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28話
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「ミウさんっ!大丈夫でしたかっ⋯?」
「大丈夫です!この通り!」
只今ミウはリルの住む離宮に来ていた。
ミウが久しぶりに顔を出すと、意外にも心配してくれていたリルが涙目で「大丈夫でしたか⋯?」と聞いてくれた。
「ミウが連れ去られたって知って僕たち心配してたんだからね」
「⋯ごめん」
「ミウのせいじゃないよ!僕が一緒に居ればよかった」
「んふ、ありがとう」
ハオはミウに謝らせるつもりはなく、あわあわとした。
「リルさんってわんこ好きですか?」
「わんこ⋯?好きだよ」
「もし怖かったら⋯と思ってお留守番させてきたんですけど、最近うちにわんこがいるんです。今度連れてきてもいいですか?」
「もちろんですっ!」
リルは犬が好きなのかキラキラした瞳をして言った。
「リル、体調はどうだ?」
「元気ですよ」
しばらく3人で話していたら途中でアルンが入ってきた。
ふたりの会話を見ていると夫夫のような雰囲気が出ており、微笑ましくなった。
「なにか欲しいものはないか?」
「特には⋯」
「そうか、欲しいものがあったらすぐに言ってくれ」
「⋯はい」
「ハオ、ミウ少しいいか」
アルンに呼ばれたふたりはリルの部屋を出た。
「もう少しでリルが誕生日なんだが⋯、欲しいものが実はあるとかはないか?」
「誕生日なんですね!⋯僕が聞いてないってことはミウも知らないよね?」
「うん」
「そうか⋯」
呼び出された理由はもう少しで誕生日のリルのプレゼントについてだった。
「ふたりに頼みがあるんだが、プレゼント選びに付き合ってくれないか?」
「それはもちろんですっ!」
「でもリルさんってどんなものが欲しいんだろ⋯」
ミウの言葉にハオとアルンは頭を悩ませる。
「アルンさまはリルの好みとか知っていますか?」
ハオの質問にアルンはまた頭を悩まる。
「分からない⋯」
「分からないっ!?好きな人の好みですよ?!」
「はっハオっ」
焦ってミウがハオの言葉を止めようとするが間に合わなかった。
「すまない⋯」
アルンは「好きな人の好みも分からないのか?」とハオに言われ落ち込んだ。
「あ、ごめん⋯なさい⋯」
「いや、いいんだ。本当のことだからな。」
そう素直に謝るアルンは少し寂しいそうな顔をした。
「リルと出会った時から少しずつ距離を縮めているつもりではいるんだが、どうも遠慮されていてな。リルの性格上仕方ないことなのだが、もう少しワガママを聞きたいものだ」
リルの性格は大人しくて優しい性格のため、「あれがしたいこれがしたい」と言うタイプではないのは分かっていたが、本当に少しのワガママも言わない。
そんなリルにアルンはワガママを言わせたかった。
「ふたりにさりげなく欲しいものを聞いてみて欲しいのだが頼めるだろうか?」
「任せてくださいっ!」
「なかなかリルさんは言わなさそうですが、頑張ってみます」
ふたりはフンッと気合いが入った。
「ミウ、リルの欲しいもの絶対聞き出そうっ!」
「うん!絶対欲しいものをプレゼントしてあげたいっ!」
ふたりは硬い握手を交わした。
小話
「リル、欲しいものは本当にないのか?」
「ん?ありませんよ⋯?」
「本当にないのか?」
「ない⋯ですね」
「そうか」
「はい」
「で、欲しいものは」
「ありませんっ!」
アルンも頑張ってはいました⋯。
「大丈夫です!この通り!」
只今ミウはリルの住む離宮に来ていた。
ミウが久しぶりに顔を出すと、意外にも心配してくれていたリルが涙目で「大丈夫でしたか⋯?」と聞いてくれた。
「ミウが連れ去られたって知って僕たち心配してたんだからね」
「⋯ごめん」
「ミウのせいじゃないよ!僕が一緒に居ればよかった」
「んふ、ありがとう」
ハオはミウに謝らせるつもりはなく、あわあわとした。
「リルさんってわんこ好きですか?」
「わんこ⋯?好きだよ」
「もし怖かったら⋯と思ってお留守番させてきたんですけど、最近うちにわんこがいるんです。今度連れてきてもいいですか?」
「もちろんですっ!」
リルは犬が好きなのかキラキラした瞳をして言った。
「リル、体調はどうだ?」
「元気ですよ」
しばらく3人で話していたら途中でアルンが入ってきた。
ふたりの会話を見ていると夫夫のような雰囲気が出ており、微笑ましくなった。
「なにか欲しいものはないか?」
「特には⋯」
「そうか、欲しいものがあったらすぐに言ってくれ」
「⋯はい」
「ハオ、ミウ少しいいか」
アルンに呼ばれたふたりはリルの部屋を出た。
「もう少しでリルが誕生日なんだが⋯、欲しいものが実はあるとかはないか?」
「誕生日なんですね!⋯僕が聞いてないってことはミウも知らないよね?」
「うん」
「そうか⋯」
呼び出された理由はもう少しで誕生日のリルのプレゼントについてだった。
「ふたりに頼みがあるんだが、プレゼント選びに付き合ってくれないか?」
「それはもちろんですっ!」
「でもリルさんってどんなものが欲しいんだろ⋯」
ミウの言葉にハオとアルンは頭を悩ませる。
「アルンさまはリルの好みとか知っていますか?」
ハオの質問にアルンはまた頭を悩まる。
「分からない⋯」
「分からないっ!?好きな人の好みですよ?!」
「はっハオっ」
焦ってミウがハオの言葉を止めようとするが間に合わなかった。
「すまない⋯」
アルンは「好きな人の好みも分からないのか?」とハオに言われ落ち込んだ。
「あ、ごめん⋯なさい⋯」
「いや、いいんだ。本当のことだからな。」
そう素直に謝るアルンは少し寂しいそうな顔をした。
「リルと出会った時から少しずつ距離を縮めているつもりではいるんだが、どうも遠慮されていてな。リルの性格上仕方ないことなのだが、もう少しワガママを聞きたいものだ」
リルの性格は大人しくて優しい性格のため、「あれがしたいこれがしたい」と言うタイプではないのは分かっていたが、本当に少しのワガママも言わない。
そんなリルにアルンはワガママを言わせたかった。
「ふたりにさりげなく欲しいものを聞いてみて欲しいのだが頼めるだろうか?」
「任せてくださいっ!」
「なかなかリルさんは言わなさそうですが、頑張ってみます」
ふたりはフンッと気合いが入った。
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「うん!絶対欲しいものをプレゼントしてあげたいっ!」
ふたりは硬い握手を交わした。
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「ん?ありませんよ⋯?」
「本当にないのか?」
「ない⋯ですね」
「そうか」
「はい」
「で、欲しいものは」
「ありませんっ!」
アルンも頑張ってはいました⋯。
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