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夢魔と人形

食堂騒動・12

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「返す言葉もない。まあ、そんなわけで少し特殊な立ち位置にいるんです、ゴーレムは。造り主の魔術師さんが所長の知人であることも関係してこの会館で魔族的保護を受けつつお手伝いしてもらっている、てことでして」
「なるほど」
「いいとこどり、って感じね」
「えっと、そういえばなんだけど」

かちゃかちゃ、ガタガタと作業の音があふれる中、ミミックの声はためらいがちに零された。

「テンタクルとインキュバスはすごくテンション下げたよね、ゴーレムの話が出た時。あれって、ゴーレムが魔族かそうでないか微妙な存在だから?」
「いんや? そんなことで態度を変えたりはせんよ」
「そうね。癪だけど、これに関してはおじいちゃんと同じ意見だわ」
「じゃあ、どうして~?」

箱の中に鎮座するテンタクルと、わずかに浮遊するインキュバス。
二体の視線が交差した後、示し合わせたかのように答えを放った。

『(苗床にならない/精気を出さない)相手に興味がわかない』

にべもない言い方に、マッピーはなんとなく理解した。
この二体の仲が悪く見える原因は、同族嫌悪もあるのだと。



「気をつけたほうがいいわよ、あのおじいちゃん」

無事に片付けも終わった、食堂からの帰り道。
3-A区画へ至る廊下を、マッピーはミミックと並んで歩いていた。
食堂での時間を片付けに費やしてしまったため、食いっぱぐれた二体のためにご飯を届けるためだ。

「インキュバスのこと?」
「あまり近づけさせないで。嫌いなのよ、ああ言う手合い」
「それってテンタクルの個人的な感想なんじゃないですか?」

ぱあん!
手伝ってくれなかった上に食事運搬の仕事を増やされたマッピーが憎まれ口を叩くが、返ってきたのは触手によるビンタだった。
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