黒騎士爆走物語

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一件落着の部屋2

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「最初の部屋で私を拘束していたにょろにょろした物は……」
「エロトラップの機械触手ですね」
「魔力吸収装置稼働技能者な!」

二度と間違えるなっつったろ!
という叫びと共に怒りの鉄拳を放つキューであったが、相手は傭兵崩れのバトルマニアである。
軽くいなされて逆に転がされていた。

「実験に使うだの何だのとぎれとぎれに言っていた不穏な放送は……」
「こっちも動かすのが初めての機械だったから、実験台みたいにして申し訳ない、というアナウンスだったんだが。とぎれとぎれって、もしかしてちゃんと流れてなかったのか?」
「研究室のような場所に吊るされていたスライムの遺体は」
「スライムの肉体を模した人工物ですね。この施設の設置者が研究してたものらしいです」
「残ってた報告書や実物も調べたが、本物のスライムが使われている形跡はなかった。あんた達の仲間が殺されている事実はないぞ」

片付けに手が回ってなくて申し訳ない、自分と同じ種族の遺体が吊るされてりゃそりゃ吃驚するよな、とむしろ同情の込められた謝罪を告げられて。

いたたまれない。
スライはとうとう恥ずかしさに顔を覆ってしまった。
同胞を無残に殺され、己の国すら歯牙にかけられようとしているなどと悲劇のヒーローぶって義憤に駆られていたが、実際に蓋を開けてみればただの勘違いで暴れていただけときた。

「本当に……申し訳ない……私を介抱しようとしてくれていた方々にこんな……」
「まあまあ」
「お気になさらず」

完全な善意ではなく、責任逃れと金の絡んだ私欲から始まった介抱であるので、なだめるキューとテンリィの目はどこか胡乱である。
しかしうなだれているためそんなことには気づかないスライは更に罪悪感を募らせる。
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