16 / 91
黒幕は目が死んでいる4
しおりを挟む
とある国があった。
武力は持たず、自給できるほどの畑も畜産も持たず、どこかから攻め入られようものなら即座に滅んでしまうだろう、と言えるほどの小国だった。
しかしその国は長年平和を保ち続け、各国からはなにかと長ったらしい名目をつけた資金援助さえ受けながら発展してきた。
なぜそんなことが可能だったのか。
それはひとえに国の住人達が持つ能力によるものだ。
インキュバスとサキュバスの国。
要するに『他者の生殖能力に働きかける力』に長けた者達の国だったのだ。
国の創造者が力を乱用して精気を貪るのではなく、他国との取引に使うことを思いついたのも発展への糸口となった。
かくしてその国は跡継ぎのできない大国を救ったり、敵国の王室を泥沼化して大混乱に陥らせたり、『味方にすると利用価値が高いが敵に回すと対処がとても大変』というポジションを手に入れた。
実際にあはんうふんなこと目的でその国へ訪れる各国の重鎮も多い。
そして求められればその技術力は高められていくのが常である。
防御力を下げるために服だけ溶かす溶解液()や、繁殖に最適な状態へ身体を整える魔法()など、オーバーテクノロジーといっても差し支えない代物を次々と生み出してきた。
キューはそんな国で生まれたインキュバスである。
『人々の役に立つ技術』と教え込まれ、子供ならではの吸収力と素直さで腕利きと国に認定されるほどの技術を磨き、
そしてよりによって真実を知ったのが思春期真っ只中の多感なお年頃の時期だった。
『人々の役に立つ技術』というのは嘘ではない。
実際服を溶かす溶解液は重度の火傷を負った患者への処置に重用されているし、他者の生殖能力に働きかける能力も含めて主に医療面で活躍している者も多い。
が、その事実を押しつぶすほどに世間一般の認識は『アレな目的で金を稼いでいる下世話の極みの国』なのである。
もはや他国が戦争真っ只中で危険だとかそんな事情はどうでもよかった。
風評被害からただただ逃れたくて、キューは比較的平穏な国を飛び出し、流れ流れてラタ街へ辿り着いたのである。
武力は持たず、自給できるほどの畑も畜産も持たず、どこかから攻め入られようものなら即座に滅んでしまうだろう、と言えるほどの小国だった。
しかしその国は長年平和を保ち続け、各国からはなにかと長ったらしい名目をつけた資金援助さえ受けながら発展してきた。
なぜそんなことが可能だったのか。
それはひとえに国の住人達が持つ能力によるものだ。
インキュバスとサキュバスの国。
要するに『他者の生殖能力に働きかける力』に長けた者達の国だったのだ。
国の創造者が力を乱用して精気を貪るのではなく、他国との取引に使うことを思いついたのも発展への糸口となった。
かくしてその国は跡継ぎのできない大国を救ったり、敵国の王室を泥沼化して大混乱に陥らせたり、『味方にすると利用価値が高いが敵に回すと対処がとても大変』というポジションを手に入れた。
実際にあはんうふんなこと目的でその国へ訪れる各国の重鎮も多い。
そして求められればその技術力は高められていくのが常である。
防御力を下げるために服だけ溶かす溶解液()や、繁殖に最適な状態へ身体を整える魔法()など、オーバーテクノロジーといっても差し支えない代物を次々と生み出してきた。
キューはそんな国で生まれたインキュバスである。
『人々の役に立つ技術』と教え込まれ、子供ならではの吸収力と素直さで腕利きと国に認定されるほどの技術を磨き、
そしてよりによって真実を知ったのが思春期真っ只中の多感なお年頃の時期だった。
『人々の役に立つ技術』というのは嘘ではない。
実際服を溶かす溶解液は重度の火傷を負った患者への処置に重用されているし、他者の生殖能力に働きかける能力も含めて主に医療面で活躍している者も多い。
が、その事実を押しつぶすほどに世間一般の認識は『アレな目的で金を稼いでいる下世話の極みの国』なのである。
もはや他国が戦争真っ只中で危険だとかそんな事情はどうでもよかった。
風評被害からただただ逃れたくて、キューは比較的平穏な国を飛び出し、流れ流れてラタ街へ辿り着いたのである。
0
お気に入りに追加
35
あなたにおすすめの小説
それでも僕は君がいい
Q.➽
BL
底辺屑Dom×高スペ王子様系Sub
低スペックで暗くて底意地の悪いDomに何故か惚れきってる高スペック美形Sub男子の、とっても短い話。
王子様系Subにちょっかいかけてる高位Domもいます。
※前中後編の予定でしたが、後編が長くなったので4話に変更しました。
◇大野 悠蘭(ゆらん) 19/大学生 Sub
王子様系美形男子、178cm
秋穂の声に惹かれて目で追う内にすっかり沼。LOVELOVEあいしてる。
◇林田 秋穂(あきほ)19/大学生 Dom
陰キャ系三白眼地味男子 170cm
いじめられっ子だった過去を持つ。
その為、性格がねじ曲がってしまっている。何故かDomとして覚醒したものの、悠蘭が自分のような底辺Domを選んだ事に未だ疑心暗鬼。
◇水城 颯馬(そうま)19/大学生 Dom
王様系ハイスペ御曹司 188cm
どっからどう見ても高位Dom
一目惚れした悠蘭が秋穂に虐げられているように見えて不愉快。どうにか俺のSubになってくれないだろうか。
※連休明けのリハビリに書いておりますのですぐ終わります。
※ダイナミクスの割合いはさじ加減です。
※DomSubユニバース初心者なので暖かい目で見守っていただければ…。
激しいエロスはございませんので電車の中でもご安心。
孤独な蝶は仮面を被る
緋影 ナヅキ
BL
とある街の山の中に建っている、小中高一貫である全寮制男子校、華織学園(かしきのがくえん)─通称:“王道学園”。
全学園生徒の憧れの的である生徒会役員は、全員容姿や頭脳が飛び抜けて良く、運動力や芸術力等の他の能力にも優れていた。また、とても個性豊かであったが、役員仲は比較的良好だった。
さて、そんな生徒会役員のうちの1人である、会計の水無月真琴。
彼は己の本質を隠しながらも、他のメンバーと各々仕事をこなし、極々平穏に、楽しく日々を過ごしていた。
あの日、例の不思議な転入生が来るまでは…
ーーーーーーーーー
作者は執筆初心者なので、おかしくなったりするかもしれませんが、温かく見守って(?)くれると嬉しいです。
学生のため、ストック残量状況によっては土曜更新が出来ないことがあるかもしれません。ご了承下さい。
所々シリアス&コメディ(?)風味有り
*表紙は、我が妹である あくす(Twitter名) に描いてもらった真琴です。かわいい
*多少内容を修正しました。2023/07/05
*お気に入り数200突破!!有難う御座います!2023/08/25
*エブリスタでも投稿し始めました。アルファポリス先行です。2023/03/20
初恋はおしまい
佐治尚実
BL
高校生の朝好にとって卒業までの二年間は奇跡に満ちていた。クラスで目立たず、一人の時間を大事にする日々。そんな朝好に、クラスの頂点に君臨する修司の視線が絡んでくるのが不思議でならなかった。人気者の彼の一方的で執拗な気配に朝好の気持ちは高ぶり、ついには卒業式の日に修司を呼び止める所までいく。それも修司に無神経な言葉をぶつけられてショックを受ける。彼への思いを知った朝好は成人式で修司との再会を望んだ。
高校時代の初恋をこじらせた二人が、成人式で再会する話です。珍しく攻めがツンツンしています。
※以前投稿した『初恋はおしまい』を大幅に加筆修正して再投稿しました。現在非公開の『初恋はおしまい』にお気に入りや♡をくださりありがとうございました!こちらを読んでいただけると幸いです。
今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。
小学生のゲーム攻略相談にのっていたつもりだったのに、小学生じゃなく異世界の王子さま(イケメン)でした(涙)
九重
BL
大学院修了の年になったが就職できない今どきの学生 坂上 由(ゆう) 男 24歳。
半引きこもり状態となりネットに逃げた彼が見つけたのは【よろず相談サイト】という相談サイトだった。
そこで出会ったアディという小学生? の相談に乗っている間に、由はとんでもない状態に引きずり込まれていく。
これは、知らない間に異世界の国家育成にかかわり、あげく異世界に召喚され、そこで様々な国家の問題に突っ込みたくない足を突っ込み、思いもよらぬ『好意』を得てしまった男の奮闘記である。
注:主人公は女の子が大好きです。それが苦手な方はバックしてください。
*ずいぶん前に、他サイトで公開していた作品の再掲載です。(当時のタイトル「よろず相談サイト」)
【完結】イケメン騎士が僕に救いを求めてきたので呪いをかけてあげました
及川奈津生
BL
気づいたら十四世紀のフランスに居た。百年戦争の真っ只中、どうやら僕は密偵と疑われているらしい。そんなわけない!と誤解をとこうと思ったら、僕を尋問する騎士が現代にいるはずの恋人にそっくりだった。全3話。
※pome村さんがXで投稿された「#イラストを投げたら文字書きさんが引用rtでssを勝手に添えてくれる」向けに書いたものです。元イラストを表紙に設定しています。投稿元はこちら→https://x.com/pomemura_/status/1792159557269303476?t=pgeU3dApwW0DEeHzsGiHRg&s=19
【完結】『ルカ』
瀬川香夜子
BL
―――目が覚めた時、自分の中は空っぽだった。
倒れていたところを一人の老人に拾われ、目覚めた時には記憶を無くしていた。
クロと名付けられ、親切な老人―ソニーの家に置いて貰うことに。しかし、記憶は一向に戻る気配を見せない。
そんなある日、クロを知る青年が現れ……?
貴族の青年×記憶喪失の青年です。
※自サイトでも掲載しています。
2021年6月28日 本編完結
俺をハーレムに組み込むな!!!!〜モテモテハーレムの勇者様が平凡ゴリラの俺に惚れているとか冗談だろ?〜
嶋紀之/サークル「黒薔薇。」
BL
無自覚モテモテ勇者×平凡地味顔ゴリラ系男子の、コメディー要素強めなラブコメBLのつもり。
勇者ユウリと共に旅する仲間の一人である青年、アレクには悩みがあった。それは自分を除くパーティーメンバーが勇者にベタ惚れかつ、鈍感な勇者がさっぱりそれに気づいていないことだ。イケメン勇者が女の子にチヤホヤされているさまは、相手がイケメンすぎて嫉妬の対象でこそないものの、モテない男子にとっては目に毒なのである。
しかしある日、アレクはユウリに二人きりで呼び出され、告白されてしまい……!?
たまには健全な全年齢向けBLを書いてみたくてできた話です。一応、付き合い出す前の両片思いカップルコメディー仕立て……のつもり。他の仲間たちが勇者に言い寄る描写があります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる