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夢魔と人形

一人と二体の密談・2

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「どどどどうしよう!?」
「こうなったらミミックを差し出すしか!」
「ひどいよ! そういうこと言うなら虚偽の報告したマッピーをインキュバスに差し出して黙っててもらうよ! 一応女の子でしょ!」
「一応ってなんだこのやろうその無駄な体積削ぎ落として女体の外見にして差し出してやってもいいんだぞ」
「こわい!」

互いにカスなことを言い合えるのは仲良くなってきた証拠と言えるのか。
事態のマズさを理解した一人と一体の醜い争いを冷めた目で眺めていたテンタクルは、不毛な言い合いを再びの触手ビンタで黙らせた。

「情報が広まっていないことを考えると、インキュバスは今のところバラす気はないのでしょうね。手札として使うのか、やってほしいことがあるのか……どちらにせよ、こちらが勝手に騒いでも別のところにバレるだけよ。大人しくしてなさい」
「イエス、マム……」
「あとミミックは私のだから勝手に取引材料にしないで」
「えっ」
「そりゃまあ実際にそんなことしないですけど……でもインキュバスって、女の見た目ならなんでもいいところないですか?」

粘液滴る顔をしょぼしょぼにしながら、マッピーが食い下がる。
本人も無駄とわかっている反論に、テンタクルは小さな鼻を鳴らして一蹴する。

「あんなのお遊びにもなってないわ」
「お遊びで仕事増やされちゃたまんないんですけども……」

トレイを膝で安定させ、粘液をぬぐいとったマッピーの視界へ真っ先に映ったのは、からかいやおふざけなど一切ないテンタクルの真剣な顔だった。
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