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『おじさま』
呼ばれたい二人称第一位。
これは私に向けられた『おじさま』だろうか?
声の方を見ると、どこかで見たことあるような、ないような、、、
ないような、あって欲しいような美しい女性がこちらを見ていた。
周りをキョロキョロとわざとらしく見てから、人差し指を自分の鼻先に向けて小首をかしげてみせた。
彼女はにっこり微笑むと、近づいてきて
「はい、おじさまのことですよ」
と言って腕を組んできた。
「おじさまも熊野(ダンジョン)に入られるんですね」
彼女は組んだ腕をパッと離してそう言った。
「え、えぇ… あのぉ…」
私は、どうやらいかにも[どちら様でしたっけ?]の顔をしていたようだ。
「富士ダンジョンで何度かお見かけしたんです。お話も二度ほど…」
と、彼女は説明してきた。
「えぇ!?こんな美人さんとお話していたら忘れるはずないのに… あ、ひょっとして、人魚とかカッパの格好してました?」
と、ボケともマジともわからないことを口走ってしまった。
「あはぁ………」
彼女は大ウケして吐息笑いをした。
「ところで、食事はまだですか?」と私。
「あ、はは、はい、まだです」と彼女。
「よろしければ…」ご一緒にと私が続ける前に、
「はい」と笑って、彼女はまた腕を組んできた。
「取りあえず、荷物を部屋に置いて来ていいですか」と私。
「はい」と彼女。
隆聖号を引いて歩き出す私。
「金田隆司と言います」
「星野梨央です。芸名ですけど」
彼女は腕を離して、並んで歩いてついて来た。
横目にレストランが見えた。
かなり混んでいそうだ。
「レストラン、混んでそうですね」と、歩きながら私が言った。
「周りの店も、どこも混んでるでしょ」と彼女。
「梨央さん… 何か芸能活動されてるんですか?ごめんなさいね、疎くて」と私。
「いえ、全然売れてない地下アイドルなんで。今はダンジョンアイドルですけど」と梨央さん。
「お、ダンジョンアイドル!なるほど… あ、ここのようです」
部屋に着いたので、私はフロントで受け取ったカードキーをかざした。
「あら、近い」
このホテルは、熊野ダンジョンが見つかってすぐに私が買った古民家と等価交換で5年間無償使用できる権利を持っているホテルだ。
お願いしておいた条件は、
・部屋は出入りに便利な、なるべくフロントから近い部屋
・妻も一緒に泊まることがあるかもしれないからツインタイプの部屋
・車が1台停められること
だ。
車は、名前プレート付きの契約者用の駐車スペースがあって、まぁ場所もいい場所だった。
部屋も、確かにフロントから近い。
条件通りだ。
ドアを開けると梨央さんがドアを押さえてくれたので、隆聖号を引いて中に入る。
梨央さんも続いて入ってきた。
部屋に入ると通路の右にクローゼット、左にユニットバス。
先の部屋には右のクローゼットの並びにテーブルがあり、その下に冷蔵庫と金庫がある。
テーブルがさらに奥まで続き、テーブルに向かって椅子がある。
奥の方のテーブルの上にはテレビがあり、左側(ユニットバス側)にベッドがふたつある。
ベッドとベッドの間にもテーブルがある。
「ツインなんですね」と言いながら梨央さんは手前のベッドに腰掛けた。
「妻も一緒に泊まることもあるかと思って、ツインをお願いしていたんです。今回はつれなく断られましたけど」と私。
「シングルに変更できなかったんですか?あ、満室なのか。混んでますもんね」と梨央さん。
「この部屋、5年契約なんですよ」と私。
「えぇ?なに、それー」と梨央さんは屈託のない笑顔を私に向けてくれた。
呼ばれたい二人称第一位。
これは私に向けられた『おじさま』だろうか?
声の方を見ると、どこかで見たことあるような、ないような、、、
ないような、あって欲しいような美しい女性がこちらを見ていた。
周りをキョロキョロとわざとらしく見てから、人差し指を自分の鼻先に向けて小首をかしげてみせた。
彼女はにっこり微笑むと、近づいてきて
「はい、おじさまのことですよ」
と言って腕を組んできた。
「おじさまも熊野(ダンジョン)に入られるんですね」
彼女は組んだ腕をパッと離してそう言った。
「え、えぇ… あのぉ…」
私は、どうやらいかにも[どちら様でしたっけ?]の顔をしていたようだ。
「富士ダンジョンで何度かお見かけしたんです。お話も二度ほど…」
と、彼女は説明してきた。
「えぇ!?こんな美人さんとお話していたら忘れるはずないのに… あ、ひょっとして、人魚とかカッパの格好してました?」
と、ボケともマジともわからないことを口走ってしまった。
「あはぁ………」
彼女は大ウケして吐息笑いをした。
「ところで、食事はまだですか?」と私。
「あ、はは、はい、まだです」と彼女。
「よろしければ…」ご一緒にと私が続ける前に、
「はい」と笑って、彼女はまた腕を組んできた。
「取りあえず、荷物を部屋に置いて来ていいですか」と私。
「はい」と彼女。
隆聖号を引いて歩き出す私。
「金田隆司と言います」
「星野梨央です。芸名ですけど」
彼女は腕を離して、並んで歩いてついて来た。
横目にレストランが見えた。
かなり混んでいそうだ。
「レストラン、混んでそうですね」と、歩きながら私が言った。
「周りの店も、どこも混んでるでしょ」と彼女。
「梨央さん… 何か芸能活動されてるんですか?ごめんなさいね、疎くて」と私。
「いえ、全然売れてない地下アイドルなんで。今はダンジョンアイドルですけど」と梨央さん。
「お、ダンジョンアイドル!なるほど… あ、ここのようです」
部屋に着いたので、私はフロントで受け取ったカードキーをかざした。
「あら、近い」
このホテルは、熊野ダンジョンが見つかってすぐに私が買った古民家と等価交換で5年間無償使用できる権利を持っているホテルだ。
お願いしておいた条件は、
・部屋は出入りに便利な、なるべくフロントから近い部屋
・妻も一緒に泊まることがあるかもしれないからツインタイプの部屋
・車が1台停められること
だ。
車は、名前プレート付きの契約者用の駐車スペースがあって、まぁ場所もいい場所だった。
部屋も、確かにフロントから近い。
条件通りだ。
ドアを開けると梨央さんがドアを押さえてくれたので、隆聖号を引いて中に入る。
梨央さんも続いて入ってきた。
部屋に入ると通路の右にクローゼット、左にユニットバス。
先の部屋には右のクローゼットの並びにテーブルがあり、その下に冷蔵庫と金庫がある。
テーブルがさらに奥まで続き、テーブルに向かって椅子がある。
奥の方のテーブルの上にはテレビがあり、左側(ユニットバス側)にベッドがふたつある。
ベッドとベッドの間にもテーブルがある。
「ツインなんですね」と言いながら梨央さんは手前のベッドに腰掛けた。
「妻も一緒に泊まることもあるかと思って、ツインをお願いしていたんです。今回はつれなく断られましたけど」と私。
「シングルに変更できなかったんですか?あ、満室なのか。混んでますもんね」と梨央さん。
「この部屋、5年契約なんですよ」と私。
「えぇ?なに、それー」と梨央さんは屈託のない笑顔を私に向けてくれた。
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