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夢魔と人形

人形の反乱・7

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恋するゴーレムが解放されれば、マッピーとインキュバスは子供の玩具のごとくめためたにされる。
しかし離脱すれば、解決策を生み出す間もなくゴーレムが自壊する。
自分の身は大事。
しかし『恋するゴーレム』をぶっ飛ばせばゴーレム本体の破壊が進むだけ。
いやでも。

はた、と。
二択を選び切れないマッピーの脳裏に浮かんだのは、会館に収容されたとある魔族の姿。
長い間食堂にさえ訪れられなかったくせに、半年前にとんでもないことをやらかした黒影の若者。
当たり前をぶち壊した、勇気ある臆病者。

それを思い出したのは、夢に到着した時の場所も関係あるかもしれない。
光が弾けるように思いついたアイデアは、やっぱり力技だった。

「……なんか腹立ってきた」
「ん?」

ぼそりと呟かれた言葉に、響きの違いを感じたインキュバスは斜め上の顔を伺う。
前髪が影を作る彼女の表情は、明らかに怒りを表していた。

「なーんで二択を迫られなきゃいけないんですか。わたしはただゴーレムと仲良くなって真面目に仕事してお給料もらって普通の生活を送りたいだけなんですよ!」
「急にどうした」
「本音を言えばゴーレムがいなくなったら仕事量が増えるから早いとこ復帰してほしいんですよ!」
「簡潔な動機説明は好感が持てます」
「お前さんを利用したいって言っとるのと同義じゃがええんかそれは」
「ついでに言えばインキュバスを再起不能にしといてくれればいちいちナンパの阻止に仕事中断されなくて済むから一石二鳥!」
「さすがにぶっちゃけすぎとらん!?」

インキュバスの悲鳴は、ぐりん! と唐突に顔を向けたマッピーの勢いで封じられた。
前を見ていないのに速度は一切落ちていないのは、勇者の末裔として訓練を積み続けた賜物か。
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