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第二章・狭い島での闘争編
31 ふたたび怪しい雲行きに
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地下神殿から出てきた日の夕方。
薄暗い夕焼け空には雲が少なくて、大きさが異なる2つの月が浮かんでいるのがよく見える。
じゅううううう。パチッ。パチっ。
ばりばり。むしゃむしゃ。
俺はかまどで、枝に差した魚を塩焼きにしている。きゅ~助はいつものように、枝や収穫してきた無料の水草食べ放題。俺も水草を少し食ってみたけど、確かにシャキシャキと水々しくてけっこう行けた。しかし食ってから、腹を壊さないかと心配になったわけだが・・・。
ところでこの魚、最近はワニのが~助が取ってきてくれるようになった、ケジャーっていう鮭みたいな体長1メートルほどの淡水魚だ。もう狭いイケスの小魚で味気なさを感じることもなくなったわけだ。まあワニと言っても普通じゃないけど。
そう言えば地下神殿から無事に脱出した俺ときゅ~助だったが、どうやら「不屈の槍」は呪いアイテムだったらしい。神のおもちゃに加えて呪いが増えてしまった。
ヘルシ~ちゃん、事前に教えろ・・・。まあ今さら1個くらい呪いが増えても、別にどうでもいいと言う感じになってるんだが。
ちなみにヘルシ~ちゃんによれば、俺ときゅ~助が対戦したゴーレムは、もちろん手加減したレベルで生成されたのだという。対戦相手によっては、レベル100を超えるとんでもないゴーレムも現れたことがあるというのだ。それはかなり昔だそうだけど。どれほど強いのか想像もつかないんだが・・・。
さらにゴーレムなんだが、壊れて1日が経つと、自動的に復元されてるらしい。
もう一回生成の間に入るためには、ゴーレムを一々倒さないといけないとか。なんか面倒な感じなやつだった。まあ行く用事なんてもうなさそうだけど。
そうそう、生成の間のいちばん奥の台座だが、あれはこの島じゃない、別の大陸の複数の神殿に繋がっていると言う話だった。で、特別な加護を受けた者でなければ、転移を発動できないらしい。どこの神殿に繋がってるかは、ヘルシ~ちゃんはど忘れしたということだ。
というふうに、色々といい加減なサポート係だった。
バリボリ・・・ボリ・・・ボ・・・
「なnきゅ~見りゃりぇtっきゅう・・・いっtぱいひ人、い琉球う」ばりばり・・・むしゃっ・・・。
「え?琉球?」
俺がかまどの様子を見ていると、きゅ~助がなんか大勢に見られてるとか、琉球とか言い始めた。
水竜爺さんがノゾキ見してるのは分かっているとして、他のノゾキ見連中の正体は気になるな。
しかしここからだと、霧が立ち込めているし、俺の目では湖の対岸の様子が何にも分からない。きゅ~助の察知能力と、異常に良い視力・聴力だから気付けるのだろう。
神スマホを起動してカメラを使ってみたが、対岸の様子を知るための方法が上手く行かない・・・。そこで探索サポートを起動してみた。
すると・・・空中にヘルシ~ちゃんが現れた。じゅうううう。あ、魚の切り身が焼けた。
『呼ばれて飛び出てササササーチ!わたしが探索エキスパートで探索のサポートキャラのサーチャンです。何かご用ですか?』
すでに見慣れた、体長20センチほどの、淡い光と青いドレスをまとった、ちっちゃい女の子が空中で踊ってる。
「ヘルシ~ちゃんと同じじゃん・・・」
『あ。確かに外見も中身も同じですが、今回はサーチャンとしての役目です』
そういう常人には良く分からないコダワリがあるらしい、めんどくさい人みたいだが、今はサーチャンに聞いてみるしかない。
「湖の対岸に、複数のなにかがいるらしいんだけど、画面に表示したいんだよ」
『なるほど。あー、はっきり言っていまの名無し太郎さんのレベルでは、人間の個体の居場所をすんなり表示することができません。レベル5以上まで上げてください』
「そうなの。当分ダメじゃん」
『でもわたしがいるので大丈夫ですので、わたしが表示を行います。マップと連動させて立体表示することも可能になっています』
「じゃ頼んだ」
『ちなみに神マップは確認してみましたか?すでに湖の南側の陸地まで、表示が可能になっていますよ』
「え?そうなの?そういえば最近神マップはご無沙汰だったわ」
確認してみると、たしかに湖の南側半分と、陸地がわずかに表示された。先日湖の対岸へ渡ったからだろう。
『いまの名無し太郎さんでは、湖全域の地図表示も無理なので、現時点ではあんまりマップは使えませんね。まあ私が半径100キロほどの情報を取り込むことも可能なのですが、疲れるのであんまりやりたくな・・・・・・。では神カメラのほうを起動して、どこでも良いので湖の対岸方面を撮影してみてください。もう使えますよ』
やる気がないのは仕方がない。俺は神スマホを対岸に向けると、さっそく人間の赤い反応が出た。1、2、3、4・・・10人くらいもいて、一ヶ所に固まっているようだ。遠すぎるせいか、ステータスの表示はされなかった。
マップモードにすると、地図上に10個の赤い点が現れたが、それ以上は分からないのだった。
こっちに向かってきて、何をする気だろう。俺は警戒感を強めている。だが結局、この日に彼らが島へ向かってくることはなかった。
薄暗い夕焼け空には雲が少なくて、大きさが異なる2つの月が浮かんでいるのがよく見える。
じゅううううう。パチッ。パチっ。
ばりばり。むしゃむしゃ。
俺はかまどで、枝に差した魚を塩焼きにしている。きゅ~助はいつものように、枝や収穫してきた無料の水草食べ放題。俺も水草を少し食ってみたけど、確かにシャキシャキと水々しくてけっこう行けた。しかし食ってから、腹を壊さないかと心配になったわけだが・・・。
ところでこの魚、最近はワニのが~助が取ってきてくれるようになった、ケジャーっていう鮭みたいな体長1メートルほどの淡水魚だ。もう狭いイケスの小魚で味気なさを感じることもなくなったわけだ。まあワニと言っても普通じゃないけど。
そう言えば地下神殿から無事に脱出した俺ときゅ~助だったが、どうやら「不屈の槍」は呪いアイテムだったらしい。神のおもちゃに加えて呪いが増えてしまった。
ヘルシ~ちゃん、事前に教えろ・・・。まあ今さら1個くらい呪いが増えても、別にどうでもいいと言う感じになってるんだが。
ちなみにヘルシ~ちゃんによれば、俺ときゅ~助が対戦したゴーレムは、もちろん手加減したレベルで生成されたのだという。対戦相手によっては、レベル100を超えるとんでもないゴーレムも現れたことがあるというのだ。それはかなり昔だそうだけど。どれほど強いのか想像もつかないんだが・・・。
さらにゴーレムなんだが、壊れて1日が経つと、自動的に復元されてるらしい。
もう一回生成の間に入るためには、ゴーレムを一々倒さないといけないとか。なんか面倒な感じなやつだった。まあ行く用事なんてもうなさそうだけど。
そうそう、生成の間のいちばん奥の台座だが、あれはこの島じゃない、別の大陸の複数の神殿に繋がっていると言う話だった。で、特別な加護を受けた者でなければ、転移を発動できないらしい。どこの神殿に繋がってるかは、ヘルシ~ちゃんはど忘れしたということだ。
というふうに、色々といい加減なサポート係だった。
バリボリ・・・ボリ・・・ボ・・・
「なnきゅ~見りゃりぇtっきゅう・・・いっtぱいひ人、い琉球う」ばりばり・・・むしゃっ・・・。
「え?琉球?」
俺がかまどの様子を見ていると、きゅ~助がなんか大勢に見られてるとか、琉球とか言い始めた。
水竜爺さんがノゾキ見してるのは分かっているとして、他のノゾキ見連中の正体は気になるな。
しかしここからだと、霧が立ち込めているし、俺の目では湖の対岸の様子が何にも分からない。きゅ~助の察知能力と、異常に良い視力・聴力だから気付けるのだろう。
神スマホを起動してカメラを使ってみたが、対岸の様子を知るための方法が上手く行かない・・・。そこで探索サポートを起動してみた。
すると・・・空中にヘルシ~ちゃんが現れた。じゅうううう。あ、魚の切り身が焼けた。
『呼ばれて飛び出てササササーチ!わたしが探索エキスパートで探索のサポートキャラのサーチャンです。何かご用ですか?』
すでに見慣れた、体長20センチほどの、淡い光と青いドレスをまとった、ちっちゃい女の子が空中で踊ってる。
「ヘルシ~ちゃんと同じじゃん・・・」
『あ。確かに外見も中身も同じですが、今回はサーチャンとしての役目です』
そういう常人には良く分からないコダワリがあるらしい、めんどくさい人みたいだが、今はサーチャンに聞いてみるしかない。
「湖の対岸に、複数のなにかがいるらしいんだけど、画面に表示したいんだよ」
『なるほど。あー、はっきり言っていまの名無し太郎さんのレベルでは、人間の個体の居場所をすんなり表示することができません。レベル5以上まで上げてください』
「そうなの。当分ダメじゃん」
『でもわたしがいるので大丈夫ですので、わたしが表示を行います。マップと連動させて立体表示することも可能になっています』
「じゃ頼んだ」
『ちなみに神マップは確認してみましたか?すでに湖の南側の陸地まで、表示が可能になっていますよ』
「え?そうなの?そういえば最近神マップはご無沙汰だったわ」
確認してみると、たしかに湖の南側半分と、陸地がわずかに表示された。先日湖の対岸へ渡ったからだろう。
『いまの名無し太郎さんでは、湖全域の地図表示も無理なので、現時点ではあんまりマップは使えませんね。まあ私が半径100キロほどの情報を取り込むことも可能なのですが、疲れるのであんまりやりたくな・・・・・・。では神カメラのほうを起動して、どこでも良いので湖の対岸方面を撮影してみてください。もう使えますよ』
やる気がないのは仕方がない。俺は神スマホを対岸に向けると、さっそく人間の赤い反応が出た。1、2、3、4・・・10人くらいもいて、一ヶ所に固まっているようだ。遠すぎるせいか、ステータスの表示はされなかった。
マップモードにすると、地図上に10個の赤い点が現れたが、それ以上は分からないのだった。
こっちに向かってきて、何をする気だろう。俺は警戒感を強めている。だが結局、この日に彼らが島へ向かってくることはなかった。
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