黒騎士爆走物語

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黒幕は目が死んでいる3

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そして起こる爆発、飛び散る火花と荷物の残骸、財産を失ったシンの悲鳴。
あまりに混沌とした光景を目にして、キューが考えたのはただ一点。

このままだと馬車の弁償待ったなし。

なにせこのテンリィ、キューが経営しているなんでも屋で雇っている従業員である。
従業員の失態は店主の失敗。
仮にキューが否定したとして、シンはそこを理由に請求書を突きつけてくるだろう。
あまりに自己中心的な心配事ではあったが、やや治安悪めのラタ街で毎日を必死に生き抜いている身としては金の心配をするのはごく普通のことだ。
金にがめついことを非難するなら金を全く使わず霞で食えるようになってから責めてみろコノヤロウとは常日頃からキューが誰に言うでもなく思っていることである。

『お──っとシン! 馬車を急いで修理してやらないといけなくなったな、さっき言ってたモンスター引き取ってやるから行ってこいよ!』
『ぁ……あぁ……』
『修理できるとこならお前も知ってるな!? あそこ前に仕事した関係で仲良くなったから口利きしといてやるよ! いやぁ急なトラブルに手助けする俺って優しいな!』
『馬車……馬車がぁ……』
『あ、そうだここまでやってやったんだからついでに一つ手伝っていけ!』

開き直り、まだ衝撃の現実を受け入れきれていないシンヘ畳み掛けるように押し切った。
後々改めて弁償を持ちかけられても、モンスターの件を引き受けたのだからおあいこだと返せるように。

だが、今こうして引き受けた件を目の当たりにしていると、素直に弁償していた方がなんぼかマシだったかもしれない、とキューは痛感していた。

「それにしてもこんな複雑な機械、よく操作できますね。テンリィにはなにがなにやらさっぱりです」

テンリィは計器やモニターで埋め尽くされた部屋を見回す。
そこはシンが言及していた、救護に役立ちそうな施設、その管理室だった。
引き取った黒騎士を回復させるには適していたので、連れてきたのだ。
見栄えに関してはご覧の有様だが。

稼働しているエネルギーの節約で照明の明かりを落としているため、薄暗いところは生まれた洞窟に似ている、と呑気な感想を呟くテンリィは続ける。

「さすがエロトラップダンジョンの申し子」
「魔力吸収装置稼働技能者な! 二度と間違えるな!」

キューは力の限り叫んだ。
彼が巡り巡ってラタ街に居住している主な原因が、そこにあるからだ。
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