黒騎士爆走物語

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黒騎士爆走物語6

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「あっ」

跳んだ瞬間、着地予定だった床が口を開ける。
体はもはや空中にあるため、方向転換は不可能。

「……う、」

触手の海へと真っ逆さま。
それだけは避けたい!

「うぉおおおお!」

腰をねじり、宙をかき、わずかでも前へ。
必死の行動が功を奏し、なんとか上半身を穴の縁に届かせることに成功した。

「よし、これで……!」

壁にひかれる前に這い上がり、態勢を整えねば。
次の行動を組み立てている間に、また新たな問題が浮上する。

ぬるり。
そんな擬音が聞こえてきそうだ。
片足がなにかに引っ張られている。
なにに引っ張られているかは、想像に難くなかった。

「ぐ……!」

足をバタつかせて振払おうとするが、ぬっちゃぬっちゃと嫌な音が響くばかりで全く離れない。
強引に引き上がろうとしても、穴の縁という不安定な場所のせいで十全な力が込められない。

そうこうしている間にも、迫る壁。
私は決断を余儀なくされた。

「すまんっ、……後で必ず取りに来る!」

留め具を外し、脛当ての部分ごと鉄靴を脱ぎ捨てる。
絡みついた触手の感覚がなくなり、その隙をついて穴から這い出た。

今のうちに、と再び走り出す。
片方の靴がなくなったせいで左右のバランスが悪くなった。
走りづらい。

更に穴を二つ飛び越えた頃。
私は異変に気づいた。
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