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第8章 蔓延
6 フラグ立つ
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7月最終日の夜、弓削は久遠寺の境内で橋爪とともにお焚き火の組木を見上げていた。橋爪はこの日までの業務に関する報告書を提出し、明日からの警備に備えて現場の下見にやって来たのだ。夕食を終えると遵奉住職は天冥を伴って鷹田神社へと最終打ち合わせに出掛けた。朱美もそれに合流するようで、寺には帰って来ていない。紬はきのう、掃除が終わった時点でどこかに出掛けてしまい、今日は顔も見せていない。弾正も草太も、ノワールに帰ったのか予行演習の後から姿が見えなかった。そして浦安は天冥の説明の後、公安調査庁特務調査室の室長である室町に呼び出されてK署に戻って行った。なので橋爪が来た時、寺には弓削しかいなかった。今襲われて準備した舞台を壊されたらどうするのだろうと、不安にかられていたので橋爪の顔を見て少しホッとした。
むせ返る湿気の中でカエルの輪唱が相変わらず賑やかに鳴っていた。広い境内の真ん中には月明かりにお焚き火用の組木がその輪郭を浮き立たせている。木が崩れて舞台に引火しないように太い丸太でロの字に囲われ、さらにその周囲に一片が五メートル程の舞台が地面より一段高く設けられていた。舞台には赤い敷布を張り、その四隅には忌竹と呼ばれる青竹が立ててある。風が吹くごとに、その笹の葉がサヤサヤと揺れた。竹同士は細い縄で繋がれ、そこにギザギザに切った白い紙が等間隔に垂らされている。これは紙垂と呼ばれるもので、ギザギザなのは雷形すなわち神鳴りを表すのだそうだ。さらにその外側に一片十メートルほどの正方形にしめ縄を張り、その角々には火を絶やさぬように補充用の薪が積み上げられていた。弓削は橋爪に、予め天冥から聞いていたそれらの舞台装置の一つひとつを説明してやった。
「つまり、俺らの仕事はこの一番外側のしめ縄の中に誰も入れないことだな」
橋爪はそう言いながら、結構広い場所を取った三重の正方形の中を感慨深げに眺めた。弓削はそんな橋爪の相変わらず職務に忠実な姿を見て、この期に及んでも心が揺れている自分との違いに引け目を感じた。
「あんたさ、どこまで信じてここにいるの?」
「どこまで、て?」
「だからさ、その、将門とか影武者とか、そういう話」
「正直、荒唐無稽な話だなとは思う。だが浦安係長がここの警護をするって決めたんなら、俺はそれに従うだけだ」
へえ~と、感心とも呆れともつかない声が漏れた。橋爪の迷いのない横顔を見つめ、この男なら躊躇なく侵入者を撃つんだろうなと思った。
「あんた、そんなに係長のこと信奉してんの?」
「信奉…とはちょっと違うな。尊敬、ともちょっと違う。何ていうか、あの人はいざという時、間違った選択をしないだろうと踏んでいるんだ」
「何でよ。何でそう言い切れんの?」
橋爪はフッと鼻から息を漏らし、頭上の満月に遠い目を向ける。
「あれは、俺がK署に赴任して間もない頃、隣りのN市で起こった殺人事件の捜査の手伝いに係長と一緒に赴いたんだ。認知症を発症して寝たきりになった老人が包丁で刺されて死んだ。状況証拠は全てその妻に向いていた。介護疲れが動機なのだろうと推察され、後は自供さえ取れれば立件に持っていけると県警の捜査主任は踏んでいた。浦安係長は別にそれに異を唱えはしなかったが、執ように周辺の敷鑑を進めた。その頑なな行動は、他の捜査員たちからは失笑を買っていた。結論から言うと、犯人はその家に短期間だけ出入りしたことのあった介護福祉士だった。妻が新型ウイルスに罹患してしまい、仕方なく介護福祉士を雇ったんだ。そいつは家を訪れているうちにたまたまタンス預金の存在を知って合鍵を作り、妻が戻って介護を解かれてからも彼女の留守中を狙っては時々侵入してその金をクスねていたらしいんだ。そして事件の日、いつものように幾ばくかの金を盗もうとしたら、その日に限って老人の意識が明瞭になり、自分の行動を諌められて思わず刺してしまった、と。それでさ、後で係長に聞いたんだ。何で妻が犯人と思わなかったのかと。係長は夫の衣服や食器類などがいつも清潔に、きちんと整えられているのを見て思ったんだと。こんな夫に愛情のある人が例え一時の感情であれ、夫を刺殺したりはしない、と」
そこまで語ると、橋爪は弓削に視線を移した。その顔からは清々しい笑みが溢れていた。
「あの人はさ、人間をちゃんと見てるんだよ。俺たちは机上の理論を重視しがちだが、係長を見てるとそれは人としっかり向き合ったデータを持たない者の逃げに思えてくる。人の行動を理論立てて考えるのは大切だが、人と向き合い、その根本をしっかりと見極めなければ空論に陥ってしまう。今回の事件だってそうだ。科学やら常識やらに振り回されていたら、本質は見えない。実際、わけの分からないことが起こってるんだ。俺は係長の経験を信じ、その判断に従おうと思う、ただそれだけだよ」
そう言ってにっこり笑う橋爪が憎たらしくも頼もしく思えた。自分の迷いを補強してもらえた気がした。
「あんたって、鉄面皮に見えて意外にお人好しなのね。あ、いい意味でよ、いい意味で」
「お、おう、褒め言葉として受け取っとくよ」
二人で笑い合う。ふと、弓削はずっと聞きたかったことを口にする。
「あんたさ、初めて会った時、あたしの胸を見なかったでしょ?あれ、何で?興味無かった?それとも、そういうふうに意識してた?」
我ながら変な質問をしたと思う。鼻で笑われるかと思ったが、橋爪の反応は意外に誠実なものだった。
「興味がないわけじゃない。打ち明けるとさ、事前に遠藤さんから聞いてたんだよ。弓削に胸のことを言うと蹴り飛ばされるぞって」
「な!蹴ったりなんかしない。ちょっと靴を踏んづける程度よ」
「いやその分厚いパンプスのかかとで踏まれたら結構ダメージでかいぞ」
言って、少年のような顔で笑う。弓削も意外なカラクリに気が抜け、一緒になって笑った。ゲコゲコとカエルも笑う。緩んだ時間が駆け抜ける。そして、少年のような顔が男のものになる。橋爪は弓削から視線を外して天に向く。その瞳に、北極星の瞬きが宿る。
「あー、えーと、何だ、弓削は、さ、俺のこと、嫌いか?」
咄嗟に聞かれ、弓削も天を見る。満天の星空が、少し滲む。
「べ、別に嫌いとかじゃないわよ」
「じゃあ、好きか?」
「ば!何で二択なのよ。普通よ、普通」
「そっか、普通…か」
目の端で捉えた橋爪のシルエットが、心なしか俯いた。そしてガバっと顔を上げ、身体ごと弓削に向く。
「俺はさ、お前のこと、何て言うか、好き…なんだよな。あ、胸が大きいとか小さいとか、そんなことどうでもよくてさ、その、女性として、好きだ」
急な告白に、弓削は唖然として橋爪の顔を仰ぎ見た。真摯に弓削を見つめ、その瞳には星空が移ったように煌めいている。その姿が、次第にぼやけてくる。
(やめなよ、変なフラグ立ったらどうすんの?)
急に朱美の声が聞こえたような気がした。胸が高鳴り、深呼吸する。
「あた、あたしは、さ、一度、好きな人を亡くしてるんだ。学校の先輩でさ、女性だった。好きだったの。彼女も、あたしのこと好きになってくれた。あたしよりも、ずっと、ずっと。でもあたしには覚悟が足らなかった。いざという時になって、ちゃんと先輩と向き合えなかった。先輩はショックを受けたと思う。それで、自分で自分の命を絶った。あたしのせい。あたしのせいなんだ!だからあたしには、人を好きになる資格なんてないの!」
ポタポタと、生温い雫が頬から滴る。胸に両手を埋め、頭上の神様に祈る。これでフラグは立てました。だから、悪い運命は全てあたしの方に移して、と。
「資格がないなんて、言うな」
橋爪が弓削の肩を抱き寄せる。弓削はその胸を、心ゆくまで濡らした。カエルの合唱が、嗚咽にかき消される。時間が流れ、弓削が落ち着きを取り戻した時、橋爪の胸板が大きく伸縮した。
「なあ」
「ん?」
「男は、好きになれないか?」
「んー、分からない」
本当は今、ときめいている。先輩の時とは違う、ゆったりとした安心感に包まれている。いつまでもこの胸に抱かれていたいと思う。
「あのさ」
橋爪の改まった呼びかけに顔を上げる。ちょうど目の前に自分を見下ろす橋爪の顔があり、しばし、見つめ合う。橋爪の唇が開く。
「この、さ、事件の方が付いて落ち着いたら、二人で、しょ、食事に、行かないか?」
そこはキスじゃないんかい、と、心の中で突っ込みを入れながら、弓削は満面の笑みで頷いた。そしてニタっと口端を伸ばし、パンプスで橋爪の茶色い革靴を踏む。グゲッという声が、カエルの合唱にいい合いの手を入れた。
むせ返る湿気の中でカエルの輪唱が相変わらず賑やかに鳴っていた。広い境内の真ん中には月明かりにお焚き火用の組木がその輪郭を浮き立たせている。木が崩れて舞台に引火しないように太い丸太でロの字に囲われ、さらにその周囲に一片が五メートル程の舞台が地面より一段高く設けられていた。舞台には赤い敷布を張り、その四隅には忌竹と呼ばれる青竹が立ててある。風が吹くごとに、その笹の葉がサヤサヤと揺れた。竹同士は細い縄で繋がれ、そこにギザギザに切った白い紙が等間隔に垂らされている。これは紙垂と呼ばれるもので、ギザギザなのは雷形すなわち神鳴りを表すのだそうだ。さらにその外側に一片十メートルほどの正方形にしめ縄を張り、その角々には火を絶やさぬように補充用の薪が積み上げられていた。弓削は橋爪に、予め天冥から聞いていたそれらの舞台装置の一つひとつを説明してやった。
「つまり、俺らの仕事はこの一番外側のしめ縄の中に誰も入れないことだな」
橋爪はそう言いながら、結構広い場所を取った三重の正方形の中を感慨深げに眺めた。弓削はそんな橋爪の相変わらず職務に忠実な姿を見て、この期に及んでも心が揺れている自分との違いに引け目を感じた。
「あんたさ、どこまで信じてここにいるの?」
「どこまで、て?」
「だからさ、その、将門とか影武者とか、そういう話」
「正直、荒唐無稽な話だなとは思う。だが浦安係長がここの警護をするって決めたんなら、俺はそれに従うだけだ」
へえ~と、感心とも呆れともつかない声が漏れた。橋爪の迷いのない横顔を見つめ、この男なら躊躇なく侵入者を撃つんだろうなと思った。
「あんた、そんなに係長のこと信奉してんの?」
「信奉…とはちょっと違うな。尊敬、ともちょっと違う。何ていうか、あの人はいざという時、間違った選択をしないだろうと踏んでいるんだ」
「何でよ。何でそう言い切れんの?」
橋爪はフッと鼻から息を漏らし、頭上の満月に遠い目を向ける。
「あれは、俺がK署に赴任して間もない頃、隣りのN市で起こった殺人事件の捜査の手伝いに係長と一緒に赴いたんだ。認知症を発症して寝たきりになった老人が包丁で刺されて死んだ。状況証拠は全てその妻に向いていた。介護疲れが動機なのだろうと推察され、後は自供さえ取れれば立件に持っていけると県警の捜査主任は踏んでいた。浦安係長は別にそれに異を唱えはしなかったが、執ように周辺の敷鑑を進めた。その頑なな行動は、他の捜査員たちからは失笑を買っていた。結論から言うと、犯人はその家に短期間だけ出入りしたことのあった介護福祉士だった。妻が新型ウイルスに罹患してしまい、仕方なく介護福祉士を雇ったんだ。そいつは家を訪れているうちにたまたまタンス預金の存在を知って合鍵を作り、妻が戻って介護を解かれてからも彼女の留守中を狙っては時々侵入してその金をクスねていたらしいんだ。そして事件の日、いつものように幾ばくかの金を盗もうとしたら、その日に限って老人の意識が明瞭になり、自分の行動を諌められて思わず刺してしまった、と。それでさ、後で係長に聞いたんだ。何で妻が犯人と思わなかったのかと。係長は夫の衣服や食器類などがいつも清潔に、きちんと整えられているのを見て思ったんだと。こんな夫に愛情のある人が例え一時の感情であれ、夫を刺殺したりはしない、と」
そこまで語ると、橋爪は弓削に視線を移した。その顔からは清々しい笑みが溢れていた。
「あの人はさ、人間をちゃんと見てるんだよ。俺たちは机上の理論を重視しがちだが、係長を見てるとそれは人としっかり向き合ったデータを持たない者の逃げに思えてくる。人の行動を理論立てて考えるのは大切だが、人と向き合い、その根本をしっかりと見極めなければ空論に陥ってしまう。今回の事件だってそうだ。科学やら常識やらに振り回されていたら、本質は見えない。実際、わけの分からないことが起こってるんだ。俺は係長の経験を信じ、その判断に従おうと思う、ただそれだけだよ」
そう言ってにっこり笑う橋爪が憎たらしくも頼もしく思えた。自分の迷いを補強してもらえた気がした。
「あんたって、鉄面皮に見えて意外にお人好しなのね。あ、いい意味でよ、いい意味で」
「お、おう、褒め言葉として受け取っとくよ」
二人で笑い合う。ふと、弓削はずっと聞きたかったことを口にする。
「あんたさ、初めて会った時、あたしの胸を見なかったでしょ?あれ、何で?興味無かった?それとも、そういうふうに意識してた?」
我ながら変な質問をしたと思う。鼻で笑われるかと思ったが、橋爪の反応は意外に誠実なものだった。
「興味がないわけじゃない。打ち明けるとさ、事前に遠藤さんから聞いてたんだよ。弓削に胸のことを言うと蹴り飛ばされるぞって」
「な!蹴ったりなんかしない。ちょっと靴を踏んづける程度よ」
「いやその分厚いパンプスのかかとで踏まれたら結構ダメージでかいぞ」
言って、少年のような顔で笑う。弓削も意外なカラクリに気が抜け、一緒になって笑った。ゲコゲコとカエルも笑う。緩んだ時間が駆け抜ける。そして、少年のような顔が男のものになる。橋爪は弓削から視線を外して天に向く。その瞳に、北極星の瞬きが宿る。
「あー、えーと、何だ、弓削は、さ、俺のこと、嫌いか?」
咄嗟に聞かれ、弓削も天を見る。満天の星空が、少し滲む。
「べ、別に嫌いとかじゃないわよ」
「じゃあ、好きか?」
「ば!何で二択なのよ。普通よ、普通」
「そっか、普通…か」
目の端で捉えた橋爪のシルエットが、心なしか俯いた。そしてガバっと顔を上げ、身体ごと弓削に向く。
「俺はさ、お前のこと、何て言うか、好き…なんだよな。あ、胸が大きいとか小さいとか、そんなことどうでもよくてさ、その、女性として、好きだ」
急な告白に、弓削は唖然として橋爪の顔を仰ぎ見た。真摯に弓削を見つめ、その瞳には星空が移ったように煌めいている。その姿が、次第にぼやけてくる。
(やめなよ、変なフラグ立ったらどうすんの?)
急に朱美の声が聞こえたような気がした。胸が高鳴り、深呼吸する。
「あた、あたしは、さ、一度、好きな人を亡くしてるんだ。学校の先輩でさ、女性だった。好きだったの。彼女も、あたしのこと好きになってくれた。あたしよりも、ずっと、ずっと。でもあたしには覚悟が足らなかった。いざという時になって、ちゃんと先輩と向き合えなかった。先輩はショックを受けたと思う。それで、自分で自分の命を絶った。あたしのせい。あたしのせいなんだ!だからあたしには、人を好きになる資格なんてないの!」
ポタポタと、生温い雫が頬から滴る。胸に両手を埋め、頭上の神様に祈る。これでフラグは立てました。だから、悪い運命は全てあたしの方に移して、と。
「資格がないなんて、言うな」
橋爪が弓削の肩を抱き寄せる。弓削はその胸を、心ゆくまで濡らした。カエルの合唱が、嗚咽にかき消される。時間が流れ、弓削が落ち着きを取り戻した時、橋爪の胸板が大きく伸縮した。
「なあ」
「ん?」
「男は、好きになれないか?」
「んー、分からない」
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「あのさ」
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「この、さ、事件の方が付いて落ち着いたら、二人で、しょ、食事に、行かないか?」
そこはキスじゃないんかい、と、心の中で突っ込みを入れながら、弓削は満面の笑みで頷いた。そしてニタっと口端を伸ばし、パンプスで橋爪の茶色い革靴を踏む。グゲッという声が、カエルの合唱にいい合いの手を入れた。
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