黒騎士爆走物語

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黒幕は目が死んでいる5

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「ほんっとうにイヤだ、この装置動かすの……ひたすらに恥……」

そんな自分が故郷産の装置を操縦している。
これ以上の苦痛があるものか、キューは砕かん勢いで奥歯を噛みしめた。
己の過去に悶絶する店主の様子を眺めながら、テンリィは言った。

「でも今ここにいる奴らの中では、キューしかこの装置を動かせるモンスターいねぇでしょ」
「うっ」

キューとテンリィ、そして名も知らぬ黒騎士がいるこの施設に搭載されたもの。
これこそ例の国が開発した、その名も『魔力吸収装置』である。
モンスターが興奮状態に陥ることで感情を乱すと魔力コントロールも乱れる性質を利用し、対象の魔力を吸収する装置だ。
反対に吸収した魔力を与えることもできる優れもので、兵士たちの休養目的に購入、設置している国は少なくない。

今回は戦争と爆発による疲弊で体力、魔力を限界まで失った黒騎士のために、魔力吸収装置の他、様々な療養機械を備えたこの施設を稼働させているというわけだ。
放棄された施設なので当然責任者も操縦者もいない。
テンリィの指摘通り、この状況を打開できる技能を持っているのはキューだけなのだ。

「別に人助けに抵抗ある訳でもなし、腹くくりましょうよ店長」
「元凶のお前に言われるのめっちゃ腹立つ!」

むきぃ! と唸ったものの、おとなしく操縦盤を操るキューは分別を備えた青年である。
故郷についての不満を止め、操縦に集中していると、ふと妙なことに気づいた。

「……なんか、……暴れてないか」
「すごい動いてますね」
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