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第6章 変化
9 上位のモノノケ
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この町を中心に、妖化が進んでいる。それを阻止するために天冥が呪術の儀式を準備し、それにセフィロトのメンバーも手を貸している。もしここで見聞きしていることが本当だとすると、公安調査庁が怪しい団体として目を付けているのは見当違いということになる。だが今の時点で、弓削にはどちらを信じていいのか分からない。一つ確かに言えることは、自分は高瀬の首が伸びるのをはっきりとこの目で見た。そして天冥は言う。弓削自身にもその兆候は現れていると。
スイカを二切れ食べ切り、ごちそうさまでしたとお焚き火の土台を作る作業に戻ろうとする天冥に慌てて声をかけた。
「さっき妖化には段階があるって言ってたわよね?それってどんな段階で現れるの?そしてあたしは、今どの段階にいるの?」
天冥が振り向き、クロッシェ帽から垂れた長い黒髪がやや西に傾いた日光を艷やかに反射して光輪の波打つ。帽子にはもうチュールを垂らしておらず、黒目がちな眼から放たれた光彩が弓削を射抜いた。
「わたしは医者や科学者ではないから詳しい仕組みは説明できないけど、まずはホルモンのバランスが崩れて感情が剥き出しになるわ。理性が働かなくなり、犯罪を犯すことも厭わなくなる。普通の犯罪者と見分けるには、妖化の前兆としては目から血を流すことが多いみたい。それが第一段階。第二段階では身体の造り自体が変わっていく。今回顕現している妖は首が伸びたり、身体から首が離れたりする。日本ではろくろっ首と呼ばれたり、中国では飛頭蛮って呼ばれたりするわね。ここまで進んでしまうともう、人間には戻れない。多くの人がそうなる前に何とか食い止めないといけないのよ」
天冥はそこまで言うと、踵を返してまた庭の中央へと向かう。
「妖化が進んでしまった人はどうなるの?人間に戻れないって、それって退治しないといけないってこと!?」
急いで心に浮かんだ焦りを口に出すと、天冥はもうこちらを向こうとせず、
「妖化してしまったものはいずれ、さらに上位のモノノケに操られるようになる。そうなってしまったら、退治なんて生易しい対処では間に合わない。人間と妖との戦いになるわね」
と、吐き捨てるように言って歩いていった。顔は見えなかっが、天冥の声音には怒りの色が濃く滲み出ていて、弓削はその言葉に全身が凍りつくような戦慄を覚えた。さらに上位のモノノケ…一体それは何のことを言っているのか…?
天冥の言ったことを一旦整理する。まず前兆として目から血を流す……それは他のK署の仲間たちからも報告があがっており、おそらく自分もそれを経験した。天冥は適当なことを言っているわけではない。だとすると、今この禍津町ではまだまだ未曾有の事態が起こるというのか?いや、首無し殺人はこの禍津町で四件目だ。もうすでにそれは日本中で起こっているのかもしれない。
「ねえねえフーミン、いらないならもらうよ?」
ふいに声をかけられ、皿に乗ったスイカの最後の一切れに紬が手を伸ばそうとしていた。
「ちょっと!あんた何切れ食べたのよ。フーミンはまだ一切れしか食べてないでしょ?意地汚いこと言わないの」
「え~だあって、フーミンまだ一切れ目食べ切ってないじゃん!きっとスイカ嫌いなんだよ」
「あ、いいよいいよ、食べて」
朱実と紬が言い合いになりそうだったので紬に残りの一切れを差し出す。そして自分は持っていた一切れを最後まで食べ切った。別にスイカは嫌いじゃないが、天冥の言葉を聞いた後ではなかなか日常的な思考へと切り替えられない。逆に平然としている朱実や紬に違和感を覚えた。
「心を強く持ちなされ。悪いもんは心の弱いところからつけ狙っていきますからな」
遵奉住職が沈んだ顔の弓削に声をかけ、ワハハハと笑う。その説でいくと、弓削はすでに心を付け狙われた弱い者ということになる。だがそれには思い当たることがあった。心を強くコーティングしてきたつもりだが、今この世界を侵食しようとしているものは、自分の弱さを見逃してはくれないのだろう。心を強く持ちなされと住職は言うが、心に傷がある人間はどうすればいいのか?そもそも、心が強いとはどういう状態のことを言うのか?ポジティブシンキング?自己肯定感を高める?そんなセラピストが言うようなことでいいのか?弓削には具体的にどうすればいいのか、そこがよく分からなかった。
そんな思いを引きずりながらも、午後からも仏具磨きの手伝いをする。天冥は庭での作業に専念し、住職はカジュアルな格好に着替えてまたどこかへ出掛けて行った。庭には天冥の他にもセフィロトのメンバーがいる。弓削はそのことを朝霧に報告すべきか迷った。だが確か朝霧のチームの調査員たちはセフィロトの動向を張り込んでいるはずだ。自分に与えられた任務はノワールの住人の中に入り込むこと、それらを総合判断し、不必要な動きは極力避けることにした。
お堂と反対側の壁一面がガラス張りの窓になっていて、外の景色がオレンジ色に移り変わっていくのが分かる。そしてキキキと甲高く鳴くヒグラシの声に包みこまれた頃、朱実がうーんと大きく伸びをしてそろそろ作業を終わろうかと告げた。部屋を見渡すと、まだ磨かれていない仏具が半分近くある。全部を磨き上げた時点でお堂の掃除もし、運び出した仏具をもう一度組み上げないといけない。ざっと考えてまだ二日はかかりそうだった。住職は一人暮らしなのだろうか?他に手伝ってくれる人はいないのか聞いてみる。
「うーん、春先までは寺男さんとか他のお坊さんもいたんだけどね、じいちゃんが暇を出したんだ。これからは身の安全を保証できないからって」
その朱実の言葉に、驚いて聞き返す。
「え?春にはもう、この町で起こることが分かってたってこと?」
「え?ああ…まあね、それよりさ、ご飯作ろ!セフィロトからたくさん野菜持ってきてくれたからさ、食事にしよ!食事に。お腹空いたでしょ?」
「いえーいご飯ご飯!ねえ、カレーがいいよ、カレーにしよ!」
朱実があからさまに弓削の質問をはぐらかしたが、紬の勢いに押されて三人で母屋のキッチンに向かった。続きを聞きたかったが、これから食事を一緒に食べるならまだ聞く機会もあるだろうと弓削も食事の準備を手伝った。
「ちまちま作るの面倒だからさあ、もうカレーを三日分くらい作っちゃおうよ!ほら、三日目のカレーが一番美味しいっていうしさ」
紬のその言葉に、弓削が思わず反応する。
「え、三日分って、もしかしてあなたたち、作業が終わるまでここで暮らすの?」
弓削のその言葉に今度は朱実と紬がキョトンと顔を見合わす。そして朱実が言う。
「あのさ、フーミン、あたしたちがっていうより、あなたはこの寺からは出られないよ?」
「え?あたし?出られないって…」
「フッフッフ、フーミンはもうあたしらの人質として死ぬまでここでこき使われる運命なのだよ」
「ちょっと紬!悪の組織みたいなセリフで話をややこしくしないの。ほら、さっき天冥さんも言ってたでしょ?フーミンはさ、妖化の第一段階にあるからさ、ここなら仏様もいっぱいいるし、天冥さんも結界張ってくれてるしさ、守ってもらえるから。妖化が解けるまでここにいなきゃダメよ」
そんなことを言われても自分には刑事としての職務がある、と喉まで出かかって、危うく飲み込んだ。二人にスパイとしてここにいることは悟られるわけにはいかない。一方で、妖化ということも気になる。思えば、天冥に始めて会った時、彼女は自分の顔を見て死相が出ていると言った。あれはこういうことだったのかと思い当たる。が、あの時点ではまだそんな兆候は現れていなかったはずだ。彼女たちの言葉をどこまで信用していいのか、そして今後の仕事をどう進めていくべきなのか、弓削には自分で判断しかねていた。
スイカを二切れ食べ切り、ごちそうさまでしたとお焚き火の土台を作る作業に戻ろうとする天冥に慌てて声をかけた。
「さっき妖化には段階があるって言ってたわよね?それってどんな段階で現れるの?そしてあたしは、今どの段階にいるの?」
天冥が振り向き、クロッシェ帽から垂れた長い黒髪がやや西に傾いた日光を艷やかに反射して光輪の波打つ。帽子にはもうチュールを垂らしておらず、黒目がちな眼から放たれた光彩が弓削を射抜いた。
「わたしは医者や科学者ではないから詳しい仕組みは説明できないけど、まずはホルモンのバランスが崩れて感情が剥き出しになるわ。理性が働かなくなり、犯罪を犯すことも厭わなくなる。普通の犯罪者と見分けるには、妖化の前兆としては目から血を流すことが多いみたい。それが第一段階。第二段階では身体の造り自体が変わっていく。今回顕現している妖は首が伸びたり、身体から首が離れたりする。日本ではろくろっ首と呼ばれたり、中国では飛頭蛮って呼ばれたりするわね。ここまで進んでしまうともう、人間には戻れない。多くの人がそうなる前に何とか食い止めないといけないのよ」
天冥はそこまで言うと、踵を返してまた庭の中央へと向かう。
「妖化が進んでしまった人はどうなるの?人間に戻れないって、それって退治しないといけないってこと!?」
急いで心に浮かんだ焦りを口に出すと、天冥はもうこちらを向こうとせず、
「妖化してしまったものはいずれ、さらに上位のモノノケに操られるようになる。そうなってしまったら、退治なんて生易しい対処では間に合わない。人間と妖との戦いになるわね」
と、吐き捨てるように言って歩いていった。顔は見えなかっが、天冥の声音には怒りの色が濃く滲み出ていて、弓削はその言葉に全身が凍りつくような戦慄を覚えた。さらに上位のモノノケ…一体それは何のことを言っているのか…?
天冥の言ったことを一旦整理する。まず前兆として目から血を流す……それは他のK署の仲間たちからも報告があがっており、おそらく自分もそれを経験した。天冥は適当なことを言っているわけではない。だとすると、今この禍津町ではまだまだ未曾有の事態が起こるというのか?いや、首無し殺人はこの禍津町で四件目だ。もうすでにそれは日本中で起こっているのかもしれない。
「ねえねえフーミン、いらないならもらうよ?」
ふいに声をかけられ、皿に乗ったスイカの最後の一切れに紬が手を伸ばそうとしていた。
「ちょっと!あんた何切れ食べたのよ。フーミンはまだ一切れしか食べてないでしょ?意地汚いこと言わないの」
「え~だあって、フーミンまだ一切れ目食べ切ってないじゃん!きっとスイカ嫌いなんだよ」
「あ、いいよいいよ、食べて」
朱実と紬が言い合いになりそうだったので紬に残りの一切れを差し出す。そして自分は持っていた一切れを最後まで食べ切った。別にスイカは嫌いじゃないが、天冥の言葉を聞いた後ではなかなか日常的な思考へと切り替えられない。逆に平然としている朱実や紬に違和感を覚えた。
「心を強く持ちなされ。悪いもんは心の弱いところからつけ狙っていきますからな」
遵奉住職が沈んだ顔の弓削に声をかけ、ワハハハと笑う。その説でいくと、弓削はすでに心を付け狙われた弱い者ということになる。だがそれには思い当たることがあった。心を強くコーティングしてきたつもりだが、今この世界を侵食しようとしているものは、自分の弱さを見逃してはくれないのだろう。心を強く持ちなされと住職は言うが、心に傷がある人間はどうすればいいのか?そもそも、心が強いとはどういう状態のことを言うのか?ポジティブシンキング?自己肯定感を高める?そんなセラピストが言うようなことでいいのか?弓削には具体的にどうすればいいのか、そこがよく分からなかった。
そんな思いを引きずりながらも、午後からも仏具磨きの手伝いをする。天冥は庭での作業に専念し、住職はカジュアルな格好に着替えてまたどこかへ出掛けて行った。庭には天冥の他にもセフィロトのメンバーがいる。弓削はそのことを朝霧に報告すべきか迷った。だが確か朝霧のチームの調査員たちはセフィロトの動向を張り込んでいるはずだ。自分に与えられた任務はノワールの住人の中に入り込むこと、それらを総合判断し、不必要な動きは極力避けることにした。
お堂と反対側の壁一面がガラス張りの窓になっていて、外の景色がオレンジ色に移り変わっていくのが分かる。そしてキキキと甲高く鳴くヒグラシの声に包みこまれた頃、朱実がうーんと大きく伸びをしてそろそろ作業を終わろうかと告げた。部屋を見渡すと、まだ磨かれていない仏具が半分近くある。全部を磨き上げた時点でお堂の掃除もし、運び出した仏具をもう一度組み上げないといけない。ざっと考えてまだ二日はかかりそうだった。住職は一人暮らしなのだろうか?他に手伝ってくれる人はいないのか聞いてみる。
「うーん、春先までは寺男さんとか他のお坊さんもいたんだけどね、じいちゃんが暇を出したんだ。これからは身の安全を保証できないからって」
その朱実の言葉に、驚いて聞き返す。
「え?春にはもう、この町で起こることが分かってたってこと?」
「え?ああ…まあね、それよりさ、ご飯作ろ!セフィロトからたくさん野菜持ってきてくれたからさ、食事にしよ!食事に。お腹空いたでしょ?」
「いえーいご飯ご飯!ねえ、カレーがいいよ、カレーにしよ!」
朱実があからさまに弓削の質問をはぐらかしたが、紬の勢いに押されて三人で母屋のキッチンに向かった。続きを聞きたかったが、これから食事を一緒に食べるならまだ聞く機会もあるだろうと弓削も食事の準備を手伝った。
「ちまちま作るの面倒だからさあ、もうカレーを三日分くらい作っちゃおうよ!ほら、三日目のカレーが一番美味しいっていうしさ」
紬のその言葉に、弓削が思わず反応する。
「え、三日分って、もしかしてあなたたち、作業が終わるまでここで暮らすの?」
弓削のその言葉に今度は朱実と紬がキョトンと顔を見合わす。そして朱実が言う。
「あのさ、フーミン、あたしたちがっていうより、あなたはこの寺からは出られないよ?」
「え?あたし?出られないって…」
「フッフッフ、フーミンはもうあたしらの人質として死ぬまでここでこき使われる運命なのだよ」
「ちょっと紬!悪の組織みたいなセリフで話をややこしくしないの。ほら、さっき天冥さんも言ってたでしょ?フーミンはさ、妖化の第一段階にあるからさ、ここなら仏様もいっぱいいるし、天冥さんも結界張ってくれてるしさ、守ってもらえるから。妖化が解けるまでここにいなきゃダメよ」
そんなことを言われても自分には刑事としての職務がある、と喉まで出かかって、危うく飲み込んだ。二人にスパイとしてここにいることは悟られるわけにはいかない。一方で、妖化ということも気になる。思えば、天冥に始めて会った時、彼女は自分の顔を見て死相が出ていると言った。あれはこういうことだったのかと思い当たる。が、あの時点ではまだそんな兆候は現れていなかったはずだ。彼女たちの言葉をどこまで信用していいのか、そして今後の仕事をどう進めていくべきなのか、弓削には自分で判断しかねていた。
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