し、島が振動を繰り返し始めた。
 それが半日近くも続いただろうか。延々と荒らされまくって、俺の狭すぎる島の美しい景色はしっちゃかめっちゃか状態にされてるらしかった。

 日没まであと数時間となって、ようやく諦めたのか、船に財宝を積んでようやく島から去っていったらしい。

 俺は暗くなった地上に誰もいないことを確認し、神殿の地下からこっそり出てみた。神スマホにも敵の反応はないし、きゅ~助も人間を察知していない。

 うっすらと消え入りそうな夕日に照らされた島は、悲惨なことになっていた。
 草原の植物はほとんどが焼け焦げている。あちこちの木が何故か切り倒されて、貴重なミカンの木までも無残。
 石畳はひっぺがされて、島の地面は魔法のクレーターで穴ぼこダラケ。
 干してあったたくさんの干物、神殿内のお供えは全部持って行かれて、時間をかけて作った家具は全部ぶっ壊されてた。

 まるで大空襲が起きた後かのような惨状で、俺は言葉に詰まった。
「ひどィきゅう~・・・」

 俺は神殿の柱に貼り付けられた、一枚の張り紙をみた。

『おい指名手配の犯罪者!お前は完全に包囲されている!これで終わったと思うなよ。国家の忠実なる自警団及び騎士団より』

 なんか俺は指名手配犯になったらしい。俺がそんなに悪いのか。笑った。
 なんて奴らだ。

 俺の中にふつふつと怒りの感情が湧いてくる。そんなに俺が悪いのか。跳ね返してやれたらいいのに。

 その時、神スマホからピーンという音が鳴った。
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