詩

音 (2023.6.03)

今日は雨
いい天気とは言えない今日だけど
悪天候と言われる雨だけど
私は雨の日が好きだ

晴れの日は鳥の声が遠くに聞こえるけど
曇りの日は風の声が近くまで迫るけど
雨の日は近くで雨の音が響いている
雨は私の傍に音をくれる

パラパラとトタン屋根を叩く音を
コロコロとベランダのアルミ冊子に落ちる音を
ゴロゴロと空を裂く雷の音を
その音が私の耳と心に届くんだ

例え君が寂しくても
例え君が独りでも
例え君に理解者がいなくても
例え君に寄り添う人がいなくても

僕たちが傍にいるよと
だから僕たちが傍にいることを
耳で心で感じてねと
雨粒が私に語ってくれている気がするんだ

そしてこう言っているような
否
こう言ってくれているような気がするんだ

少しでもつらくて
少しでも悲しくても
少しでも余裕がなくなったら
僕たちの音に隠れて泣いていいよと

少し淡白な冷たさに
少し不器用な優しさに
少し涙があふれてきて
心に少しの空きができるのを

とても私は有りがたくて
とても雨が優しいと思って
私は雨の日になると
少しだけ自分に素直になりたくなる

私は雨の日が好きだ
雨の日の音が好きだ
雨の日の粋な優しさが好きだ
だから少しだけ
今日はまだ少しだけ

君の音に隠れて
涙を流しても許してほしい
君の音に隠れて
弱さをさらけ出してしまう
私の弱さを許してほしい

そう言っている私を余所に
ただ淡々と音を鳴らして
ただ気の向くままに私を翻弄して
そうあることが自然なことであることを
ただ私に見せつけるだけの
だた振り続けるだけの雨の日を

何時までも私は好きであり続けたい


〆