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第一回富士ダンジョン探索
初入ダン
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[富士ダンジョン入場受付]
先日、市役所に行ってマイナンバーカードに紐付けてもらった[ダンジョンパス](正式名称は日本国異空間旅券とかナントカだったかな)を提出し、入場手続きをする。
世界各地に同時期に出現したダンジョンだか、さすがにこの手のカルチャーの有識者を圧倒的に多数持つ、我が日本国の先駆者有志たちはこれに瞬時に反応し、いち早くいくつかのダンジョンに潜り、次々と内部情報を公開していった。
同時にそれらのいくつかのダンジョンの入り口を、かの先駆者有志たちは権利関係も含め自らが主体となって統制していった。
ネット社会の超長期無法期間の反省からか、かなり早い対応で、ひと月、ふた月、3ヶ月、4ヶ月と経って、ようやく追いかけて仮法制された公的機関の管理下へとダンジョンの入り口が引き継がれた。(まだ入り口の地主と調整中のダンジョンも若干あるが…)
そして、還暦を迎え、定年退職した私は、今日、仮法制下の[ダンジョン対策課](正式名称は確か、地方活性化対策課とかナントカ…)のもと一般公開されている[富士ダンジョン]へとやってきたのだ。
家からはまぁまぁ遠いが、現時点で一般公開されているダンジョンの中では比較的行きやすく、利用者も多いダンジョンなので一発目としてここを選んだ。
近々、熊野のダンジョンが公開されるとのことなので、公開されたらそちらに行こうかとも思っている。
現時点で見つかっている家から一番近い奈良のダンジョンは、公開までまだ当分時間がかかりそうだ。
さて、入場手続きを済ませ、いよいよダンジョンに入る。
入り口は向こう側が見えない磨りガラスのようで、恐る恐る手を突っ込んでみると、ほんの少し、豆腐に手を突っ込むよりも低反発な感じで通り抜けられそうだ。
私は突っ込んだ手を抜き返すことなく、そのまま肩から頭、上半身から体全体と中に入ってみた。
空間の歪みを感じる。(とみんなが言っている。確かにそんな感じだ)
先人たちの報告によると、ダンジョンに入るとまず、そこそこ広い安全そうな空間があり、そこの壁のあちこちに水晶玉のようなものが埋まっているのだそうだ。
うん、入ったらすぐにそれらは目にはいった。
私は早速その水晶玉のようなものに手を触れてみる。
どれが誰の水晶玉のようなもの(のようなものは以下省略)というわけではなく、空いている水晶玉どれに触ってもいいらしい。
水晶玉に触ると目の前の壁が自分だけに見えるステータスボードになるのだそうだ。
と、そこに20代だろうか… 2人組の男性が入ってきて
「あ、おはようございます」
と挨拶をしてきた。
「あぁ、おはようございます」
と返すと、それ以上の会話はなく、2人は別の水晶玉に触れ、なにやら操作をすると、足下に魔法陣のようなもの(のようなものは以下省略)が現れ、スーっと消えて行った。
{あれが転送陣か…}
5層ごとだか10層ごとだか、ダンジョンによって違うだとか、なんだかんだ、転送陣と言うものがあって、その陣がある層の入り口には行ったことがあれば飛んでいけるのだそうだ。
消えた2人のことは忘れて壁の方に向き直り自分のステータスボードを見てみる。
入ってすぐはレベル0だそうだ。
しかし実際に見る表記は - だった。
名前:金田 隆司
階位: -
体力:22
魔力: -
分配: -
攻撃:8
防御:9
知力:12
敏捷:7
技巧:14
あ、申し遅れました。
私、金田 隆司と申します。
よろしくお願いいたします。
先日、市役所に行ってマイナンバーカードに紐付けてもらった[ダンジョンパス](正式名称は日本国異空間旅券とかナントカだったかな)を提出し、入場手続きをする。
世界各地に同時期に出現したダンジョンだか、さすがにこの手のカルチャーの有識者を圧倒的に多数持つ、我が日本国の先駆者有志たちはこれに瞬時に反応し、いち早くいくつかのダンジョンに潜り、次々と内部情報を公開していった。
同時にそれらのいくつかのダンジョンの入り口を、かの先駆者有志たちは権利関係も含め自らが主体となって統制していった。
ネット社会の超長期無法期間の反省からか、かなり早い対応で、ひと月、ふた月、3ヶ月、4ヶ月と経って、ようやく追いかけて仮法制された公的機関の管理下へとダンジョンの入り口が引き継がれた。(まだ入り口の地主と調整中のダンジョンも若干あるが…)
そして、還暦を迎え、定年退職した私は、今日、仮法制下の[ダンジョン対策課](正式名称は確か、地方活性化対策課とかナントカ…)のもと一般公開されている[富士ダンジョン]へとやってきたのだ。
家からはまぁまぁ遠いが、現時点で一般公開されているダンジョンの中では比較的行きやすく、利用者も多いダンジョンなので一発目としてここを選んだ。
近々、熊野のダンジョンが公開されるとのことなので、公開されたらそちらに行こうかとも思っている。
現時点で見つかっている家から一番近い奈良のダンジョンは、公開までまだ当分時間がかかりそうだ。
さて、入場手続きを済ませ、いよいよダンジョンに入る。
入り口は向こう側が見えない磨りガラスのようで、恐る恐る手を突っ込んでみると、ほんの少し、豆腐に手を突っ込むよりも低反発な感じで通り抜けられそうだ。
私は突っ込んだ手を抜き返すことなく、そのまま肩から頭、上半身から体全体と中に入ってみた。
空間の歪みを感じる。(とみんなが言っている。確かにそんな感じだ)
先人たちの報告によると、ダンジョンに入るとまず、そこそこ広い安全そうな空間があり、そこの壁のあちこちに水晶玉のようなものが埋まっているのだそうだ。
うん、入ったらすぐにそれらは目にはいった。
私は早速その水晶玉のようなものに手を触れてみる。
どれが誰の水晶玉のようなもの(のようなものは以下省略)というわけではなく、空いている水晶玉どれに触ってもいいらしい。
水晶玉に触ると目の前の壁が自分だけに見えるステータスボードになるのだそうだ。
と、そこに20代だろうか… 2人組の男性が入ってきて
「あ、おはようございます」
と挨拶をしてきた。
「あぁ、おはようございます」
と返すと、それ以上の会話はなく、2人は別の水晶玉に触れ、なにやら操作をすると、足下に魔法陣のようなもの(のようなものは以下省略)が現れ、スーっと消えて行った。
{あれが転送陣か…}
5層ごとだか10層ごとだか、ダンジョンによって違うだとか、なんだかんだ、転送陣と言うものがあって、その陣がある層の入り口には行ったことがあれば飛んでいけるのだそうだ。
消えた2人のことは忘れて壁の方に向き直り自分のステータスボードを見てみる。
入ってすぐはレベル0だそうだ。
しかし実際に見る表記は - だった。
名前:金田 隆司
階位: -
体力:22
魔力: -
分配: -
攻撃:8
防御:9
知力:12
敏捷:7
技巧:14
あ、申し遅れました。
私、金田 隆司と申します。
よろしくお願いいたします。
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