黒騎士爆走物語

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従業員は動き出す4

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こいつぁやっべえや。。
本日二度目の感想を、テンリィは胸に抱く。
それは恋ですよ、なんて初めての感情に身を焦がす乙女へそっと囁くように言えれば苦労はしない。

サキュバス達は他生物の性欲に干渉する力を持っている。
故に、恋愛感情が子を成すための性行為と結びついている生態の他種族へ好意を抱けば、色々と問題が発生するのだ。
既に相手がいる者へ誘惑魔法をかけて強引に引きはがしたり、求めすぎて腹上死させたり、その他諸々。
流れてくる噂には事欠かない。

サキュバスに恋されたら地の果てまで逃げろ、とはかつてテンリィが勤めていた戦場で聞いた話だ。
与太話と一笑に付すのは簡単だが、目の前の明らかに様子のおかしい雇用主を見てしまえばそうはいかない。

「あの黒騎士、これからどうするんですか」

答えてもらえなかった問いを再度繰り返せば、キューは緩慢な動きでようやく振り返った。

「まず誤解を解かないと始まらないから、あのスライムがフェイクだってことを説明して、……資料も集めたほうがいいな……それから改めて魔力と体力を回復してもらって、……」

説明するための資料の所在を確認する手が、コンソールに触れたまま止まる。
ぽそりと機械の駆動音にかき消されそうな大きさで呟かれたのは。

「療養目的ってことで、一年くらい閉じ込められないかな」

こいつぁやっべえや。
本日三度目である。
脳内のテンリィがスリーアウトの合図を出している。

本人の同意なしで監禁はどう考えてもアウトだ。
今現在も似たようなことになってしまっているが、監禁した当の黒幕が目的を違えてしまった以上はまるで違う。
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