旋律

篁 しいら

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さて、長い間お付き合いをありがとう。
私の旋律は、君らに対して語りたいことを語り尽くして次の物語をせがんできている。
そちらに移動せねばならないらしい。
全くもって私という感情は、旋律は、我儘で気ままで日和見で。
まるで、好奇心旺盛な少女みたいな存在で、とても可愛らしいんだ。
どうだっただろう、読者君らには私がどう映っただろうか?


まぁこの物語が誰に読まれているかなんて、私には預かり知らずなのだけれども。


嗚呼、そうだ。
最後に話したいことがあるんだ、忘れていたよ。
私がどうして、AI生成者に物語を書くことを勧めるのか。
そこを話さないと、ただ闇雲に文字で戯言をぶち撒けただけじゃないか。
私はほんと抜けている、済まないな。

私は音楽に縁が無くて、イラストは才が無かった。 近くにあったのは物語だった、私は物語に自分の感情を乗せて文章を書き綴る物書きになった。
ここからは私の中での解釈だ、本来の意味は各々で検索して欲しい。
私は下のように思っている、その難易度は上から下へ大中小の順番だ。


音楽を生業にする人は、『音を楽しくする』事に長けていて。
イラスト…基、絵描きを生業にする人は、『絵心を描く』事に長けていて。
物語を生業にする人は、『物事を語る』事に長けていて。
更に加えれば、物書きを生業にする人は、『物事について書く』事に長けている。


そして私は、物書きになりたいと思った。 物事についてダラダラ書くのは、得意だからだ。


今だってほら、結論もなくただただ『物事について語る』だけの物書きをしている。 目標もなく、目的も不明瞭に。
しかし、この行為こそ私の至高だ。 派手なライブ会場も整った展示会場も今の私には必要なく、ただこの何も無い空間に線だけで構成された、文字という記号を書いて……否。
私が今ここに書いている行為すら、AI生成者と同じく0と1の羅列でしかないんだけれども、そこに感情という名前を冠した旋律を打ち込んでいる。
打ち込み続けて私の感情を、嗜好を、爪痕を遺して静かに去っていく。 あとは読んだ人の心になにか引っかかることだけを、願って。

私はあとどれぐらい、旋律を奏で続けられるだろうか?
頭の中の物語が消えるまでは、私は旋律を奏で続けたい。

場所なんかどこでもいい、このアルファポリスは前提として個人サイトを持っているからそこで奏でるもいいだろう。
寧ろPCやタブレット、スマホの電源をオフにして自身の手でノートに殴り書くか? それとも、何処かに応募するかもしれない期待を胸に抱きながら原稿用紙に書き綴るか? 否、それでも足りないなら、片面印刷された用紙の裏に、彩り豊かな筆記具で書き込もうか?

嗚呼、これもあれもそれもどれも、全ての物語旋律が素晴らしい。


私の全てを奏でていたい、この世界で、この旋律を!



私は、キーボードの押下を止める。 ゆっくり目を閉じて、まるで一つの演奏を終えたかのように、脳の疲れと達成した事への悦に浸る。
周りを見る。 私からは誰も見えやしないけども、誰かは私の作品を読むだろうという、気持ちで心を躍らせた。 それと同時に、読まれないかもしれないという寂しさも生まれ出る。
しかし私には、この事実だけは知っている。 だからこそ、私はこれが辞められない。


私という感情の旋律は、私にしか奏でられない物語だ。


と。
私は誰が見てるかも分からない場所に向かって立ち上がる。 終わりの挨拶をするけれども、いつも現実で行う日本風の一礼はしない。
人の姿は私の目に誰も映ってはいない、けど、そこに誰かが居るかのように右手を大きく振りながら、私はにっと笑う。
そしてさよならを元気に述べよう、子供の時に一度は聞いたことはあるであろう言葉で、この話は閉じることにする。



いつかまた出逢ったら、この世界で遊ぼうな!
バイバイ!!





〆.
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